Hideaki Kotaka

日本旅行作家協会会員/食文化研究家。メディア、イベントを基に「旅・食・音楽・人」を結ぶ…

Hideaki Kotaka

日本旅行作家協会会員/食文化研究家。メディア、イベントを基に「旅・食・音楽・人」を結ぶコーディネーター。放送局を経てRONIN、サラエボとマルセイユで主夫稼業、2020年3月に日本帰国。世界80以上の都市地域訪問。『香高堂の旅する生活記~地中海の北縁』を書き始める。

最近の記事

地中海北縁記第5章~また旅猫GRISに恋して その4

【地中海北縁記第5章~また旅猫GRISに恋して】 その4 《また旅猫記番外編「僕はトラ、君を守るよ!」》  2016年12月16日追記  僕は今、丸い瀬戸物に入ってソファに置かれているGRISを守っている。だって、ペナンから東京、ダカール、サラエボ、マルセイユとずっと一緒だったからね。僕は死ぬことがないから、このまま居られる。主人たちは一緒に僕を火葬しようと思ったらしいが、見守ることを望んだようだね。 僕の名前はトラと言うらしいのだ。主人たちが「トラちゃん」と言うから、そう

    • 地中海北縁記第5章~また旅猫GRISに恋して その2&その3

      【地中海北縁記第5章~また旅猫GRISに恋して】 その2《また旅猫天に召される、死期を前にした猫の覚悟》  GRISの最期は欧州時間で206年11月25日の夜8時前、日本時間では26日朝方4時前、我が家の「また旅猫=GRIS」が旅立った。家のカミサマの膝上で、静かに永遠の眠りに入ったようだ。私は東京におり、その2時間前に鳴き声を聴いたが、電話で鳴く声が聴けるのは初めてだった。その声はまるで「明日帰ってくるのね、必死で頑張るけど、ちょっと無理みたい」と鳴いていたようだ。  腎

      • 地中海北縁記第5章~また旅猫GRISに恋して その1~

        【地中海北縁記第5章~また旅猫GRISに恋して】  我が家には18年連れ添った<GRIS>というメス猫がいた。1999年、家のカミサマが赴任先のマレーシアのペナン島のゴルフ場で拾い、持ち帰った。お転婆なGRISはすくすくと育ったが、この上もなく臆病でもあった。だが日本とペナンを2度往復し、さらに家のカミサマのダカール赴任に伴って、パリ経由で日本を2度も往復した。その後東京で数年落ち着いた生活をしていた。2013年、猫には思いもよらぬ寒いサラエボ行きとなったが、それでも日本を2

        • ある男の物語①「枚方市にて昼飲み鴨鍋ライブ」

          ある男の物語①「枚方市にて昼飲み鴨鍋ライブ」=旅空香高堂  3月24日(日曜)昼前、その男は京都駅に降り立った。近鉄奈良線で丹波橋駅へ、京阪電車に乗り換えて枚方市駅に向かう。その駅のガード下にある居酒屋メイズダイニング で<昼飲み鴨鍋ライブ>が行われた。2017年の<昼飲みすき焼き鍋ジャズライブ>以来だった。  ミュージシャンは、京都は先斗町や三条大橋などを中心にストリートミュージシャンとして活動している小竹親(ちかし)、心に響く魂のブルースシンガー市川芳枝、そして7年前

        地中海北縁記第5章~また旅猫GRISに恋して その4

          【地中海北縁の旅と生活】第4章<南仏マルセイユ生活始まる>⑥

          香高堂 第4章<南仏マルセイユ生活始まる>⑥ 《10月下旬、難民状態からの脱出と引っ越し》    やっと、狭い部屋での難民状態から抜け出すことが出来るようだ。新居はアパートメントホテルから歩いて10分ほどの場所だ。サラエボから既にマルセイユまで到着しており、入管手続きを受けている。10月21日金曜の14時に引越荷物が届く予定で、フランスの狭いエレベーターでどのくらい時間がかかるのか心配であるが。  新居に台所製品はほとんど付いているが、照明器具もないし、家具付きではない。ベッ

