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【10,000文字越え】初年度で商談化率15→30%を実現した『10つの商談化メソッド』を全公開

こんにちは!クロスコムの本田(@HONDAWeb1)です。BtoB領域で企業の商談化数を増やすために、MA/CRMツールを活用した導入・運用代行をしています。

元々は商社でBtoB営業を7年やってきた人間で、マーケティング戦略・施策運用の経験はほとんどありませんでした。しかし2021年1月に退職後、ご縁もあって、とあるフランチャイズ企業様のマーケティング戦略・施策運用をいきなりご支援させていただくことに。その時の事業目標が、立ち上げ数年の事業の年間売上を数億円にもっていくことでした。

特にBtoBマーケティングでは、見込み顧客との商談数が増えないという課題が多いと良く聞いていたので、原因や対策について検索エンジンで事前に調べていました。そのとき書いていたことは主に次のポイントでした。

■Whoカテゴリ
・セグメンテーションを徹底する
・ターゲット課題を理解する
・ペルソナとカスタマージャーニーをつくる

■Whatカテゴリ
・パーソナライズしたコンテンツを送る
・シンプルで明確なメッセージを届ける
・ターゲットの興味度合いを確かめる
・購買プロセスに応じてコンテンツをつくる

Web記事でよく見かける「商談数を増やすポイント」

確かにそうだと思いつつも、具体例がなく実務に落とし込みづらいなと正直思っていました。それでも、プロマーケターの考え方やアプローチ手法を取り入れるなど、積極的に情報収集をしながら対策を練り、支援を進めました。

その結果、1年で商談数が2倍(15%→30%)を達成し、さらに年間事業売上を数億円達成するなど、プロジェクト目標を達成することに貢献できました。※マーケティング戦略設計の成果だと自負はしていますが、そもそもサービス自体が価値の高いものでしたので、その要因も大きいです。

これは決して自分だけの力ではなく、マーケティング担当1名と、情報収集時で参考にさせていただいたプロマーケターの知見があったからこそ達成できたと、今でも強く感じています。なにせ自分には、経験が圧倒的に足りなかったわけですから。

先述した通り、BtoBマーケティングを担当されている方の中にも、売上よりその手前の「商談化率」に特に課題を持つ方は多いと思っています。そこで、私のようなマーケティング経験が浅くても実現できる具体的なメソッドがあれば、これからマーケティング体制を整えて商談数・売上を伸ばすミッションをお持ちのみなさんのお役に立てられるんじゃないかと考えたので、全プロセスを大公開しようと今回記事にしました。

情報の見せ方や思考の整理は、当時より体裁整えていますが、本質はほぼ変わりません。長い投稿になりますが、最後まで読んでいただいた方がより多く学び、実務へ持ち帰っていただける内容にしておりますので、ご参考いただけると嬉しいです。

・本支援はマーケティング担当1名と共同で、企画・制作・運用すべて取り組みました。
・テレアポの強引な売り込みによる商談化は、対象外としております。

本投稿を読み進める上での前提

支援前のプロジェクト状況

当時の顧客導線

 クライアントはとある農林水産業のフランチャイズ事業を展開しており、私が本プロジェクトに参画する前の顧客導線は上図の通りでした。クライアントの事業責任者と社長は、マーケティングに関して知見がなく、プロセスがどうというより「成果ですべて判断する」タイプの方でした。

 営業担当も、業務委託契約で10名ほど採用していましたが、「とにかく営業してアポを取れ」スタイルだったように感じます。とにかく営業担当の経験・勘を頼りに、片っ端からメールやテレアポして商談化していたので、やや強引なやり方だったように思えます。

 実際に私のマーケティング支援が始まると、相談や議論ができる相手はマーケティング担当1名のみ。営業部署も事業責任者も社長も、マーケティング活動において(知見がないから)まったく関与せず、「とにかくよろしく!」という雰囲気。事前にBtoBマーケティングに関する優良な情報を集めておいた私は、戦略設計の見直しから始めることに。

戦略設計…その前に短期改善

広告クリエイティブの訴求軸(※企業名非公開のため、一部のみ紹介)

