羊飼い丸岡

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  • 飼育員の過去記事 2022-2023

    2022年~2023年に書いた過去記事を見ることができます。 私が体験した飼育現場の様子や、思いや感情を記しています。

最近の記事

私が人と羊を繋げる理由~飼育員が語る、新しい絆の物語~

こんにちは、飼育員の丸岡です。今日は、私が人と羊をつなぐ取り組みをしている理由について、お話ししたいと思います。 飼育員としての悩み 私は10年以上、飼育員として羊と関わってきました。動物園で "ふれあい" イベントを行い、お客さんに羊の魅力を伝えようと努めてきました。餌やりや体験毛刈りなど、お客さんが羊に触れる機会を作ることに力を入れてきたのです。しかし、その活動に手ごたえを感じられないでいました。 確かにお客さんは喜んでくれます。羊の毛を刈って「これ、服になるんだよ

    • 羊に太くて固い草を食べさせるコツ

      ~母子の絆が鍵を握る~ 羊やヤギの飼育において、餌は非常に重要な要素です。特に、太くて硬い茎の部分まで食べてもらうことは、健康維持と飼育コスト削減の両面で大きなメリットがあります。しかし、習性的に臆病な羊やヤギに、そうした餌を食べさせるのは簡単ではありません。実は、この課題を解決する鍵は、母子の絆にあるのです。 仔羊は母親から学ぶ 人間の子供と同様、羊やヤギも若いうちからの習慣づけが何より大切です。母親が太くて硬い茎をおいしそうに食べる姿を見せれば、子羊・子ヤギも安心し

      • 【飼育初心者向け】羊の餌について知って欲しい3つのポイント

        羊を健康に育てるためには、適切な餌の選択と与え方が非常に重要です。しかし、羊の消化システムは私たち人間とは大きく異なるため、飼育初心者の方にとっては戸惑うこともあるでしょう。 そこで今回は、羊の餌について知っておきたい3つのポイントを解説します。 1. 餌の種類よりも繊維質が大事 羊の1日の餌の量は、体重の3%程度が目安となります。例えば、体重50kgの羊であれば、1.5kg程度の乾燥した草を与えます。生草の場合は、体重の8%程度、約4kgが適量です。 かなりの量を1

        • 原毛の販売について

          今年も毛刈りのシーズンが終わりを迎えようとしておりますが、みなさまお元気でしょうか。 久しぶりの投稿です。 さて、 今回は私が販売する原毛や、 その裏側についてお話しします。 品種や価格がどうとかではなく、 売り方についてのお話しです。 原毛のタイプ まず最初に、 私が販売する原毛には3つのタイプがあります。 1.バディwool(カバード) 2.ノンバディwool(カバード) 3.サンクスwool(その他) ざっくり説明すると、バディとは 専属で繋がりのあることを

        私が人と羊を繋げる理由~飼育員が語る、新しい絆の物語~

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        • 飼育員の過去記事 2022-2023
          19本
          ¥250

        記事

          ひつじの雄

          私がひつじの雄について、色々と教えてくれたのが、コリデール種の「メイメイ」、そしてサフォーク種の「ヘッド」でした。 今から20年ほど前。 動物愛護の観点は低く、ふれあい動物は「抱っこできる物」「お散歩できる物」「餌を与えて楽しむ物」という概念を持っている人がほとんどで、動物は消耗品として扱っている飼育員が多い時代でした。 当時の広場を管理していたのは、田舎のおじいちゃん飼育員がひとりだけ。私は与える餌の量と、掃除の仕方を教わっただけで、「じゃあ後は任せたぞ」という感じに、

          ひつじの雄

          過去を振り返り、過ちを見直してみる。

          私が動物を管理するようになって、早20年が経とうとしています。 それに伴い、私が体験した失敗の数々や、移り変わっていく考え方などを、少しずつここに記していこうと思います。 誰かの糧になれたら幸いです🌱🐑

          過去を振り返り、過ちを見直してみる。

          私にとっての羊飼い

          私が今回感じた思いを、文字としてここに記しておきます。あまり人に向けた言葉ではなく、自分の頭の中を整理するための言葉になるので、読みずらい文章になると思いますがご理解ください。 2023年1月29日 ヒマラヤからお越し頂いた睦美さんとのお話し会。とても生命に満ち溢れた方で、睦美さんが座れば、そこはもうヒマラヤの景色が広がります。 ゆっくりと ひとつひとつの言葉を紡ぎだす睦美さん。 昨年お会いした時と変わらないその眼差しが とても懐かしく感じました。 私は今回、 今まであ

