あるがまま

前人未到の記録を打ち立てた

伝説のゴルファー、

中部銀次郎さんは

あるがままを重んじていた。

あるがままにプレーし、

あるがままに生きて死んだ。


ゴルフ規則の最初に書いてある

「球はあるがままにプレーせよ」。

こんなことが規則であるところが

200年も前に始まり今も愛されている

単に棒っきれで球を打つという

ゴルフという競技らしいところだ。


打った球はあるがまま。

どんなところにあろうと

そのまま打つのが大前提だ。

もっといいところにあればと思うが、

それを許さないところが

ゴルフの面白さを倍増させる。


中部さんはそれを守った。

泥の上、穴の中、草の中

ひどいところにあれば

ルールでは動かせるのだが

球には触ろうとしなかった。

気持ちがよしとしなかったのだ。


癌になり手術はしたが、

運命に抗うことはしなかった。

好きなタバコを吸い酒を飲んだ。

友人たちとお喋りをし、

笑顔を絶やさず楽しく生きた。

享年59歳、気持ちよく天国に旅立った。


ゴルフプレーのように、あるがまま。