見出し画像

避難生活10の気づき 【日常編】

この記事は「避難所の衛生ストレス解決プロジェクト」を通じて徐々に浮かび上がってきた、緊迫した避難所をもっと安心や快適にできるかもしれない様々な気づきを10のテーマにまとめたものです。どれも課題の指摘や提言ではなく、機会や可能性の提示として、多くの皆さんにひろく共有することができればと思い書き留めました。
noteでは、10の気づきを避難生活の4つのフェーズに分けて順にご紹介していきます。

今回で最後となる第4回目は、「日常」についての2つの気づきです。

避難生活10の気づき 【日常編】

01:早期避難の抵抗感

何度も避難を繰り返すと億劫になってくる気持ち
早期“避難”を前向きで楽しい行動にできないか?

早期避難のためにデザインの力を

地震の予測はまだ難しいが、豪雨による災害は事前避難できる。ハザードマップや避難指示などの仕組みは増えたが、それでもなかなか避難しない人もいる。確かに天気の悪い中で避難は面倒だし、悪い予想に向けて行動するのはエネルギーがいる。そして、結果無事だったとき「良かった!大丈夫だった」と喜ぶのではなく「避難しなくてもよかったのに」と負けや失敗のような気分になるのは何故だろう。ならば、避難すること自体をもっとポジティブな活動に捉え直すことがデザインの力でできないか。避難所での過ごし方を、もっと快適に楽しい場所にすることはできないか。

2015年9月に関東・東北を襲った豪雨災害を契機に開発された「マイタイムライン」。豪雨・台風など、事前に天気予報で予測できる災害へどう対応するかを考えるためにつくられました。国土交通省のウェブサイトにも、「台風等の接近による大雨によって河川の水位が上昇する時に、自分自身がとる標準的な防災行動を時系列的に整理し、自ら考え命を守る避難行動のための一助とするもの」と紹介されています。
現在自治体を中心に普及が進められていますが、助かるはずだった命が失われないために、少しでも多くの家庭で取り組まれることを願うばかりです。

02:非常持出袋の中身

極限のストレス状況・・・だからこそ
うまくやり過ごすための、
自分や家族だけの方法を準備しておきたい

日常から、自分なりのQOLの工夫を

多様な人々が避難する中でも、知的障がい者の方は日常との急な変化に敏感。そこで、張り詰めた避難所で長時間過ごすために、その人が一番落ち着くためのツールやお菓子などを持参して避難したというエピソードを聴いた。これは、あらゆる人々にとっても同じことではないか。避難用のリュックの中には、非常用の食料や実用的なグッズが詰まっている。その上で、ひとりひとりが避難所でも落ち着くことができる「魔法のアイテム」をいれておきたい。そうやって避難所での過ごし方を前向きに想像しておくことが、いざという時のための訓練にもなるのでは。

防災本や雑誌の防災特集を読んでみると、最近は「アロマオイル」「ぬいぐるみ」など、防災グッズとして自分の心を癒すものを備えておくススメを見かけます。また、「ローリングストック」の考え方が普及し、普段の食卓にも出せるような「おいしい非常食」も数多く販売されています。
内閣府「防災に関する世論調査(2017年実施)」によると、「食料や飲料水、日用品などを準備している」人は45.7%。災害大国の住民としてこの数字は決して高いとは言えないと感じますが、「中身を見たことがある」「使ってみたことがる」人となるとさらに低くなるでしょう。今一度、自分にとって必要なものは何かを考え、その時に、自分なりのQOLグッズも忍ばせておきたいものです。

全4回にわたり、お届けしました「避難生活10の気づき」
いかがだったでしょうか?

ひとごこちデザインラボの活動につきましては「活動リポート」と題して、いち早く本プロジェクトの活動風景をみなさんにお届けしています。
そちら側もあわせて、ぜひご一読くださいませ。

「避難所の衛生ストレス」解決プロジェクト中間報告会 記者会見@京都工芸繊維大学


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?