まずは「戦略がないと成果が継続できない」と考え、戦略設計から取り掛かろうと思っていましたが、戦略設計の工数を考えると効果が表れるのは数か月先の話。それまで目に見える成果がないのは、周囲からの理解が得難く十分なサポートが得られなくなると考え、まずは現行施策の短期改善へ着手することに。それが、Facebook広告の運用でした。

別のプロジェクトでFacebook広告運用を担当していたこともあり、広告運用の改善はできる自信がありました。実際には、カスタムオーディエンスから類似オーディエンスの1本化(類似度別で合計5本)、またバナー・コピーを1広告1メッセージに統一して、訴求軸別に分けて20広告ほど作成。さっそく広告設定を変更して運用開始。

結果、2か月目からサービス資料請求の平均CPAを7,000円近くまで下げることができました。

そうしてリスト獲得数を改善した上で、最も重要な商談化率の改善に着手し始めたわけです。ここからは、本投稿の趣旨である商談化率を200%増やしたメソッドとして、具体的にやったプロセスをお伝えしていきます。

※ステップをまとめると以下の通りです。

①「状況」に着目してペルソナをつくる
②選ばれる理由を言語化する
③CRMツールを導入する(一番効果があった)
④保有する企業データをCRMツールへ移行する
⑤購買プロセスを明確にする
⑥コンテンツを作り「分ける」
⑦メール配信を自動化する
⑧メールテンプレートをつくる
⑨CRMの各種フォームを設定し運用開始
⑩数値・KPI管理

商談狩りを

①「状況」に着目してペルソナをつくる

当時作成したペルソナをまとめたもの

まず行ったのが、企業・担当者それぞれのペルソナを「状況」に着目して1つ決めることでした。当初は、これらのペルソナがドキュメント化されておらず、また「売上を増やしたい中小企業の経営者」という解像度の粗い設定だったからです。

ちなみにこのペルソナ設定の根拠については「フランチャイズ事業だから、成功モデルを用いて新しい収益軸が確立できる点は誰にとっても魅力的だから」という理由があったからだったそうです。

しかし、売上を増やしたい課題の解決策は、経営コンサルティングや他社との協業など他にもやり方はあるわけです。もし社員数に余裕がなくて、新しい事業にヒトを回す余裕がない、初期資金を支払う余裕がない「状況」での課題だった場合、果たしてフランチャイズ事業は全経営者の解決策になりそうでしょうか?

つまり、今のペルソナの解像度が粗いことが原因で、自社サービスが実際に課題を解決できる最適な解決策なのか分からなくなります。解像度の粗いペルソナ設定では、十分な成果は期待できません。

そこでまずは、会社と担当者それぞれのペルソナをつくりました。BtoBビジネスでは、個人ではなく会社がサービスを購入し利用するので、最終的な購買決定は会社が行います。なので、会社の意思決定フローを設定するために、会社のペルソナもつくることとしました。当時のペルソナシートが、上図の通りです。

あと、ペルソナシートを作成する上で重要なことは、ただ属性を決めるのではなく「状況」に着目することです。「年齢40歳で東京在住の会社員、趣味はスポーツで….」のような属性項目から設定しても、訴求内容が定められません。後述しますが、バリュープロポジションの対象者が属性に関係ないケースもあり、ムダにターゲットを狭めてしまう可能性があるからです。

なので、「商談化率の課題を解決するために、テレアポ代行業者へ外注している。しかし成果が芳しくなく、改善案もふんわりしていて目標達成に陰りが見えてきた..」のような行動から状況を特定することで、顧客がこの状況で感じる価値は何か?と推察することが重要です

課題を感じる状況をさっそく特定するために、シンクタンクやWebメディアが掲載している新規事業立ち上げの調査データを調べて、課題状況をいくつかピックアップ。ペルソナを2~3つ作成し、シートへ落とし込みました。

そして、作成したペルソナシートを営業担当と擦り合わせて合意形成をとることに。こうして、企業全体としてどのペルソナに向けて一貫したコミュニケーションを取るかの「WHO」を定めることができました。

※バイヤーペルソナの具体的な作成方法は、別記事として近日投稿します!

