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3D, VR, AR, AI for Medicine, Bioinformatics, NLP, Research Ethics. Views are my own. https://twitter.com/hkakeya

最近の記事

新型コロナ武漢研究所起源説の根拠

ラトガーズ大学のRichard Ebright教授が新型コロナ武漢研究所起源説の根拠を列挙したツイートのスレッドが反響を呼んでおり、9/10時点で1.9万以上の「いいね」がついている。彼は8/3の米上院の公聴会でも証言している。 また、Ebright教授は私も参加しているパリグループのメンバーで、私も面識がある(パリグループとは、2021年の年初から毎月1度オンラインで集まり、新型コロナの起源について議論を積み重ねてきた世界の研究者の集まりである)。新型コロナのパンデミック

    • 武漢で行われていた悪魔の研究

      8月3日、米上院で新型コロナウイルスの起源とウイルス機能獲得研究の規制についての公聴会が開かれた。証人はリチャード・イブライト、スティーブン・クウェイ、ケヴィン・エズベルトの3人である。 この3人のうち、イブライトとクウェイは新型コロナの起源を追う国際的研究者のネットワーク「パリグループ」のメンバーである。私もパリグループに属しているので、イブライト博士もクウェイ博士もネットを通じて面識がある(私は積極的に発言する方なので、先方も私の名前を覚えていると思う)。 英語のでき

      • 真の知性は謙虚さから生まれる

        先日、厚生労働省のワクチンに関するデータ不正を見破った名古屋大学の小島勢二名誉教授の講演をオンサイトで拝聴した。僭越ながら挨拶と名刺交換もさせていただいた。画面を通してみるのと同じで、謙虚で物腰の柔らかい方だった。 小島先生による解説動画はいくつかあるが、研究者の手本となる話し方をされる。専門ではないことについてはそれを素直に認めつつ、自らの専門的知見と医学や統計数理の基礎知識に基づいておかしいと思う点には、科学的根拠を以ってそれに切り込まれる。お時間のある方は、下に挙げる

        • 論理学メモ

          池田信夫氏から次のような指摘を受けた(追記:最初に紹介した一つ目のツイートは削除され、その後二つ目が追加されている)。 流石に大学の理系教員で対偶を知らない人はいない。「AならばB」の対偶は「BでないならばAでない」である。ある命題が真なら、その対偶も真であることは常識中の常識である。ただ、西浦説の真偽判定と対偶は関係がなかった。この点、拙著「学者の暴走」の3章で説明しているのでそれを引用しておく。 ーーー 論理学において、「AならばB」という命題は、Aが偽の場合Bの真偽

        新型コロナ武漢研究所起源説の根拠

          核兵器を持った石器人

          ロシアのウクライナ侵攻を見て「まさかこの時代にこんなことが起きるとは」と驚いている人をよく見かける。日本の知識人の多くも、ロシアがウクライナを侵攻することはありえないと考えていたことは、以前述べた通りである。 彼らの最大の誤解は、人類が進歩しているという錯覚である。進歩しているのは知の蓄積としての文明であって、生物としてのヒトは全く進歩していないことに彼らは気づいていないのである。1万年前のヒトのDNAを持つ赤ん坊を誕生させて、現代社会において教育を受けさせれば、現代人と同

          核兵器を持った石器人

          神の死がもたらす科学と民主主義の死

          「神は死んだ」というニーチェの言葉は有名である。実際、現代社会においては無神論者が増えており、宗教の迷信の対極に科学が存在すると考える人も少なくない。「神は妄想である」を書いたリチャード・ドーキンスがその代表例である。また、先進国に住む現代人の多くは、少なくとも表向きは民主主義の信奉者である。だが、この無神論の広がりが、科学と民主主義の死を招きつつあるというのが私の見解である。 前回、進歩的知識人を西洋キリスト教文明の思想と対極をなすものとして取り上げたが、彼らこそが典型的

          神の死がもたらす科学と民主主義の死

          現代知識人の予測に大外れが多い理由

          今のニュースの大部分はロシアのウクライナ侵攻に関する話題である。事態の推移ばかりに目を奪われがちだが、日本の知識人の多くが、ロシアのウクライナ侵攻はないと予測していたことは忘れるべきではない。ところが、予測を外した知識人たちは、慶応大学の廣瀬陽子教授のようなごく一部の良心的な人を除いて、全く反省していない。彼らは自分が予測を大きく外したということに真摯に向き合う気は全くないようである。 これと似たことは、新型コロナウイルスを巡る問題においても、医師や学者に多く見られた。彼ら

          現代知識人の予測に大外れが多い理由

          高まるオミクロン株研究所起源の可能性

          以前、オミクロン株の変異が自然に生じる可能性は極めて低いことを述べた。 これについて議論を深めたものを東工大の先生と共著で論文化して学術誌に投稿した。そのプレプリントはプレプリントサーバ上で既に公開している。 私は以前から武漢原株も研究所起源の可能性が非常に高いと指摘してきた。だが、中国がデータを隠蔽しているため、その可能性について定量的評価がはできない。一方、原株からオミクロン株の変異が生じる確率は、共に塩基配列が分かっているので数理的評価が可能であり、それを実践したの

