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【第15話】サウナリーマン日記「会いに行けるサウナ」〜レインボー新小岩〜


僕には会いに行けるサウナがある。

某アイドルグループではない。
秋葉原に行きたいわけでもなかった。

平日に敷き詰められた
オンライン会議。

「リモートワークって満員電車に
揺られなくていいから、うらやましいよ」

先日、久しぶりに会った友人は
皮肉混じりにそう言った。

いいところもあれば、悪いところもある。

本当にスケジュールが詰まっているから、
空白の時間がゼロ分で次の会議に頭を
切り替える。

経験したことがある人はわかってくれる
と思うが、オンライン会議はなかなか
雑談ができる雰囲気ではない。

隣の人に「ちょっといいですか」
わからないことがあるんです。

こんなコミュニケーションが
できなくなったことは少し寂しい。


なんとなく疲れ切っている。

だからといって、誰かと飲み会を
企画して憂さ晴らしをしたいわけでもない。

サウナイキタイ。

そんな気持ちと同時に
誰かに語りかけたくなる。

その場所は、
真っ暗なサウナ森の中にいる
白と黒のフクロウ。

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これはあくまでイメージ図だが、
すごく雰囲気が実物と似ている。


新小岩駅の商店街の中にある
このビルの2階に彼らは
住んでいる。

ふくろうサウナ。
そう名づけられた中温のサウナ。

優しいオルゴールのメロディが
別世界を演出している。

通常のドライサウナなら、
テレビを眺めるか、目を閉じて
瞑想するのがいつものパターン。

この場所は違う。
暗い場所の中で、置物のフクロウ
先生に語りかける。

「あっこれ書いてるの、やべえー奴だ」

そう思わないで、最後まで付き合ってほしい。

もちろん語りかけているのは、心の中でだ。

「最近、調子はどう」
「今年もいろいろあったね」

そんなところから、私とふくろうの会話が
スタートする。

「家政婦は見た」という
ドラマをご存知だろうか。

名優である市原悦子さんが演じる家政婦が
上流階級の家庭に家政婦として派遣される。

そこで欺瞞ぶりを見聞し最後に自分が見聞した事柄を家族全員が集まる席で洗いざらいぶちまけて、去っていく。

痛快なドラマである。

その主人公の自宅の場面。

はるみちゃんと名づけられた猫に
ずっとその日にあった出来事に語りかける。
それは定番の場面だった。

ちなみにその名前の由来は
演歌歌手の都はるみである。

そのときの市原さんが、はるみちゃんに
語りかける流れは、演じているとはいえ、
主人公に癒しをもたらしている。

それを投影しているだけ。

ただそれだけで別世界を確認できる。

オルゴールのメロディはディズニーの
テーマから、倉木麻衣の「Secret of my heart」に変わっていた。

高校生のときにヒットした曲。
こんな過去に思いを巡らし、
フクロウに一方的に語りながら
汗を流す。

ととのうだけでなく、
何かが浄化する。

こんな不思議な空間を
作ってくれたレインボー
新小岩さんには
感謝しかない。

なんとなく人と話したくない。
1人になりたい。

そんな気持ちになる瞬間は
長い人生の中で誰にでも訪れるのでは
ないだろうか。

一方的に心の中で語りかける
だけでも人は癒しを得ることはできる。

ひとりぼっちに
なりたいときに癒しを得られる場所。

それがある人は幸せな人だと思う。

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