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本条寺京太郎 即興詩集 2020シーズン

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毎日1つ即興詩を書いている本条寺京太郎氏の2020年4月14日〜2021年4月13日までの365日すべての詩を集めた2020年シーズン詩集。本条寺氏が日々感じた心模様や音楽、絵画…
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#日詩

難しい人になっちゃった

コジさんのお店で、ふと ある女性がポロッとこぼした。 「うちの主人、歳をとるごとに 難し…

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輝く星空

「うわーー」っと 思わず「わ」が伸びる。 世界が広いからだ。 何の世界? それは星空。 …

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「死んだときに眠るよ」

大林宣彦監督が亡くなった。 生前、お話を聞くことがあった。 撮影中も編集中も眠ることはほ…

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再発の危険、執行猶予

脳外科の担当医師が言う。 パソコンのディスプレイを僕に向け、 カテーテルで首の根元から造…

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五月の薔薇

五月晴れにぶらぶらと散歩する。 あてもなくゆっくりと歩くのが楽しい。 人混みを避けて住宅…

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酒宴のラグビーボール

ラグビー部のOB会。 酒を飲み、馬鹿っ話をし 大いに笑い、どつき合う。 そんなとき、誰かが…

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ベートーベン交響曲第九番

ベートーベンの第九を ドイツ語で歌いたかった。 それは学生の時からの やんわりとした夢だった。 20年ほど前、とうとう その気持ちが高まって 初心者でも入れてくれる 合唱団に入ることができた。 パートはテノールになった。 最初の「ダイネ」だけでも とても高い音で難しい。 「頭の後ろから前に声を出す」 男性の歌い手は少なく しかも初心者が多く、 毎回、「ダイネ」ばかり。 ちっとも先へ進まない。 しかし、あるとき、 僕らの声が天井を揺さぶった。

フラワームーン

花月は東の空に現れた。 大きな大きな満月。 5月の満月を ネイティブインディアンは フラ…

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初めての低山登山

あるときふたまわりも上の 先輩老人から山登りに誘われた。 「低山だから大丈夫だよ」 彼は…

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鏡に自分を映す

人間、迷うことがある 人間だから迷う 誰にも打ち明けられず 相談などできるはずもなく う…

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黄色い小さな押し花

螢草の押し花を時代劇で見た。 主人公、奈々を演じる清楚な少女が 肌身離さず大事に持ってい…

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あるがまま

前人未到の記録を打ち立てた 伝説のゴルファー、 中部銀次郎さんは あるがままを重んじてい…

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新たまねぎのスープ

新たまねぎが旬だ。 柔らかくてとても甘い。 オニオンスライスでも うんと美味しいけれど、…

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歩いていて気づかされたこと

仕事場まで1時間半もかけて歩いている。 電車にもバスにも乗るのが嫌だから。 するといろいろなことに気づかされる。 <えっ、こんな店、あったかな> <空き地だけど、前は何が建っていたっけ> <休んでた店が開いたら、客が結構いるよ> 今日は雲ひとつない好天気。 日差しは暖かくてティシャツ一枚。 リュックサックに必要なものを詰めて歩く。 <白くて小さな小手毬って可愛いな> <薄紫の桔梗って、実に和風でいいなあ> <ケシの花が空き地一面を橙に染めてるよ> 電車