見出し画像

小説「哀愁のアクエレッロ」:最終章・祈り

 翌朝、気持ちよく目覚めると、ポンテ・ヴェッキオに向かう道の途中にある市場でりんごと杏を買い込み、近くの公園でほおばりながら、さてどうやって事にあたろうか考えた。昼間からいろいろと聴き込みを開始するのもいいが、やはり多くのお店が空いている夕方から夜にかけて動いた方が効率がいいだろうと思い、昼間はフィレンツェの街をぷらぷらと歩き回りながら気分を盛り上げておこうと決めた。やはりダヴィデ像はもう一度見ておかなくてはなるまい。ダヴィデ像の絵を描いたことがきっかけでフランチェスコに「フィレンツェで絵を描いたらまた来てくれ」と言われる成り行きになり、それでルイゼッラにも出会えることになったのだ。まさにこの出会いのキューピット。どうしてもこの目であの御姿を再び拝んでおく必要があるように思われた。

ここから先は

3,666字
この記事のみ ¥ 100

サポートいただけたら、感謝の気持ちを次のチャレンジに向かうモチベーションに換えさせていただきます!