歩いていて気づかされたこと

仕事場まで1時間半もかけて歩いている。

電車にもバスにも乗るのが嫌だから。

するといろいろなことに気づかされる。


<えっ、こんな店、あったかな>

<空き地だけど、前は何が建っていたっけ>

<休んでた店が開いたら、客が結構いるよ>


今日は雲ひとつない好天気。

日差しは暖かくてティシャツ一枚。

リュックサックに必要なものを詰めて歩く。


<白くて小さな小手毬って可愛いな>

<薄紫の桔梗って、実に和風でいいなあ>

<ケシの花が空き地一面を橙に染めてるよ>


電車やバスなら素通りしていることが

歩いてみるといろいろと目についてしまう。

走っている人は景色を見る余裕なんてなさそうだ。


<水の貯まった大火鉢のなかでメダカが泳いでる>

<大きな緑亀が水槽の縁台で日光浴している>

<黒猫がルビーのような紅い瞳を光らせてこっちを見る>


世の中は止まっているようでいても動いている。

生き物たちは世の中の喧噪などどこ吹く風で生きている。

人間もそんなふうに暮らしていけたらいいのだけど。