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ある男の物語=物事の観方と形、円周率

●ある男の物語=物事の観方と円周率
 
 その男は「何ともつまらなく、息苦しい世の中になった、もっと緩くて、寛容でいいのに」と考え込む。
 人は物事や事象を形として見るようだ。同じ形のものを見ても、三角形、正方形、台形等それぞれ違いがあっても、「角々しい眼差し社会」になったようだ。円の形を見て、そこに物事を入れたら、余りが出る。余裕ある心は「そこを観ることから生まれる」のではないかと、その男は考える。
 
 ふと、円周率が<3.14>から<3>になったのは何時だろうか。そう教えられた人々はいるのだろうか。ネット検索すると「2002年度の小学校学習指導要領の改訂に伴って、日本の算数教育にてそれまで3.14と教えていた円周率の近似値を3と教えることになった」とある。ただ、世間に広まった事象であり、実際には改訂後も円周率の近似値は3.14で教えているようだ。
 その男の妄想は膨らむ。右か左か単一的思考、そして画一化教育が進んだのは、ゆとり教育と言う美名の円周率<3>が果たした役割は大きい。2000年代、日教組が形を成さなくなり、教育委員会の学校支配が進んだのは確かだ。
 
 その男は尖がった生き方をしていると言われ続けてきたが、そろそろ円くなっていきたいが、なかなか思い通りになれない。今を活きるのに、怖れるものは無いが、敬うものは少なく、虚しさを感じる日々もあり掌が鳴く時もある。さらに語尾が聞き取りにくくなり、二度聞きを繰り返すことが出てきた。集中力を持って、人の話を聞くことを心掛けており、補聴器の世界にはまだ早いようである。
 
 老化を考えるのは60歳から、65歳からははっきりと意識して対策すべきだ。70歳を過ぎたたら、精神的身体的に落ちてくる。その男は、自身の持つ眼差しや理念哲学、培ったもの、音楽ライブ、味覚の感性や感覚はまだ「活きている」と思っているが、憑き物が落ちたような感覚、身体が軽くなるような意識境地には到達出来ていない。

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