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都響の「マーラー:交響曲第2番 ハ短調《復活》」_2023年3月16日

新国立劇場で大ッッッ好きなオペラ「ホフマン物語」を鑑賞した翌日、サントリーホールで都響の「マーラー:交響曲第2番 ハ短調《復活》」を聴いてきました。

前日は深みのあるストーリーをコミカルでハッピーに描いたオペラを歌い、翌日は壮大な「復活」を歌う。新国立劇場合唱団のもつ幅には感服するばかり。

演奏中はマスクを外していたので、立体的な音の細部までが頬を撫で、髪の先まで震わせました。
第一楽章 アレグロ・マエストーソ(真摯に、壮厳な表情で)で、ヴァイオリンが奏でる音はあまりにも透明で、まるで朝日に包まれているようでした。露に濡れた草花を輝きで目覚めさせながら、気温がゆっくり上がっていく。そんなふうに世界は呼吸しているのだと感じたのです。

「交響曲第2番 」は、英雄が死を経て復活し、”永遠の生”を手にするというストーリー。演奏は80分間、休憩なしで続けられたのですが、私にとってはあっという間でした。音の濃厚さに息をするのも忘れるようでした。
とりわけメゾソプラノの藤村実穂子さんの声には、人としての深みが感じられ、まさにキリストの復活を告げる天使が見えました。

天を割くような閃光。吹き荒れる風の中、天使たちの祝福の中で、冷たく横たわっていたはずの英雄がゆっくりと、再び目を開く。
曲を聴きながら浮かんだのはキリストではなく、巨人でした。

先日オペラシティで聴いた、「交響曲第1番 《巨人》」の余韻が残っていたのかもしれませんが、「巨人」も「復活」も何の予備知識もなく聴いたのです。曲が「巨人」を想起させるように作られているところに、畏怖の念さえ覚えました。

指揮/大野和士
ソプラノ/中村恵理
メゾソプラノ/藤村実穂子
合唱/新国立劇場合唱団

【ききみみ日記】
★今回で投稿113回目になりました★
オペラ・クラシック演奏会の感想をUPしています。是非お越しいただけますとうれしいです。
(2022年10月10日~2023年1月15日まで101回分を毎日投稿していました)




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