          【地中海北縁の旅と生活】第4章<南仏マルセイユ生活始まる>⑥

          【地中海北縁の旅と生活】第4章<南仏マルセイユ生活始まる>⑤

          香高堂 【地中海北縁の旅と生活】第4章<南仏マルセイユ生活始まる>⑤ 《やっとヤドカリ生活が終わるか、ユニクロとダロワイユ》  9月末の日曜、マルセイユの最大の観光地、旧港にてストリートジャズを聴く。ジャズはどんな街角でも心地よく響いてくるが、陽光の海辺で聴くのも清々しい。フランス語に慣れるため毎日のようにテレビを見ているが、あまり聴くことは少ない。早くコンサートやライブハウスでも行きたいと思っているのだが、生活拠点が無いと落ち着かない。  9月下旬から昼間は半袖1

          【地中海北縁の旅と生活】第4章<南仏マルセイユ生活始まる>⑤

          第4章<南仏マルセイユ生活始まる>④【地中海北縁の旅と生活】

          香高堂 【地中海北縁の旅と生活】第4章<南仏マルセイユ生活始まる>④ 《数少ない日本人に出会う機会》  9月のある日曜、エクサンプロバンスの日本人との懇親ゴルフに参加した。この日も強い風が吹き付け、手持ちの衣類を重ね着して何とか寒さ対策をした。あの夏の暑さは何であったのかと思うが、幸い身体を動かして風邪も吹き飛ばす。スコアは問題にならないぐらい酷いものだった。  夕方からのエクサンプロヴァンスの寿司屋で打ち上げ、久しぶりの日本語でもあり、会話が弾んで帰りは23時過ぎになっ

          第4章<南仏マルセイユ生活始まる>④【地中海北縁の旅と生活】

          【地中海北縁の旅と生活】第4章③<南仏マルセイユ生活始まる>

          【地中海北縁の旅と生活】第4章③<南仏マルセイユ生活始まる> 《牢獄のような部屋からの脱出、長引く部屋探し》  地中海岸近くにあるアパートメントホテルの部屋は1階1号室、客が出入りする玄関の隣、小さなテラスはあるが、陽はそれほど差し込まない。ここに出入りする人々の視線に晒され、窓もあまり開けられないから部屋の空気も重くなる。窓から見えるのは植栽と2本のヤシの木、段々と牢獄にいると思えるようになっていた。  家のカミサマは車で出勤しているが、唯一開放感を味わえるのは午前と

          【地中海北縁の旅と生活】第4章③<南仏マルセイユ生活始まる>

          【地中海北縁の旅と生活】第4章②<南仏マルセイユ生活始まる>

          【地中海北縁の旅と生活】第4章②<南仏マルセイユ生活始まる> 《ボレリー公園を横切るとそこには》  仮住まいの短期アパートメントホテル近くには<Parc Borély=ボレリー公園>がある。今は夏の日差しが強すぎて、ゆっくりと散歩はしていないが、公園の中に競馬場や9ホールのゴルフ場がある。朝の散歩やピクニック、地中海に日が沈む壮大な景色が楽しめるらしい。この中の日本庭園で9月末に、日本総領事館が中心になった「日本の祭り」が開催される。私も駆り出されるようだ。神戸市と姉妹都

          【地中海北縁の旅と生活】第4章②<南仏マルセイユ生活始まる>

          【地中海北縁の旅と生活】第4章<南仏マルセイユ生活始まる>①

          香高堂【地中海北縁の旅と生活】第4章<南仏マルセイユ生活始まる>① 《マルセイユでの短期アパートメントホテル生活―2016年》  2016年8月29日夕方、サラエボ空港からミュンヘン経由でマルセイユ空港に着いた。出向かえの車に乗せられて、短期滞在用のアパートメントホテルに到着。1カ月の予定でいるが、ここでどのくらい過ごすことになるのか、家探しの難関が待ち受けていた。 ◆『Marseille=マルセイユはフランス最大の港湾都市で、PACA=プロヴァンス=アルプ=コート・

