見出し画像

なぜか

とあるブログで紹介された本書

山口周さんは『ニュータイプの時代』など面白いビジネス書をお書きになり、気鋭の著者である。

さて、本書はビジネス書であり、本論はかなりシンプルに主張が展開されている。ここでは、我々の社会が文明的に求めていた世界に行き着いたとし(本書では「高原社会」と呼ぶ)、人間性を高めること、文化的な高みを求めること、贈与的思考の必要性などを述べられています。

ある意味で斎藤幸平先生の

と共通する部分が多く、現実にマルクスの文章の引用も行われています。

また贈与に関しても踏み込んだ思考を示していて、労働のよろこびの復活、生産者と消費者の顔が見える関係の必要性を述べています。我々の存在は、死者と自然から贈与されたものという思考もあり、考え深いです。

さらに、本書では、斎藤幸平先生とは異なりかなり踏み込んだ著者なりの解決策を述べています。くわは読んで考えて頂くとして…

個人的には、祖税率の見直しと教育システムの再設計が大切だと感じます。この点は、出口治明さんの

でも述べられている。ただし、山口さんは祖税率をより高く上げることでベーシックインカム導入を考えていますが…(GDPの読み込み方も両者違う観点で見ていてそれも面白い!)

個人的には、出口治明さんの考えが現実的ですが、山口さんの方が理想的と考えます。

本書でも斎藤先生の本でも、強調されるのは、我々が変わる必要性です。正しくものを見、考え、行動する。ハラリさんや出口治明さんも主張している普遍的事実ですが、逆に言えば、我々日本人も含め多くの人ができないということなのでしょうね。

厚い本ですが読みやすくて、近年、自分が課題だなと感じていたことを氷解してくれ、今後の社会のあるべき姿を示してくれる優れた一冊です。

この記事が参加している募集

#読書感想文

189,023件

#最近の学び

181,387件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?