②選ばれる理由を言語化する

次に行ったのが、選ばれる理由を言語化することでした。

当時はあまり理解できていなかったのですが、バリュープロポジションがこの「選ばれる理由」に該当すると考えます。バリュープロポジションとは「競合が模倣できない、自社だけが提供できる顧客価値」のことです。

当時クライアントは、収益軸の訴求を強く推していました。具体的な数値は控えますが、他のフランチャイズ事業より高収益が売りだったので、広告・LP・メール配信でも「高収益」「安定利益」の訴求でコピーライティングしていました。

しかし、私が作成したペルソナの「状況」では、高収益へ関心を持つ前に、新規事業立ち上げに割く人がほぼいないという設定にしていました。また、高収益訴求は一見関心を惹くものの、どの企業も推すような「既視感強めのコピー」に感じられていたので、読み手もおそらくこのコピーに飽きている・疑っているとも推測していました。

そこでペルソナの状況を踏まえて、いくら収益訴求してもリソース的に立ち上げがそもそもできないのでは?という問いを立て、自社の提供価値を見直すことにしました。そしてその状況に限定して、自社が選ばれる理由として考えたのが、次の通りでした。

社内のメンバー1人でも新規事業を立ち上げ、ずっと1人で運用できる

設定した自社が選ばれる理由

他社には模倣困難だと当時は手ごたえを感じていたので、早速この選ばれる理由をもとに、広告・LP・メール配信のコピーを改修していきました。

ここで大事なことは、選ばれる理由を必ず「言語化」することです。なぜなら、言語化できないメッセージを施策運用の実務に落とし込むことは難しいと考えていたからです。

「だいたい雰囲気で伝わる」ようなフワっとした言葉は、だいたいが抽象的です。抽象的なコトバは現場からすると解釈に大きな余地が生まれるため、メッセージ性が分かれてしまうと考え、とにかく言語化していました。

ちなみに、当時この選ばれる理由を以下の手順でつくりました。

①自社サービスの特徴から「購入理由」を考える
②顧客が最も課題に感じる「状況」を決める
③状況に対して自社だけが提供できる「独自の価値」を確認する

自社が選ばれる理由づくりのプロセス

当時はたくさんの企業様のWeb記事を徹底的に調べて知識を蓄積していましたが、BtoBマーケティングの会社でおなじみの才流様のメソッドは特に参考にさせていただいていました。今でも才流様のメソッドをよく参考にしていて、大変感謝しております。

※この選ばれる理由づくりの骨格となるバリュープロポジションの具体的な作成方法は、別記事として近日投稿します!

③CRMツールを導入する(一番効果があった)

ペルソナ・選ばれる理由の設計と同時に行っていたのが、CRMツールの導入でした。マーケティング担当は1人だけですし、企業担当それぞれのニーズへ個別最適するにはリソース的に無理だったからです。そして(詳細は後述しますが)、このCRMツールを導入したから、商談数を30%に引き上げることができました

本プロジェクトでは、シンプルなUIの使いやすさ重視でHubspot Marketing Hubを導入しました。ただ、当時私はHubspotツールを使うのが初めてで、機能や運用知識がありませんでした。

そこで、導入作業と並行して、Hubspotが提供している無料のホワイトペーパーやブログ記事を読んで、CRMツールの使い方や考え方を学びました。他にも同じCRMツールのSalesforceの資料や記事を読んでとにかく知識を蓄積することに注力し、導入後の運用設定に備えていました。

※当時の導入作業は、共同で作業してくれたマーケティング担当が主体的に行ってくれました。改めてありがとうございました。

ツール導入の際は、マーケティング・営業・カスタマーサポートそれぞれの業務がどう変化するのか、どう変えたいかをヒアリングしながら進めることが重要です。当初はクライアントのマーケティング担当がHubspotを選定してくれたのですが、CRMベンダーの選定基準としては基本的に次の通りです。

CRMベンダー選定までのステップ

CRMツールは国産製のものでも多くありますが、さまざまなCRMツールから企業の基幹システムや実現したいことなど、目的を定めてツール選定することが重要です。上図はCRMベンダー選定までの一般的なステップを表したものです。

