「死んだときに眠るよ」
大林宣彦監督が亡くなった。
生前、お話を聞くことがあった。
撮影中も編集中も眠ることはほとんどない。
「ボクには時間がないんだよ」
監督は癌を患っていた。
「作りたい作品がたくさんあるんだよ」
毎日毎日、仕事だけをしていた。
「文明よりも文化を大事にして欲しい」
便利になると幸せが逃げていく。
少し不便くらいがいい。
壊すのではなく守る。
「古き良きものを愛で遺していくんだ」
「雑草も蟻も自然界のものは
みんな貴い命なんです」
歩いていても踏んづけられない。
命は踏んづけることなどできない。
「痛みを感じる人は
やさしくなれるんです」
「人はありがとうの数だけ賢くなり
ごめんさいの数だけ美しくなり、
さようならの数だけ愛を知る」
自分を愛し、すべてを愛す。
作品のすべてにその心があった。
監督は最後に微笑みながら言った。
「眠るのは死んだときにゆっくり眠るよ」