「フリーランス白書2023」から一人起業の独立・経営実態を考察
フリーランスの多くが、一人で個人事業主経営者として働いている方であり、一人起業との親和性も高いと考えております。
今回は、「フリーランス白書2023」を参考に、フリーランス経営(一人起業経営)の実態として紹介させていただきます。
(1)はじめに
「フリーランス白書2024」が、2024年3月26日に公表されました。
以下の画像をクリック頂くと、報告書へリンクします。
「フリーランス白書」とは、一般社団法人プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会様が、
"フリーランスが安心して活躍できる社会に向けた環境整備の一助となると同時に、一人ひとりのフリーランスが自身のキャリアアップや生存戦略を考え、自律的に意思決定するための参考資料"として、2018年以降、毎年公表を行っている調査報告書です。
よく、「フリーランスの実態が見えずらい」と言われますが、これは、「フリーランス」とは業種ではなく、働き方であることが理由の一つと言えます。
本報告書では、業種別にフリーランスを区分し解説されていることが特徴。これから起業を目指すフリーランスだけでなく、起業支援を行うアドバイザーの方にとっても、理解しやすい内容にまとめられています。
なお、今回は、フリーランスの経営実態の内容がより詳細に示されている「フリーランス白書2023」を用いて解説します。
(2)フリーランスの職種分布
基本的には、オンライン業務が可能な業種の方が、フリーランスの働き方と親和性が高いと思います。
(3)業種別年収と男女比
①年収
業種によって、年収の開きがあることが分かります。
②男女比
インターネットでデスクトップリサーチを行ったところ、一般的な業界内男女比は以下の通りです。
本報告書データと比較しても大きな開きはなく、会社に所属する場合の業界内男女比とフリーランスの場合の業界内男女比は、さほど変わらないと推測されます。
(4)案件獲得経路
以下の記事でも、ネットワークの重要性を述べていますので、独立時のご参考にされてください。
(5)働き方の満足度
収入面の課題がより改善されると、フリーランスとしての働き方の満足度は大きく向上すると考えられます。
前述の通り、フリーランスの職種として、Web系・システム系やコンサルティング系分野が多く、Chat GTPなど生成AIの普及で大きな影響を受ける職種と言えます。後述の時間単価と共に、収入推移が、今後どのように推移していくかは、とても興味深いです。
また、物価が高騰している背景もあり、収入面の増加が物価高騰に追い付かない側面もあるかもしれません。
(6)職種別時間単価
時間単価は、フリーランスの仕事の生命線の一つです。
業種ごとに、意識している時間単価は、以下の通りです。
フリーランスとして意識されている業種別時間単価は、目標とすべき単価とも捉えられますので、理解しておきましょう。
また、起業支援アドバイザーにおいても、相談者がどの業界に属しており、平均目標単価感がどの程度なのかは理解しておくべきポイントです。
(7)会社員時代との比較
収入面での満足度が低いという結果を、前述の通り示しました。
一方で、会社員時代と比較すると、収入増の割合が収入減よりも若干高い結果です。
この統計は示唆深く、各企業における賃上げの必要性が垣間見えます(独立意識が高い方は、フリーランスとして独立したり、高待遇の他社への転職可能性が今後更に高まる可能性がある)。
(8)資金調達
フリーランスの仕事の特性上、コワーキングスペースや自宅兼事務所でオフィスコストをあまりかけず、人も雇わないケースが多いことから、固定費負担が小さいことが事業上の特徴です。
一方、上記の統計データでは、カードローンや消費者金融経由での資金調達も目立ちます。
この点、資金的余裕が全くない状況での起業は、大きな失敗を招くリスクが高いです。例えば、6ヵ月分の生活費など、最低限の資金を確保してからの独立をお勧めします。
このように、フリーランスは、「一人起業」の働き方に近い側面がありますので、興味がある方は、書籍をご確認ください。
(9)まとめ・考察
フリーランスとしての仕事の満足度は総じて高いことが分かります。
そして、この働き方の満足度を上げるためには、「収入面」が最も大きな課題であることが分かりました。このような背景を踏まえ、以下の3点を今後の注目トピックとして挙げたいと思います。
①生成AIの高度化がフリーランスの収入面に与える影響
ここ1,2年で、生成AIが飛躍的に高度化し、Web系・エンジニア系やコンサルティング系のフリーランスの仕事にも影響を与えています。
「AIを使いこなして共存する」と言うことは簡単ですが、AIの普及に伴う各業界のフリーランス事業者の市場規模の増減や、各フリーランスの収入格差などの客観的なデータの可視化が必要だと思います。
例えば、ごく一部のフリーランスが大きな収益を独占する業界環境が生まれる場合、フリーランスという働き方がその業界に根付きづらくなる可能性があると思います。
②個人事業主 × 雇用
独立したての個人事業主フリーランスにとって、安定収入がなくなることは、大きなデメリットです。
そこで、「個人事業 × 週一日や二日の勤務」という働き方は、独立時のリスクヘッジとして検討すべき手段と言えます。
以下の統計データでも、「個人事業主 × 雇用」形態が 5.9%の割合を占めています。
③パートナー(配偶者など)との共存
「男性が働き、女性が家庭を守る」時代は変わりつつありますが、配偶者控除など税制面での障壁もあり、一人が家庭収入を支える世帯も多いものです。
しかし、独立後のビジネスは浮き沈みもあるものですし、時には病気で働けなくなることもあります。良質なフリーランス市場を育むには、一方が会社員、もう一方がフリーランスなどの働き方を増やすことで収入面の課題をリスクヘッジすることが、今後のフリーランス人口を増やす現実的な選択肢の一つかもしれません。
以上、ぜひ、みなさまの起業準備のご参考にされてください。
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