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保育園留学の寮、はじめます。こども主義に振り切った、"空飛ぶおうち"開発秘話。

こんにちは。保育園留学の広報担当、キッチハイクの福田将人です。
北海道厚沢部町の「保育園留学の寮」が、ついに発表になりました。保育園留学家族専用の滞在施設。発表できる日をずっとワクワク楽しみにしていました。実際に暮らせる住居として未就学児に特化している建物はかなり珍しいのではと思います。

完成は2024年の春。2024年6月~2025年3月までの先行予約受付を開始しました。現在粛々と完成に向けて準備が進んでいます。

今回は、保育園留学の寮とは?どうやって考えられたのか?どんな制作の裏側が?など、制作のプロセスと寮の魅力を、コンセプト策定などから関わったメンバーの視点でご紹介します。(保育園留学のことを詳しく知りたい方は、キッチハイク代表山本雅也のnoteをぜひご覧ください。)

▼保育園留学の寮 特別サイト

2024春完成を目指す2棟の寮。写真はイメージです。

1. はじめに:保育園留学家族のための家をつくろう

「本当の保育園留学の家族のための、こどもに振り切った家をつくろう。」これが一番最初にプロジェクトチームで議論したことでした。

厚沢部町の保育園留学では、現在、ほぼ常時4~6組のご家族を受け入れています。素晴らしい状況ですが、3500人の過疎の町として、まだまだ町としても留学先の認定こども園はぜるとしても、未来のためにご家族の受け入れていこう!という状況があります。

一方、さらに受け入れをしたくても、課題がありました。住環境です。物理的な空き家はあっても、すぐ活用することが難しかったり、さまざまな理由で留学家族にとって暮らしやすい環境を整えることにハードルがありました。

保育園留学は町の未来を既に大きく変え始めており、さらなるポテンシャルもある事業。

だとすると、保育園留学の価値を高め、ご家族にとってのより良い体験、町にとってよりよい未来をつくるために、留学家族専用の滞在施設をつくろう。留学ならば、題して「保育園留学の寮」だ!と、厚沢部町の保育園留学を実現した厚沢部町役場・木口さんと構想を練り上げて行きました。

「"こどもが主役"のこども園はぜるの体験」と、「"こども主義"な寮での暮らし体験」がセットに。そしてまちをまるごと親子で楽しむ。その全てが保育園留学の体験となります。

2. 保育園留学の寮がめざす世界

保育園留学は、とことんこども主義の体験です。ならば、暮らしもとことんこども主義であるべきじゃないか?その思いから寮の設計において「こどもに振り切る」ことを大きな方角に据えました。

よくよく考えると、お家のサイズや日常の都合は基本的にすべて大人に合わせてあります。あらゆるものが、「どうせ大きくなるから」「大人のほうが使いやすいから」と前提に立って設計されています。

ただ、それはこどもからすると、圧倒的に不便な環境に置かれているとも言えます。こどもは常に大人の誰かの都合にあわせる必要があります。でも、本当にそれでいいのか?実は、暮らしの感性が一番育つ今の時期に、さまざまな創造性にフタをしてしまっていないだろうか?という疑問が残ります。

また、ママ・パパメンバーの話を聞いていくと、「大人もいつの間にか常識にとらわれてるよね…!」という声が溢れてきました。「走り回ると、ウチはマンションだから下の階に迷惑だから怒ってしまう」「後先を想像して、危ないから・汚くなるから・狭いから、何かをやらせないことがある」といった、ほんとうは、こどものためを思うとそんなことしたくないはずのことが出てくること、でてくること…。(世の中の親御さん、ほんとうにいつもありがとう&おつかれさまです!!)

もちろん永遠にこどもに合わせることも、環境をいきなり変えることも難しい。でも。もし、保育園留学の間だけは、くらしもとことんこども主義にできたら?2週間という滞在期間を活かして、大人も一度常識をリセットすることを楽しめたら?そんなことを思いながらコンセプトをうんうんと考えていると、厚沢部町に秘められたルーツに出会いました。

3. コンセプトの決定:こどもの創造性と大人の常識をはばたかせる家

「厚沢部町は、古来より渡り鳥が子育てのために訪れ、親子がはばたいてく川だった」

厚沢部町は、親子がはばたくための町だった。だとすると、この家は、親子がはばたける家が一番いいんじゃないか。こどもがとことん暮らしのなかで、何も制限なく創造力の翼を広げられて、大人もあれこれ常識を気にせず、むしろこどもと一緒になって飛び立てる家。

奇跡のルーツに出会い、「こどもの創造性と大人の常識をはばたかせる家」というコンセプトがとてもしっくりきました。ここを起点に、様々なプラン決めが加速していきました。そのときの企画書の一部がこちら。

認定こども園はぜるも、保育園留学も、あるべくして厚沢部にあったのだなと感じられずにはいられませんでした。上記のような使われ方を想像しながら、さらに次の価値観を決めていきました。

4. 補助線をつくる:保育園留学の寮則/設計原則「KIDS」

そして寮ならば、寮則があるのでは?と、考えていって出来上がったのが保育園留学の寮則/設計原則「KIDS」という価値観。これは、私たちが設計する上で、判断するときの補助線になりました。

例えばこんな議論がありました。

「"こども主義"的に、まず洗面所はこどもスケールにしよう。大人はキッチンを使えばいいよね」
「2週間の滞在ならもっと大胆に"今を生きる"設計でもいいんじゃないの?」
「この壁はKIDSの"砂場思考"的には空間を制限してそうだね」
「"ダメ禁止"なら、はしご→階段にできたら親も安心だよね」