          【地中海北縁の旅と生活】第4章<南仏マルセイユ生活始まる>①

          【地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記⑦

          【地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記⑦《また旅猫、南仏マルセイユに到着》  マルセイユ行きの飛行機の中でサラエボ生活を思い出していた。そして、「また旅猫グリも着いたわよ!」とGRIS語りがまた始まる。  サラエボからまた赤いケージに乗せられたのは2016年8月29日の午前11時半、病院かなと思ったのですが、ここ数週間何かが違っていたのね。サラエボの空港で、私の飛行機代やオーバーチャージで少し揉めたようで、ギリギリ搭乗時間になったの。私も床に置かれたまま

          【地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記⑦

          【地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記⑥

          【地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記⑥《また旅猫、サラエボから南仏マルセイユに》  皆さん、こんにちは、あれ?こんばんはかしら。マレーシア生まれのグリと呼ばれていますが、本名は「GRIS」というフランス語なのよ。どうやら私は8月28日から南仏のマルセイユで生活することになったみたい。  マルセイユのあるプロヴァンス地方の冬は季節風のミストラルが吹き、風が強いみたいだけど暖かく、私にとっては栄養となる陽光の差し込む明るい土地と聞いたわ。このサラエボのよう

          【地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記⑥

          【地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記⑤

          【地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記⑤《笑顔がきこえるサラエヴォな人々》  旅立ちにまだ少し早い8月24日、顔馴染になったサラエボの人々にボスニア語で書いた1枚の御礼の手紙を渡して、お別れの挨拶を行った。もちろん言葉は話せないので身体言語を交え、挨拶文はGOOGLE翻訳であるが、どこまで通じたか分からない。 ・毎朝のミルクティーに合う紅茶を黙々と選んでくれた紅茶屋のおじちゃん。 ・近所の小さな商店のおばちゃん、会うといつも店を飛び出し手を振ってくれた。 ・

          【地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記⑤

          【地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記④

          【地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記④ 《異感慨深い国の地での日本語、カフェで過ごした至極の時》  引越し荷物の搬出を終えてサラエボ3年間の感慨に浸る。8月のある日、土曜昼から我が家にボスニア関連の人々が集まった。版画アーティストのタイダ&スティーブン夫妻、画家で日本を描くムハ&ラリッサ夫妻、そしてボスニアと行き来する元大使館員の家村ゆかり、日本語講師の折原まゆ、上智大大学院生、日本語講座のボスニア人生徒達、家のカミサマの後任の熊倉氏などだ。この場にボスニ

          【地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記④

          【地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記③

          香高堂 地中海の北縁の旅と生活【第3章 サラエボ生活3年記】 ③《引っ越し準備と不思議な羅針盤》  2週間を切ったマルセイユへの移動、3年間ほど住むことになるが、どんな心根が映えてくるのであろうか。本格的にフランス語の勉強をしなければならないが、記憶力の衰えは激しく起こっている。  BOOKデータベースは梨木香歩の「不思議な羅針盤」を以下のように解説している。『ふとした日常の風景から、万華鏡のごとく様々に立ち現れる思いがある。慎ましい小さな花に見る、堅実で美しい暮らし。真

          【地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記③

          【地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記②

          【香高堂 地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記 ②《人生と引越荷物のトリセツ》  マルセイユでの短期滞在アパートメント生活は1か月程度を想定している。衣料などその間の生活用品を手持ちしなければならないので、飛行機のエクセスチャージも馬鹿にならない。日本は引っ越し業者がしっかりと梱包までやってくれるが、途上国の人間にはきめ細かな作業は頼めない。  荷物は大きく<食器類><台所用品><調味料等食材><本&資料類><衣類(夏物冬物><生活雑貨><寝具等>に分けられ

          【地中海の北縁の旅と生活】第3章 サラエボ生活3年記②