Yuji

東工大12年生。国際開発工学を専攻。演繹的に考える練習の場として書いてみようと思います。

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東工大12年生。国際開発工学を専攻。演繹的に考える練習の場として書いてみようと思います。

最近の記事

Diffusion of Innovations の解説ー18

Diffusion of Innovations theoryは「よい技術があったとしても、それが普及するとは限らないのはなぜか?」という問いについて考える理論です。 前回から、Innovationはどのように起こるのかについて説明をします。Innovationの発生は6つのステップ、1)課題とニーズの設定、2)研究、3)開発、4)商品化、5)普及、6)結果、から成ると説明しました。 今回は、5)普及、6)結果についての説明をします。 5)普及 技術の商品化の後、最も頭

    • Diffusion of Innovations の解説ー17

      Diffusion of Innovations theoryは「よい技術があったとしても、それが普及するとは限らないのはなぜか?」という問いについて考える理論です。 前回から、Innovationはどのように起こるのかについて説明をします。Innovationの発生は6つのステップ、1)課題とニーズの設定、2)研究、3)開発、4)商品化、5)普及、6)結果、から成ると説明しました。 今回は、3)開発、4)商品化についての説明をします。 開発とは、アイデアを実際に課題を

      • Diffusion of Innovations の解説ー16

        Diffusion of Innovations theoryは「よい技術があったとしても、それが普及するとは限らないのはなぜか?」という問いについて考える理論です。 今回からは、Innovationはどのように起こるのかについて説明をします。 Diffusion of Innovations theoryでは、Innovationの起こり方が、その後の普及に影響を与えていると説明されています。例えば、誰のどんな課題を解決するのか、研究はどのように行なわれたか、開発や製品

        • Diffusion of Innovations の解説ー15

          Diffusion of Innovations theoryは「よい技術があったとしても、それが普及するとは限らないのはなぜか?」という問いについて考える理論です。 今回は、Diffusion of Innovations theory の欠点の三つ目、Recall Problemについての説明と対処方法について書きたいと思います。前二つの欠点が、認知上の欠点であったのに対し、Recall problemは、研究手法上の欠点です。 普及過程を分析するときに重要なのが時間

        Diffusion of Innovations の解説ー18

          Diffusion of Innovations の解説ー14

          Diffusion of Innovations theoryは「よい技術があったとしても、それが普及するとは限らないのはなぜか?」という問いについて考える理論です。 今回は、Diffusion of Innovations theory の欠点の二つ目、Individual-blame biasについての説明と対処方法について書きたいと思います。 Individual-blame bias は、イノベーションが普及しない原因が、受け手となる個人にあると考える傾向のことを

          Diffusion of Innovations の解説ー14

          Diffusion of Innovations の解説ー13

          Diffusion of Innovations theoryは「よい技術があったとしても、それが普及するとは限らないのはなぜか?」という問いについて考える理論です。 前回は、Diffusion of Innovations theoryの欠点としてPro-innovation biasについて説明をしました。今回は、Pro-innovation biasの対処法について説明をします。 前回説明した通り、Pro-innovation biasとは、普及研究をする研究者が、

          Diffusion of Innovations の解説ー13

          Diffusion of Innovations の解説ー12

          Diffusion of Innovations theoryは「よい技術があったとしても、それが普及するとは限らないのはなぜか?」という問いについて考える理論です。 今回からは、Diffusion of Innovationsが残してきた長所と欠点について説明します。今回は欠点について。 Diffusion of Innovationsについて指摘される欠点には大きく三つあります。一つ目は「Pro-Innvovation bias」と呼ばれるもので、イノベーションは普及

          Diffusion of Innovations の解説ー12

          Diffusion of Innovations の解説ー11

          Diffusion of Innovations theoryは「よい技術があったとしても、それが普及するとは限らないのはなぜか?」という問いについて考える理論です。 今回からは、Diffusion of Innovationsが残してきた長所と欠点について説明します。今回は長所について。 Diffusion of Innovationsの長所は、その汎用性の高さにあります。RogersはDiffusion of Innovations theoryの重要な役割として、1

