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狂おしいほどグレーで生きていく

勝ち組か負け組か。

良いか悪いか。

年収が高いか低いか。

賛成か反対か。

人は常にどちらかに決めたがる。
二元論的に白黒をつけたがる。

ときには、結論を急ぎ、行き急いで
いるとしか思えないほど。

勝手に決めて喜んだり、
勝手に決めて傷ついている人が
後をたたない。

白黒をつけたがる意味

白黒をつければ、一応決着がつく。
ひと段落がつくということかもしれない。

たとえば、自分の年収が平均より
高いのか低いのか。

自分から検索エンジンを叩けば、
それなりのデータは出てくるし、
それを見て、一安心できるということ
もあるのかもしれない。

ただこういった類の
白黒をつける作業は
終わりがないことも覚えておいたほうがいい

あなたの年収がいまは世間の平均
以上だったとしよう。

いまはそれで安心したとしても、
状況は変わる。

あなたが降格して給料が下がって
しまう可能性だってある。

さらに自分の周りがもし自分の
年収より高い人ばかりとわかったら、
あなたの心は穏やかではないだろう。

年収の話題が自分の頭の中に上がってくるたびに
その「評価」を逐一していくことに
意味はあるだろうか。

その度に喜んだり、落ち込んだりする
ことに意味はあるのか。

少なくとも精神衛生上はポジティブに
働くことはないだろう。

そしてそもそも
二者択一でのあなたの判断、
評価も正しいとは限らない

たしかに一般的なデータでは
年収の高さと幸福度は一定の金額までは
相関があることが知られている。

ただ年収が高くても、
生きがいを見出せず不幸な人生を
歩んでいる人も少なくない。

若くしてスタートアップに
参入してストックオプションで
億単位の年収を得ても、
「やることがない」
と言って覇気のない人生を
送っている人もいるのだ。

2015年にノーベル経済学賞を
受賞したプリンストン大学の
アンガス・ディートン教授年収と
幸福度の関係について興味深い
研究結果を発表している。

これによると、
年収が7.5万ドル(約800万円)を超えると
それ以降は、年収と幸福度の
相関があまり見られない
というものだ。

もちろん物価の影響もあるだろうから、
一概には言えないが青天井で年収が
上がれば、幸せになれるというものでも
なさそうだ。

グレーにしておけ

いまはVUCAの時代と言われる。

何が起きても変じゃないし、
価値観もどう変わるかなんて
誰もわかったもんじゃない。

だから世間の物差しばかりに
気を取られて、一喜一憂することで
メンタルヘルスにいい影響は
ないだろう。

高い年収を得ながらも
恥ずかしい人生を送っている人もいる。
どんなに見た目がよくても
周りから信頼されず好かれていない人もいる。

その時々で一面的な二元論で判断することに、
自分は虚しささえ覚える。

もちろん自分だってお金は欲しい。
年収ももっと上がった方が
幸せになれるのかもしれない。

お金など全くなくてもいいなんて
きれい事を言うつもりもない。

ただ世の中、グレーと判断したほうが
生きやすいし、灰色の事実で回っている
ことは数えきれないぐらいあるのだ。

あえて白黒をつけていいものと、
グレーにしておいていいものがある。

自分が幸せであるための条件。

明日、やることがあるということ。
仕事があるということ。
自分の存在を認めてくれる人が
いるということ。

最低限の経済的な自由が
あるならば、ゆずれないものが
読者の皆様にもあるだろう。

ただよく考えてみてほしい。
そのゆずれないものを手繰り寄せて
思考を巡らすと、実は
「どっちでもいい」
「どうでもいい」
なんてことに気がつかないだろうか。

私は、25歳ではじめて社会人になった。
大学も3年遅れて入っていたし、
20歳前後の頃は自分を「負け組」の
レッテルを貼られて、投げやりに過ごしていた。

ただ社会人になってからは、
先に行っていた同級生たちと遜色なく
働けるようになったし、大きなハンディキャップ
を感じたことはなかった。

自分が勝手に思い込んでいた人生の
出遅れはさほど大きな問題では
なかったのだ。
ただの自身の思い込みであった。

極端だが、昨日までは白だったものが、
今日になると黒に変わっている。
世の中ではそんなことが日常茶飯事に
起こっている。

一寸先は闇なのだから

先のことはわからない。
それがあと10分後のことであったとしても。

交通事故にあってしまうかも
しれないし、テロに巻き込まれてしまう
可能性だってある。

いくら一生懸命お金を貯めこんだって、
あの世には持っていけない。

世間の物差しで決めたことに
一喜一憂してストレスを溜めるくらいなら、
その判断を「保留」してみてはいかがだろうか。

ときにはそれが苦しいときもあるでしょう。
私は3年続けて大学受験に失敗し、
「負け組」と言われながらも
判断を保留した。
なんの根拠もなく。

なんとか独学で学び、
中堅の大学を卒業し、人並みの
生活を送ることができている。

あとから振り返ったら、
「たいしたことなかったね」
「あんなこともあったね」

いまはたとえつらくても、
そう笑える日がやってくることも
あるのではないだろうか。

自分で決める必要のない二元論。
狂おしいほど、グレーにすることにこだわる。

凡人の僕のようなサラリーマンが
個人でも組織でもたくましく生きていくための
知恵になるのではないだろうか。

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