介護福祉事業所の人事労務戦略室　~次世代リーダーを育てる　連載第28回　「人事考課・評価制度①＝必要性と基本的な考え方」

こんにちは。ラボ事務局の杉田です。
前回記事から随分時間があいてしまいましたが、またラボ代表及川による「介護新聞」連載企画（第28回）をお届けしてまいります。
第28回のテーマは「人事考課・評価制度①＝必要性と基本的な考え方」です。

今回の記事からまたテーマを新たに「人事考課・評価制度」についてお伝えいたします。

公平・公正に業務の評価をしたり、従業員のモチベーションを向上させる目的で人事考課・評価制度を導入されている企業は多いと思います。

人事考課・評価制度をうまく機能させ、上手に運用することができれば従業員の成長や活躍を促し、組織全体のパフォーマンス向上に大きく期待できます。

今新たに人事考課・評価制度の導入を検討している、今ある人事考課・評価制度を見直したいといったお考えをお持ちでしたら、ぜひ本記事を読んでいただけたら嬉しいです！

介護福祉事業所の人事労務戦略室　~次世代リーダーを育てる
連載第28回「人事考課・評価制度①＝必要性と基本的な考え方」

　雇用定着の鍵(かぎ)となるのが、人事考課・評価制度です。ここからは介護事業所における人事考課・評価制度の導入とその重要性、構築方法、適切な運用方法に分けて解説していきます。

　介護事業所はケアを必要とする高齢者の生活の質を維持・向上させるサービスを提供する事業であり、その地域を支えるケアサービスの中核を担っています。地域のインフラとしての機能維持も重要な役割として果たしており、地域住民の安心と安全を守るための存在とならなければなりません。

　そのため、職員一人ひとりの資質やスキル、日々の業務への取り組みが、サービスの質や地域への貢献に直結します。介護事業は公的サービスであり、専門性や高い倫理観を持って臨む必要があります。このような背景を踏まえ、人材の質を高め、持続的なサービス提供を実現するためには、定期的な評価とフィードバックが欠かせません。

評価制度を導入することで、次のようなメリットが期待できます。
① 自身の業績や成果を正確に評価されることで、更なる成長を目指すモチベーション向上。
② 個々の職員の強みや弱みを明確にし、適材適所への配置。
③ 必要な研修や教育を計画的に実施。
④ 組織内の公平性や透明性の向上。
⑤経営方針や経営戦略が組織全体に浸透し、一致した目標にまい進できる。

期待できる効果は
① 職員がモチベーションを持って取り組むことで、業務効率化や生産性の向上。
② 職員が自身の評価や成長を感じることで、離職率が低下。
③ 公正な評価制度がある組織としての評価やブランド力向上。
④ 上司と部下、または同僚間のコミュニケーション活性化。
⑤ 職員の成長とともに、組織全体も持続的に成長。

　評価の目的は職員の業績や成果を公正に評価し、その結果をもとに人材育成や組織の成長を促進することです。評価は、職員のモチベーション向上やキャリア形成のサポート、組織の目標達成に向けた方向性の提供など、多岐にわたる効果を持っています。

評価を行う際の原則として心がける点は
個人の感情や偏見を排除し、事実に基づいて評価を行う「客観性」
評価の基準や方法を明確にし、職員にも共有する「透明性」
定期的に評価を行い、その結果をもとに改善を続ける「継続性」
同じ役職や業務内容の職員には同じ基準で評価を行う「公平性」
上司から部下だけでなく、部下から上司、同僚間でも評価する「相互性」
です。

評価ポイントは
① 与えられたタスクや目標をどれだけ達成したか。具体的な成果やKPI(重要業績評価指標)をもとに、職員の業務遂行能力を評価します。
② 他者との円滑なコミュニケーションが取れているか。特に介護事業所では人間関係が離職の大きな原因となるため、相手の意見を尊重し、適切にフィードバックを与える能力は重要です。
③ チーム内での協力や貢献度。職員間のサポートや協力の度合い、チームとしての目標達成度を評価の対象とします。
④ 遭遇した問題や課題をどれだけ効果的に解決できるか。特に事業所の方針が曖昧な場面での、自らの判断での問題解決能力を重視します。
⑤ チームやプロジェクトを引っ張る能力や、他者を指導・育成するリーダーシップ。事業所の方針やビジョンを明確に伝え、職員を一つの方向に導く能力も評価の対象とします。

　これらのポイントや原則を踏まえ、評価制度の導入と適切な運用は、組織の成長と職員の成長、そして離職率の低下を同時に促進する重要なツールとなります。

介護新聞8/11付「介護福祉事業所の人事労務戦略室―次世代リーダーを育てる!!」
http://wwu.phoenix-c.or.jp/~medim/kaigo/2023/202308kaigo/kaigo20230811.html

今週もご訪問いただきありがとうございました！
また次回、第29回の記事でお会いしましょう！

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