あの日


あの日見たのは幻想だったのだろうか。

目が覚めてしばらく経ってから
目に入った夕日は確かに私のことを照らしていた。

晴れ渡る空に
私の心も澄んだような気がしていた。

これほど光があたたかくて
何もない空が心地よくて
空気が澄んでいると思ったことはない。


何もかもを失いたくて
終わらせたはずのあの日は今までで1番綺麗だった。

死にたいと心から望んで
生きてしまったあの日が1番綺麗だった。


あれから時間が経って
それでも忙しない毎日にたまに押しつぶされそうになって
この景色を忘れかけてしまう。

私の日常はどうせ変わらない。
確かにあの日見たのは地獄で、この景色を見て心して生きようと決意してからもたまに地獄に直面する。

どんなに目をこすっても
肝心の視力が変わらないから
いつも不幸だった。

視力が変わらないなら思考ごと捨てたらいいと思えた。
頭ごと消せたら楽だと思った。

今までは
なんだかんだで怖気付いて勇気がでなくて
それでも口にした言葉は
ただ誰かの気を引きたかったからかもしれない。

そう言ってる間にも
何も現実は変わらなくて
期待することがなくなった。

終わりになった未来へ期待するようになった。


死んだ子もいる一方で、
私は今日も生きている。



今日も世界に迷い込んで
争いながら生きている。

終わりは見えない。

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