「こどもの創造性と大人の常識をはばたかせる家」というコンセプト(中心)と、「KIDS」という(補助線)ができたことで、プランの議論も格段に解像度が上がりました。

寮でご家族に暮らしていただくときも、寮則(という名のワクワク暮らしていただくための心構え)として、このKIDSを心に置きながら過ごしていただけるような暮らしの設計を行っています。

5. ログハウスのBESSとプロデュース

今回の厚沢部町の保育園留学の寮では、"「住む」より「楽しむ」"ログハウスのBESS(ベス)の皆さんと制作をすすめています。

今回ベースとなるモデルは、BESSが提案する「栖(すみか)ログM40」。「羽を持つ自由人のためのすみか」というコンセプトで、今回の「はばたく家」との親和性もぴったりです。

何度も打ち合わせを重ね、保育園留学チームも実際に何度も展示場に足を運びました。ログハウスならではの木の温かみの感触や、コンパクトながら親子の空気感が感じられるサイズ感、実際に小屋裏(ロフト)に登って「作業もすごく集中できそう!」といったことを確認。とてもいいものができると確信しています。

栖ログの小屋裏の様子。大きめの男性メンバーもすっぽり。
BESS展示場での保育園留学メンバーの一コマ。はぜる留学経験のあるママであり、自宅設計の経験もあるので視察も念入り。この…木のあたたかみが…いいよね…!

我々としても家を作るチャレンジが手探りのなか、たくさん助けていただきながら完成に向けて一緒に走っています。

木口さん、BESSチームのみなさんと現地の位置を確認している様子
ちょっと暮らし住宅の横の開放的な空間に建つ予定です。
はしごが階段になったり、こどもがトイレに入りやすい洗面一体空間になっていたり。栖ログをベースにしたスペシャルな寮が出来上がりそうです。個人的には渡り廊下や、仕切りを減らしつつ小上がりにする工夫などがとても楽しみです。

6. 保育士さんとつくる

こども主義の家の実現するために、認定こども園はぜるの主任の先生方(はっしーこと橋端先生・ちっかーこと西村先生)にも入っていただいてプランを考えていきました。

認定こども園はぜる設立から携わっている、主任のはっしー先生(左)とちっかー先生(右)
栖ログ見学中の一コマ。今回のプランでははしごが階段に、ストーブが変更になるなど、先生たちと議論しながら、KIDSにもとづいた変更が行われます。

実際につくばのBESS展示場まで北海道から来ていただき、実際に建てるベースのモデルを見てもらいながら、「ここの取手は、こども向けに工夫できそう」「こどもサイズにしたときのこういう調整がよいんじゃないか」といった意見を出し合いながら詳細を詰めていきました。

ちなみに先生たちと厚沢部町木口さんは、あのはぜるを0から作ったヒーローたちでもあります。はぜる建築時の知見もシェアしてもらいながら、圧倒的安心感のもと進めています。

木口さんも先生たちも"KIDS"なお家づくりにワクワクしながら視察。ハンモックは現状プランに入っていませんが、楽しみな空間づくりを予定しています。
北海道から弾丸でつくばの展示場まで来ていただきました。ありがとうございました!

7. どんなお家に住んでみたい?こどもたちと考える

はぜるのこどもたちにもプランづくりに参加してもらいました。先生に協力してもらい、ほぼまっさらな躯体だけを印刷。年長さんたちに「どんなおうちに住みたい?」という質問をしてアイディアを好きなように表現してもらいました。創造力のあふれること、あふれること。

こどもたちにとっても「自分たちが考えた家が厚沢部にできた」という、共創のプロセスは大きな財産になります。こどもたち自身と一緒にワクワクしながら作っています。

8. もしも、お家が空を飛んだら?はばたく家をつくろう

なかでもみんなのワクワクを最大限にするため、今回は「空とぶお家」のデザインを取り入れました。その名のごとく、こどももおとなも「はばたかせる家」として翼のようなタープの設置を予定。多様な使い方が楽しめる想定をしています。

「あのね、ぼく、そらとぶ家に泊まったことがあるんだよ!」留学したこどもたちのワクワクした思い出の1ページになることを想像すると、とても完成が待ち遠しいです。

「あのー、、、空飛ぶ家を、、、つくりたいのですが……」と無邪気にBESSチームの皆さんに相談してMTGの空気が凍ったのが昨日のようです。本当にありがとうございました(笑)。その結果、素晴らしいアイディアを持ち込んでくださいました。
厚沢部の名産「とうきび」カラーの家。
こちらは同じく厚沢部の名産「アスパラ」カラーのおうち。

9. 2024年春の完成に向けて

現在、チーム一丸となってプランの大詰めと準備をしています。今秋に着工予定、2024年春に完成を予定しています。

具体的な空間や家具のイメージはこれからもっと見えてくる部分はあるのですが、都市部ではなかなか味わえない「こどもの創造性と大人の常識をはばたかせる家」として、保育園留学家族に必ず気に入っていただける家になるはずです。ぜひご期待ください。

2024年6月〜2025年3月の予約が、先行予約より始まりました。先着順とはなってしまいますが、ぜひ多くのかたに寮での暮らしと、はぜるでの保育園留学体験を楽しんでいただけたらとても嬉しいです。来年の厚沢部町で、お待ちしています! 


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