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ある男

小説はほとんど読むことは
なかった。

2年に1回あるかないか。
どうしても先に考えてしまうから。

この本から何を得られるのか。

本を購入するときに必ずこの視点が悪さを
して入りこんでくる。
だから、娯楽としての読書。
小説を中心とした
楽しむための読書はどうしても
後回しになってしまうのだ。

以前、書店に行くと表紙の印象だけで
本を買ってしまうことがある。

それでそのまま本棚で放置されて
しまった本も数知れず。
それはそれで、これという本に
出会える可能性があるのだから
いいだろう。

もう一つ意図せず思いがけず
本と出会うことがある。

年に数回、頼んだ記憶のない本が
amazonから届く。
思い出せるときと、思い出せない
ときがある。

事実として言えることは、
ハイボールを流し込んだ自分が
何らかの意思を持って、「発注」した
ということ。

発注ボタンを押すまでの経緯は定かではない。
特にこの本はそうだった。

この本を押した自分が
何を求めていたのか。

分からない。
しばらく本棚に放置していた今日。
なぜか導かれるように手にとり、
出かけた。
電子書籍だったら、こんなことは
起こらない。

気がついたら、約350ページの
新書をあっという間に読み終わった。

帯の言葉を引用する。

その偽りは、やがて成就した本物の愛に
よって赦されたのであろうか?
愛にとって過去とは何か?
幼少期に深い傷を負っても、人は愛にたどりつけるのか?
「ある男」を探るうちに、過去を変えて生きる男たちが浮かび上がる。
人間存在の根源と、この世界の真実に
触れる文学作品。


誰だって苦い過去、触れられたくない過去を
持っているだろう。
その大小に関わらず。

そのエピソードを「黒歴史」として、
面白おかしく自身の「鉄板ネタ」に
昇華している人もたくさんいる。

しかしながら、この本に出てくるほどの
「過去」を背負ったら自分はまともに
生きていけるだろうか。
主人公が自分と同年齢の設定だったため、
グイグイ引き寄せられた。

それなりに年をとってきて、時間の偉大さも
残酷さも分かるようになってきた。

過去の出来事がどんどん美化させることも
できれば、時間の経過が突然傷口に塩を
えぐるようなことをもたらすこともある。

酔っ払った自分がなぜAmazonで
この本を発注したのか。
分かったようで分からない。
ただ偶然以上の何かがこの本を
手にとらせた気がする。

過去や失敗。
それを時間とともに乗り越えていくこと。
そこに幸せはあるって信じたい。

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