特に「業務要件の定義」が重要だと考えています。業務要件とは、企業が達成すべき目的とその目的に必要な機能や条件をまとめる作業のことです。導入後の失敗リスク・後悔リスクをヘッジする上で組織的に固めておく必要がありますので、BtoB向けの仕様か(企業情報の入力可否など)、メール配信の自動化や細かいトリガー設定など、実現したいことを予めまとめた結果、本プロジェクトではHubspotを選定することとしました。

実際に当時は企業も「それもマーケティング担当にお任せ」状態でしたので、Hubspotツールに選定後、さっそくこちらで定義した業務要件をもとにどのように組織的にこのHubspotを活用していくかを営業担当中心にレクチャーし、導入作業を進めました

④保有する企業データをCRMツールへ移行する

CRMツールの導入が完了したら次は、これまでスプレッドシートにて管理していた企業データをCRMへインポートしました。また今後の問い合わせや広告での獲得リードの情報を自動で取り込むために、既存の問い合わせフォームや申込フォームをHubspot製のフォームに切り替えました。

契約したHubspotには、それぞれの企業担当を商談や契約へ繋げるまでのアプローチを「自動化」するマーケティングオートメーション(=MA)機能が備わっています。BtoBですとメールが最も費用対効果と有効性が高いため、メール配信をベースにMA機能を駆使していくわけです。

広告や展示会で獲得した企業データを、すべてHubspotへインポートし一元管理することで、どの広告でフォーム送信をしてきたか、何月何日何秒に自社のブログ記事ページへアクセスしたか、営業担当がいつ個別でメールフォローを対応したかのあらゆるデータを、企業担当1人1人を識別して確認することができるわけです。

ただしデータインポートの際に注意すべき点は、データの状態です。当時はクライアントの保有していたスプレッドシートの企業リストも、営業担当がそれぞれのルールで更新していくので、入力形式がバラバラもしくはリストが重複しているなど、データが整理されていませんでした。

Hubspotには名寄せ機能があったので(Professinal Plan以上が対象?)重複企業リストを抽出し統合することができましたが、ツールによってではできないかもしれません。その場合は、CRMツールへインポートする前に、スプレッドシートのファイル上でクレンジングすることを推奨します。

※スプレッドシートの関数を用いて効率よくデータクレンジングを行いたい方は、以下のnoteがお役に立てると思います。ご参考までに。

⑤購買プロセスを明確にする

ペルソナの購買プロセス

CRMに企業データを取り込んだところで、次は見込み顧客の購買プロセスをつくりました。いくら見込み顧客を獲得しても、全ての見込み顧客がすぐにサービス契約を検討するわけではないので、どうアプローチすれば最終的に購買判断へ至るかを考えることが重要になります

実際に弊社が販売支援していたフランチャイズ商品は、数百万円の高単価で即決できるビジネスではなかったので、購買に対する不安を解消するコミュニケーションが継続的に必要だと考えていました。(実際に、リード化して1年後にご契約いただく企業もいらっしゃいました)

そこで、獲得した見込み顧客の関心度に応じてどんなコンテンツを提供すれば、商談・受注へつなげられるかを整理するために、購買プロセスを見える化しました。それが、上図の通りです。※当時は購入後のリピート施策も書き記していましたが、本投稿では受注までのフローに割愛しています。

購買プロセスを作るときに意識したことは以下の通りです。

組織的に一貫したメッセージを伝えるために、購買プロセスごとの見込み顧客の認識変化を書き出す

購買プロセス作成で意識すべきこと

当時クライアントは、展示会とWeb広告で集客していたので、獲得した見込み顧客それぞれの初回接点は異なっていました。初回接点が異なると、関心事も会話の内容も異なるため、1人1人にあわせたコミュニケーションが本来必要になります

しかしそれでは、1人1人にあわせて毎回購買プロセスをつくらなければならず、かなりの時間がかかってしまいます。そこで、先ほど設計したペルソナをもとに購買プロセスを1つ作成します

初回接点から購買に至るまでのプロセスをドキュメント化しておくことで、各ステージの購買体験を次へ促進させるために必要なコンテンツを明確にできます。ぜひ見込み顧客の認識変化を捉えて、購買プロセスを促進できるようにしましょう。

