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仕事がいきなり好きで好きで仕方なくなるわけじゃない


「好きを仕事にしよう」

新卒だけでなく、
転職サイトまでもこんな記述を
見かけるようになった。

なんて甘い誘惑なんだ。

本当にそうだ。

毎年のように、上記のような
甘美なキャッチフレーズに
とらわれて、世間ではブラック企業と
評価される職場に若者は流れていく。

ある程度の年齢を経て、
いやでも自分が凡人だと気付かされた
私のような人間は、まだいい。

自分は何か特別だ。
もともと特別なオンリーワンになるんだ。


そんな思い込みで若いうちを過ごすと
不幸なことになる。
もちろん万がひとつの可能性で
大化けする可能性もゼロでは
ないかもしれないが。 
大半はそうではないだろう。
ただネガティブな話で
終わらせたいわけじゃない。


ほーりー調べによると、
この3つの条件をクリアすることで、
どうやら幸せなキャリアを歩めると
メディアもインフルエンサーも語っている
ように私には見える。


①もともと自分の好きなことがあって、
②それを前提に職業を選択し、
③生計を立てていく

そんな人はほんのひと握りだ。


繰り返す、本当にほんのひと握りだ。
これを努力をはじめとした精神論で
可能性を語る大人もいるが、
残念ながら難しい。

例をあげるなら、

①小さい頃に大好きな野球をはじめ、
②プロ野球の球団に入り、
③活躍し、高額な年俸を手に入れる

いま当時の10歳の大好きな野球少年に
私が戻れたとしても、プロ野球には
絶対入れない。

何千万円かけても入れない。
「努力は必ず報われる教」の
人は反論するかもしれないが、
客観的に悟ることはそんなに難しくない。


管弦楽の演奏者には、英才教育が
絶対的に必要なように、
生まれたときから、
不可逆的に戻せない、
手に取れないものがある。


だから無責任な大人が、「努力すれば
大丈夫」「最後まであきらめるな」と
偉そうに言っていると悲しくなる。

きっと自分の中でできる範囲の
努力しかしてこなかった人間のいう
セリフだ。

自分の力でコントロールできないことに
振り回され、万策尽きて本当にどうしようも
なくなったときの絶望感。
銀行口座が263円になり、次の食事すら
おぼつかない感情。

お前、地獄見たことないだろ。

そう言いたくなる。
まぁまだまだ相対的に恵まれた日本での
地獄などたかがしれているかもしれないが。

ただ先程の条件①から③を全て満たそう
として無駄な時間と労力を使い続けるならば
もっと違う視点でのアクションを
ご提案したい。

もちろん自身が特別な才能がない、
凡人であると自覚している方のみ
伝えられる話だ。

自分には特定の才能があって、
そのポテンシャルがある。
その人はその信念を貫いてほしい。
心から応援するが、この文章は
残念ながらお役に立てそうにない。
すまない。

さて
①から③の条件を諦めるということは、

もともと好きじゃないことを
好きにするという発想の転換が必要だ。

気がついたら好きになっている
そんな状態にもっていくこと。
ただし恋愛の話ではない。

好きになるまでのプロセス。
ほんの少しの忍耐と実践が必要だ。

この「ほんの少し」は人によって
多少のさじ加減はあるかもしれない。
ただ何かに耐えてコミットしないと
見えてこない景色がある。

20代の頃。
法人の飛び込み営業をしていた。
コピー機や業務用の携帯電話を
販売する仕事だ。

対人コミュニケーションには
少し自信を持っていたが、
それが「ガラスの自信」であったことは
数日で判明した。

出入り口の前でいきなり水を
かけられたり、目の前でパンフレットを
破り捨てられたり。
そんなことは日常茶飯事。

今のようにデジタルマーケが何ちゃら
なんて語る時代でもない。
単純接触効果を狙ってひたすら
訪問を続ける日々。

確率が低かったものの、当時の
商材の時代背景では、成果は
回った数に比例する
と気がついてからは
安心して仕事に没頭することができた。

中小企業がメインなので、ダイレクトに
社長と商談することも多く、その経験が
いまの職場でも大いに役立っている。

気がついたら、あんなにはじめは
嫌っていた営業が好きになり、
自腹を切って営業のセミナーに参加して
自己研鑽を図ろうとするレベルまでに
なっていた。

気がついたら、まずは
勇気を出して行動し
没頭することが必要だ。

ブラック企業に就職してしまうと
そこのさじ加減がわからないから、
潰れてしまったりする人もいるんだろう。

そんな客観的な指標を提示できたら、
少しは助かる人も出てくるのではないか。
そんな気がしてならない。

好きを仕事にする前に、
いまの自分の選択肢で
好きになる方法はないか。

才能のない凡人が幸せに生きるには
こちらの方が近道ではないだろうか。

行動、没頭しているうちに好きになる。
好きから始めなくても、
幸せになる道はあるのだから。


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