          Diffusion of Innovations の解説ー11

          Diffusion of Innovations の解説ー10

          Diffusion of Innovations theoryは「よい技術があったとしても、それが普及するとは限らないのはなぜか?」という問いについて考える理論です。 Diffusion of Innovations theory の歴史について、第四回です。今回は、「普及学」で扱われてきたテーマについての紹介です。 「普及学」で扱われてきたテーマは大きく8つに分類されます。 1. イノベーションが知れ渡るまで このテーマでは、イノベーションが、人々の間で、いつ、どのよ

          Diffusion of Innovations の解説ー10

          Diffusion of Innovations の解説ー9

          Diffusion of Innovations theoryは「よい技術があったとしても、それが普及するとは限らないのはなぜか?」という問いについて考える理論です。 Diffusion of Innovations theory の歴史について、第三回です。今回は、「普及学」の研究が行なわれている分野についての紹介です。 1962年にRogersが普及学を一つの体系だった学問分野として「Diffusion of Innovations Theory」という本にまとめて以

          Diffusion of Innovations の解説ー9

          Diffusion of Innovations の解説ー8

          Diffusion of Innovations theoryは「よい技術があったとしても、それが普及するとは限らないのはなぜか?」という問いについて考える理論です。 Diffusion of Innovations theory の歴史について、第二回です。今回は、「普及学」の広まりに貢献した二組の学者について書きます。 一組目は、1940年代にアイオワ州立大学で品種改良種のとうもろこしの普及についての研究をしたRyanとGrosです。彼らの研究は普及学の方法論の体系づ

          Diffusion of Innovations の解説ー8

          Diffusion of Innovations の解説ー7

          Diffusion of Innovations theoryは「よい技術があったとしても、それが普及するとは限らないのはなぜか?」という問いについて考える理論です。 今日からは, Diffusion of Innovations theory の歴史について書いていきます。 イノベーションの普及についての研究の起源は、1900年ごろ、フランスの弁護士Gabriel Tarde、ドイツの社会学者Georg Simmel、イギリス、オーストラリアの考古学者らが、それぞれ別々

          Diffusion of Innovations の解説ー7

          Diffusion of Innovations の解説ー6

          Diffusion of Innovations theoryは「よい技術があったとしても、それが普及するとは限らないのはなぜか?」という問いについて考える理論です。 普及とは「イノベーションが社会集団の中で時間をかけて伝達されていくこと」と定義されています。これを要素に分解すると、1)イノベーション 2)情報伝達 3)時間経過 4)社会集団 の四つの要素から成ると見ることができます。 普及を規定する要因の4つ目が社会集団の特徴です。この場合の社会集団とは同じ目的または問

          Diffusion of Innovations の解説ー6

          Diffusion of Innovations の解説-5

          Diffusion of Innovations theoryは「よい技術があったとしても、それが普及するとは限らないのはなぜか?」という問いについて考える理論です。 普及とは「イノベーションが社会集団の中で時間をかけて伝達されていくこと」と定義されています。これを要素に分解すると、1)イノベーション 2)情報伝達 3)時間経過 4)社会集団 の四つの要素から成ると見ることができます。 普及は時間とともに進んでいきます。技術がある集団に受け入れられるかどうかを、過程として

          Diffusion of Innovations の解説-5

          Diffusion of Innovations の解説-4

          Diffusion of Innovations theoryは「よい技術があったとしても、それが普及するとは限らないのはなぜか?」という問いについて考える理論です。 普及とは「イノベーションが社会集団の中で時間をかけて伝達されていくこと」と定義されています。これを要素に分解すると、1)イノベーション 2)情報伝達 3)時間経過 4)社会集団 の四つの要素から成ると見ることができます。 普及過程で大きな役割を担うのが情報伝達です。情報伝達とは、「ある集団の人々の間で情報が

          Diffusion of Innovations の解説-4

          Diffusion of Innovationsの解説-3

          普及しやすいInnovationとはどのようなものか。 Diffusion of Innovations theory では、普及に影響を与えるinnovationの特徴の5つの要素を説明している。5つの要素とは、優位性、一貫性、難しさ、試用可能性、可視性である。これらの要素は、客観的な指標としてではなく、利用者の主観的評価として議論される。 1.優位性 優位性とは新しい技術が、これまで使われていた技術に対してどれだけ優れているかを示す指標である。経済的な優位性だけでな

          Diffusion of Innovationsの解説-3