⑥コンテンツを作り「分ける」

購買プロセスごとの提供コンテンツ

作成した購買プロセスをもとに、次は各フェーズの見込み顧客へ提供するコンテンツを作り「分け」ました。あえて「分ける」と使っているのは、購買プロセスのステージごとで関心コンテンツが異なる為、状態に合わせてコンテンツを出し分けることが好ましいからです。

× コンテンツをペルソナに提供する
○ コンテンツを「ペルソナの状態に合わせて」提供し分ける

コンテンツを作り「分ける」意図

基本的に、見込み顧客はサービス自体に興味はありません。最も興味があるのは自分自身ですので、本来サービスを購入する際は、「サービスではなく、サービスを利用した後の"自分の未来"に興味があるから購入する」が正しい表現です。

実際にその理論は、それは心理学の「自己重要感」で提唱されています。

■自己重要感
・ヒトが最も興味を持っているのは自分自身
・ヒトは自分を理解してくれる、認めてくれる相手を好きになる
■自己決定
・ヒトは生まれながらにして、選択や行動を自分で決めたい欲求がある

心理学の理論「自己重要感」「自己決定」

この自己重要感は、見込み顧客とのコミュニケーションにおいて「いかに顧客起点で対話できるか?」という点で、非常に重要な考え方だと私は考えています。

また、もう1つ大切な考え方として「自己決定」という理論もあります。この理論をペルソナの購買体験に落とし込むと、購買までに何度も繰り返す意思決定は、企業から言われてではなく本当は自分で納得して決断したいというわけです。

この心理学に基づくと、企業のマーケター・営業が見込み顧客へすべきことは、以下の通りではないでしょうか。

× 見込み顧客にいかにサービスを購入してもらえるか
○ 見込み顧客が良い意思決定をできるよういかに支援できるか

見込み顧客へのアプローチ姿勢

前職時代にBtoB営業していた私は「顧客がいらないと言っても売らなければいけなかった」販売経験があったせいか、強引な売り込みがホントに嫌いでした(たぶん元々そういう性格でもありました)。その経験もあったせいか、この「いかに良い意思決定ができるよう支援できるか?」視点は、いまのコンテンツ制作でも大切にしていましたね。そのほうが気持ちがよいので。

課題意識がない見込み顧客へいきなりサービス提案しても嫌われるだけですし、サービス検討してる見込み顧客へ消費者インサイトレポート出しても、ニーズとズレた提案になります。当時は以下のように、見込み顧客の状態に合わせてコンテンツ制作を出し分けていました。それが、上図の通りです。

また当時はコンテンツ制作に不慣れでしたので、参加ウェビナーや請求資料のスライド構成や視覚情報のデザインで、分かりやすくて伝わりやすいと思ったものをよく取り入れながら自身のコンテンツ制作に活用していました

このように、見込み顧次のステージへ移行できるように(意思決定ができるように)コンテンツを作成することに注力していました。

⑦メール配信を自動化する

Hubspotのワークフローアクティビティをベースに作成

作り分けたコンテンツをそれぞれ適切なタイミングで見込み顧客へ届けるために、次はCRMツールを使ってメール配信の自動化体制を構築しました。具体的には、導入したHubspotのワークフロー機能を使って、見込み顧客の行動や状態に合わせて自動でメールを出し分けていました。

基本的にBtoBビジネスでは検討期間が長く、また高単価商材となれば失敗リスクに対する不安も大きいので、納得して購入決断するために必要なコンテンツを「届ける」ことに注力しました。つまり、一度や二度メールを見落としてもいいように、毎週コンテンツ配信をして開封してもらうよう注力していたということです。

実際に当時作成したワークフローは上図の通りです。※随時更新しますが、ベースはこれでした。

①全見込み顧客向け_お役立ち資料のメール(週1)
②ライフステージ「MQL」向け_サービス関連資料のメール(週1)
③フォーム送信見込み顧客向け_サンクス&追加提案のメール(都度)

当時のワークフロー(一例)

当時のメールの配信頻度は、最低週1日で配信、ウェビナーやイベントを案内する際に都度配信でした。「配信メールの70~80%が開封されない(認知されない)」という統計データを聞いたことがあったので、個人的にはコンテンツさえあれば毎日送ってもいいと思っていました。配信するコンテンツがあれば、、、ですが