          高まるオミクロン株研究所起源の可能性

          生物兵器研究を今すぐ中止せよ

          ロシアが、ウクライナが米国の支援を受けて生物兵器の開発をしているというプロパガンダを流したことで、生物兵器開発が注目を浴びている。ウクライナにはP4の研究所はなく、生物兵器を開発するためのインフラは十分ではない。一方、米国、中国、ロシアはいずれもP4の研究所を保有しており、これらの国々が生物兵器の研究をしていることは間違いない。私はこれを機会に、全ての国で生物兵器の研究を禁止すべきだと考えてる。 これに関連して前回、高リスク機能獲得研究の中止を求めるハンブルグ宣言を紹介した

          生物兵器研究を今すぐ中止せよ

          ハンブルグ宣言:パンデミックを引き起こしうる病原体に関する高リスク機能獲得研究を全世界で中止する要求

          世界から50人の学者が署名。日本からは防衛医科大学校の四ノ宮成祥学校長と私が署名しています。 以下、日本語訳です。 ハンブルグ宣言:パンデミックを引き起こしうる病原体に関する高リスク機能獲得研究を全世界で中止する要求 人類の福祉への貢献、真理の探究、そして得られた知識を一般市民に伝達するという科学研究の使命と責務に鑑み、近年の危険な病原体を改変する新たなバイオテクノロジーの出現が、人類存亡の大きな危機をもたらしていることを我々はここに警告する。 機能獲得研究の名で一般

          ハンブルグ宣言:パンデミックを引き起こしうる病原体に関する高リスク機能獲得研究を全世界で中止する要求

          新型コロナウイルス起源問題続報

          今月に入ってから、新型コロナウイルスの起源問題についていくつかの大きな動きがあったが、日本では一切報道されていない。それらについて、要点を絞ってお伝えしたい。 まず、2月4日、私の属するパリグループのメンバーを中心に新型コロナウイルスの起源調査を再度求める声明を出した。私も署名している。 この件は米国ABCやフランスAFP通信などでも報じられている。 次に、ハンガリーの研究者が、2019年に南極から上海に送られた土壌のサンプルから新型コロナウイルスの祖先らしきウイルスの

          新型コロナウイルス起源問題続報

          新型コロナウイルス起源問題フォロー推奨リスト

          前回述べた理由で、SNSでの発信(Facebookの友人限定を除く)は休止します。 パリグループ(後述)の活動など、新型コロナウイルス起源追究の国際活動に関しては、少なくとも日本から参加してくれる代わりの人が出現するまでは継続する予定です。(そこで明らかになったことは、SNSでは発信しませんが、他の媒体で機会が与えられれば発信いたします。) これまで続けていた新型コロナウイルスの起源についての私からの情報発信も止まってしまうことになるので、この問題に関心がある方のために、

          新型コロナウイルス起源問題フォロー推奨リスト

          感謝と今後について

          前回投稿したお詫びは、誰かに促されたわけではなく、自分の非に気づいて自発的に行ったものであるが、その後ある方(生命科学者)から非常に長いメールをいただいた。その方とは一度お会いしただけで、大変失礼ながらよく覚えてはいなかった。そのメールの前半は、私の新型コロナウイルス起源追究の活動を応援するもので、後半は最近の投稿に対する遠回しでの苦言であった。苦言といっても、かなりやんわりとした表現が使われており、気分を害さないように練られた名文だった。このメールを書くのに、相当の時間を要

          感謝と今後について

          お詫び

          前回、前々回の2回の投稿で、屋代香絵先生に関して不正確な投稿をしたことを深くお詫び申し上げます。 屋代先生とは、昨年8月から10月にかけて、新型コロナワクチンの職域接種を若者にも打たせたことの是非について論争した経緯があります。私が高リスクの中高年層を優先すべきだったと主張したのに対し、屋代先生が若者にも積極的に打つべきだ主張した対立でした。それゆえ、屋代先生が職域接種で使われたモデルナワクチンを若者に接種することに対して肯定的な立場を長く維持されていたと勘違いしたことが、

          お詫び

          オミクロン株の変異について ~数理的思考の勧め~

          Twitterと違ってnoteのいいところは、字数制限がないので数理的な議論をじっくりできることである。これまでも、日本で新型コロナ陽性者(デルタ株)が減った原因に関する考察などで、そうした議論を行ってきた。 新型コロナウイルスのパンデミックで気づいたのは、生命科学者の多くは数理的思考が非常に苦手なことである。特に、塩基配列の変異について確率論的な考察ができる人は非常に少ない。新型コロナウイルスに特徴的なフーリン切断部位の挿入に関する議論でもそれを感じることが多かったが、オ

          オミクロン株の変異について ~数理的思考の勧め~

          オミクロン株の波をどう乗り切るか

          新型コロナウイルスに関しては、数理的思考を要求される場面が何度となくあった。PCR検査の偽陰性・偽陽性の問題を考える上では、ベイズの定理の考え方が必要だった。(この件についてはパンデミック初期に動画を作って解説している。) 今、数理的思考の欠如がまた必要な対策を見誤らせている。現在、新型コロナウイルスは前の週に比べて約10倍のペースで増えている。1月8日には新規陽性者が全国で8000人を超えた。そんな中、ワクチンのブースター接種を急ぐべきだという声が上がっている。しかし、こ

          オミクロン株の波をどう乗り切るか