Diffusion of Innovations の解説ー11

Diffusion of Innovations theoryは「よい技術があったとしても、それが普及するとは限らないのはなぜか?」という問いについて考える理論です。

今回からは、Diffusion of Innovationsが残してきた長所と欠点について説明します。今回は長所について。

Diffusion of Innovationsの長所は、その汎用性の高さにあります。RogersはDiffusion of Innovations theoryの重要な役割として、1)人の行動の変容を説明する理論の提供、2) 社会変化をおこす効果的なプログラムの提案 の2点を挙げていますが、幅広い分野でその役割を担ってきました。

なぜ、Diffusion of Innovations は多くの分野で使われるようになったのか。四つの特徴が、それに貢献してきたと説明されています。

1. 柔軟性 (Multidisciplinary nature)
一点目に、Diffusion of Innovations が「社会変化」に着目している点にあります。特に、この社会変化を時間的広がり、空間的広がりに着目していることで、あらゆる要素が含まれます。この要素をあらゆる分野における社会変化の目指すものにあわせて組み替えることで、その課題に適用させることができます。

2. 実用性 (Pragmatic appeal)
二点目に、Diffuion of Innovationsを用いた研究の結果が、実践的に役立つ形であることが挙げられます。特定の技術に着目して、その普及を目指す人が普及を促したり、使う人にとっての使用上の課題を解決するために、具体的な方策を提言することができます。

3. 一般化 (Repackage their empirical findings)
Diffusion of Innovationsが多くの分野で扱われたことで、物事の普及過程の一般的な傾向が整理されていることも重要な要素だと考えられています。これまでの技術の利用に関する知見も、Diffusion of Innovationsを用いて、再度、プロセスとして整理し直すことができます。

4. 簡潔な手法 (Clear and easy research methodology)
四点目として、普及のプロセスを整理するための手法が確立されていることが挙げられます。必要なデータや、そのデータを得るための方法がこれまでの研究によって提案され、整理されていることが、幅広い分野への応用に貢献しています。


(引用元: Rogers, E.M. (2003). Diffusion of Innovations (5th ed.). New York, The Free Press.)

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