あと上図には記載ありませんが、ワークフロー設計のもう一つのポイントとして、熱量が高い行動直後の見逃さないことです。見込み顧客が企業のコンテンツに対して何らかの反応や行動があるには、必ず意図やニーズがあります。その行動直後を見逃さないよう、

実際に当時広告で獲得した見込み顧客には、資料請求のフォーム送信日から3日間連続でメール配信するよう設計を組んでいました。まったくサービスを知らなかった未顧客が、たまたま広告を見てサービス資料を請求する行動をしてくれた瞬間が最も熱量が高いとも言えます。その瞬間を見逃さないよう「初回接触時=熱量が最も高い」という認識のもと、メールを連日配信していました

⑧メールテンプレートをつくる

設計したワークフローをもとに、具体的にどんなメールを配信するかを決めます。

メール文章作成のポイントは、主に以下の通りです。

・伝わる文章の構成は変わらない
・伝える内容はフェーズごとに変える

どんな内容のメールを配信しても、伝わる文章構成は基本的に変わらないと考えています。みなさんもPREP法というコトバは聞いたことがあると思いますが、論理的にかつ説得力ある文章を書く上で、このPREP法は有効です。

しかしメールは、メール内で完結するコンテンツ自体のパターンもあれば、Webページへ遷移させるためのクッション役のパターンもあります。1メール内ですべての情報を書き出すとかなり長文になるので、個人的にお勧めはしません。

実際、お役立ち資料のDLページやウェビナーの参加申込ページで詳細を記載することが多く、またそのページへ遷移する(URLをクリックする)=コンテンツに関心があると判断できる点から、詳細が記載されたWebページのURLを本文内に設置することを推奨します

そしてメール本文の内容ですが、それぞれの読み手の配信目的に応じて本文構成の中身は変えます。理由は、読み手のニーズ次第でメッセージの受け取り方は変わるからです。

例えば、課題を認識していない潜在層へサービス紹介をしても、関心を持ってくれそうでしょうか?そもそもサービスを購入する理由がないので、期待はできませんよね。

では、自社課題の解決策がまだはっきりしていない準顕在層へサービス紹介をしても、関心は持ってくれそうでしょうか?「解決策=サービス」と結びつくかもしれませんが、その解決策自体が果たして自社の課題に適切なのかが分かっていないと、サービスを検討する可能性も低いです。

メール文章のサンプル例として、各ステージの見込み顧客に合わせた構成の役割を記載していますので、ぜひ参考にしてみてください。

▼潜在層向け本文構成
配信対象者:潜在層(課題を認識していない)
配信目的 :現状維持の破壊
CTA遷移先:業界レポート、アンケート調査のWebページ・資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
①キーメッセージ(新しい気づき)
②CTA(直観的な行動喚起)
③説明(キーメッセージの根拠や理由)
④CTA(論理的な行動喚起)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

潜在層向け_例文付き解説はこちら

▼準顕在層向け本文構成
配信対象者:準顕在層(課題を認識しているが解決策が分からない)
配信目的 :課題認識の深化と解決策の提供
CTA遷移先:自己診断ツール、ソリューションガイドのWebページ・資料
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
①キーメッセージ(解決策の暗示)
②CTA(直観的な行動喚起)
③説明(キーメッセージの根拠や理由)
④CTA(論理的な行動喚起)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

準顕在層向け_例文付き解説はこちら

▼顕在層向け本文構成
配信対象者:顕在層(解決策が明確でサービスを検討している)
配信目的 :製品・サービスの価値強調と購入促進
CTA遷移先:製品詳細ページ、デモ予約ページ、見積りリクエストフォーム
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
①キーメッセージ(製品の価値と適合性の強調)
②CTA(直観的な行動喚起)
③説明(キーメッセージの根拠や製品の特徴)
④CTA(論理的な行動喚起)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