          私にとっての羊飼い

          動物園の羊たち

          このテーマは私の中ではかなり根が深く、 話し出すと止まらないかもしれない。 きっと私にとって、 1番の関心ごとなんだと思う。

          動物園の羊たち

          衣服のこれからを考える

          これは、Fashion Frontier Program 通称「ffp」と呼ばれるプログラムの発起人、ファッションデザイナー中里唯馬さんの言葉です。 今回この取り組みに対して、少し関わらせて頂くことが出来たので、私なりの視点ですが、専門外のファッションについて少し考えてみたいと思います🌱🐑

          衣服のこれからを考える

          求められていたのは羊ではなく作家との繋がり

          今年で2回目となる "羊からはじまる糸ものがたり" 前回の「はじめまして〜この糸はですねー」と お声かけさせて頂いた時とは違い、 今回はお声かけした途端に、向こうから 「こないだ羊に会いに行ってきたよー」と嬉しい反応が返って来ました。

          求められていたのは羊ではなく作家との繋がり

          【羊からはじまる糸ものがたり】て何?🐑

          どうも、羊飼いの丸岡です🌱 久しぶりにnoteを書いておりますが、色々と記しておきたい事があるなと思い、筆を取っております。 さて、 ご存知の方もいらっしゃるとは思いますが、 先日、 6日間に及ぶこちらのイベントが無事に終わりました〜😊ありがとう御座いました〜。 いやー今年も楽しかったです〜 ...あれ、 皆さん来てくれましたか? いやいや😂 終わってから何を言っているんだよって話ですよね、すいません。ここが私の課題です。御免なさい🙇‍♂️ さて今日は、 この【羊か

          【羊からはじまる糸ものがたり】て何?🐑

          成功したければ失敗事例を学べ。

          こんにちは。 ”人と羊が共に歩む未来”を目指している、ちょっと変な羊飼いです。 さて、今日も学生たちに色々と説明していたら、 あっという間に1日が終わってしまったわけですが、 ふと思ったのが、 自分、失敗談とか問題点とか苦悩話とかが好きなんやなってこと。 自分の今までの取り組みや、苦悩、そして今悩んでいることなど。 色々と話していく中で、私は学生たちにその問題から得た学びを、 惜しげもなく伝えています。

          成功したければ失敗事例を学べ。

          命を飼うことの責任ってなに?

          こんばんわ。 今日は仕事おわりに書いてます。 今は、研修生が毎週やってくるファームゼミ期間ですね。 今日も将来を担う若い飼育員から様々な質問に答えていましたが、 その中からひとつピックアップしてみます。 Q:高齢で歯が抜けてしまったひつじさんは、ごはん食べられるのですか? 私の答えはNOです。 食べても口からこぼれ落ちてうまく食べられません。 Q:どうやって食べさせるのですか? 私:特に何もしませんよ。 逆にあなたはどうしてあげたいと思うのですか? Q:何か方法が

          命を飼うことの責任ってなに?

          思うことは多々ある

          思いを言葉に記していくには、 いかんせん時間がかかる。 書きたいことは多々ある。 言葉にまとめてみたい思いは多々ね あるんですよ。本当にね、 でもそれが出来ない、書けない 時間がない。 という問題と、今向き合っています。 はい、noteを書く手が止まってしまいました。 いやーダメですね。 完全に三日坊主です。 いかにこの作業(アウトプット)を習慣化するか、 仕組み化として落とし込めるか。 そこを意識しながら 再度続けてみたいと思います。 前回の失敗例 小屋作

          思うことは多々ある

          羊に適した小屋作り【屋根】

          今日は屋根のお話。 屋根 結構大事です。 羊たちにとって、屋根の役割は 雨が降った時の避難場所になります。 でも、羊は意外と雨には強い生き物です。 雨でも平気で外に出歩いたりしますしね。 試しに雨に濡れた羊の毛をかき分けてみたのですが、意外と中まで雨が入り込んでおらず、 まじか!すご!って普通に感動したのを覚えています。 さて、そんな羊さんでも、 やっぱりずーっと雨に打たれてしまったら大変ですよね。なので、最低限の雨宿りは欲しいです。 じゃあ単純に屋根を付ければ良

          羊に適した小屋作り【屋根】

          羊に適した小屋作り②

          前回の続き、 「小屋に"自然"を取り入れる。」 これが凄く重要なキーワードだと、 私は捉えています。 そもそも自然とは何か、 何を意味してこの言葉を使っているのかを、 先に定義しておきますね。 私の言う"自然"とは、 循環の力です。

          羊に適した小屋作り②