顕在層向け_例文付き解説はこちら

⑨運用開始

そしてようやく広告・Hubspotの運用開始です。

実際にプロジェクト支援開始後の顧客導線は、以下のように少し切り替えました。※オレンジ色の箇所が変更点です。

プロジェクト支援前
プロジェクト支援後

導線自体は変わっていませんが、主な変更点は以下の通りです。

■主な変更点
①アポ獲得アプローチ
旧)営業担当のテレアポ、個別メール
改)Hubspotのワークフロー機能で、見込み顧客獲得~商談をメール配信で自動化

②提供するコンテンツ
旧)サービス資料、サービス紹介Webページ
改)バイヤージャーニーに基づいた、お役立ち資料やROI計算シュミレーションなど

獲得リストの登録方法
旧)別会社ツールのフォームをLP・ホームページへ埋め込み
改)Hubspotの作成フォームへ切り替え埋め込み

支援前後の主な変更点

ターゲットを具体化、選ばれる理由の設計、コンテンツの作成。これら戦略を中心に強化しながら、CRMツールの運用実務に落とし込みすることで、戦略に基づいた施策運用を徹底しました

CRMを運用していく中で、メール配信の修正や広告の訴求軸変更といった、細かな修正は適宜行いましたが、ベースとなるマーケティング体制は概ね仕上げることができたと手ごたえを持っていました。

⑩数値・KPI管理

当時の使用フォーマット(マスキングしてます)

最後は、事業目標の進捗度合いを確認するために、スプレッドシートにて数値・KPI管理を行いました。細かく数値管理をしたかったので、項目を細分化してどこで離脱する見込み顧客が多いのかを見極めていました。例えば次の通りです。

契約数=配信数x到達率xユニーク開封率xユニーククリック率
    xウェビナー申込率x当日ウェビナー参加率x商談申込率
    x当日商談参加率x商談成功率

数値管理の項目 一例

その中でも、KPIとして主にチェックしていた指標数値は以下の通りです。

①Web広告のコンバージョン数
②ウェビナー参加率
③商談化率
④契約数

当時はこれら4つの指標をKPIと設定していましたが、「そもそもKPIが複数あるのはおかしいよな」と今では感じています。結果的にどの指標が達成できていれば目標達成に向けて順調かどうか分からず、正しくKPIを管理できていなかったと今では反省していますが、当時はこれらの指標を管理しながらコンテンツやメール文章の改良に取り組んでいました。

また、Hubspotではダッシュボードとレポート作成機能があるので、自社の見やすいレポート画面にカスタマイズすることができます。ただ、正直当時は指標数値が分かればいいというスタンスでしたので、デフォルトのダッシュボードを見るくらいにしか使っていませんでした。。

データ分析自体は、指標数値をもとに仮説立てして改善の意思決定に活用していましたが、統計的有意性をもとに合理的に判断ができていたかというとそうではありませんでした。※その経験の振り返りもあって、今では配信メールの訴求軸ごとに有意差判定をして、最も刺さる訴求軸やペルソナの洗い出しに活用しています。

このように数値・KPI管理を行いながら、広告クリエイティブやコンテンツを適宜見直すようにしていました。

※KPI設定に関する私の考え方については、以下のnoteにまとめています。ご興味があればぜひ。

【おさらい】商談化率UPにおいて特に意識してほしいこと


この意識を持つだけでも成果は変わります

以上が、初年度から商談化率を引き上げる具体的な10ステップでした。個々のステップで具体的な事例は紹介したつもりでしたが、深堀するとお伝えしたいことがさらに増えるので、情報過多にならないようこれで押さえておきます。

ただ、これらステップを模倣するだけでみなさんがすぐに成果を出せるわけではありません。実務ではより細かい地道な作業に頭と時間をつかうことになるので、愚直に続ける行動量が必要だと私は思っています。やっていく中で、新しい気づきともっと良いアイデアが浮かぶことはいくらでもありますから。

もしこのプロセスをご参考いただけそうでしたら、本プロセスの中で特に意識してほしいことについて厳選したので、最後にお伝えさせてください。それが上図の通りです。


ということで、今回は以上です。商談化率を増やすメソッドやノウハウについて、Xやnoteで発信しています。過去の2~3個の投稿をご覧いただけると幸いです。

▼Xアカウント
https://x.com/HONDAWeb1

最後までお付き合いいただきありがとうございました。


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