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根気より呑気でたのしむ外国語

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英語をはじめ、外国語のもつ “おかしさ”、“たのしさ”、“おもしろさ” について、のんびり気楽に書き留めていく。雑考。
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2020年7月の記事一覧

#80. モノだっていつか歩き出す

#80. モノだっていつか歩き出す

意思を持たないモノがひとりでに動き出すような奇跡は、現実世界じゃまだ起きないが、言葉の上ではこういうミラクルがしょっちゅう起こる。

英語の世界では、モノが勝手に動き出すのだ。



すこし大げさな言葉を使ったが、英語では、無機質なモノを表していたはずの名詞が、形も変えず、勝手に「動詞化」することがある。

たとえば、ヒトの「目」を表す eye は、そのままの形で「~を見る,凝視する」という意味

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#79. 考え方の違いってことで

#79. 考え方の違いってことで

ついこの間の話だが、職場に着くやいなや、「いやでもそれは絶対違うと思いますよ」という怒鳴り声が耳に入ってきた。

どうやら二人の同僚(といってもどちらとも話したことはない)がなんらかの件でもめている。

デスクで今日やるべきことを確認しつつ、しばらく二人の口論に耳を傾けていたが、結論から言うとそれは、両者の価値観が根本的に違うがゆえに着地点を見つけられない水掛け論だった。

(ぼくと彼らのプライバ

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#78. スマートな痛み

#78. スマートな痛み

和製英語としてずいぶん前から定着し、英語学習の序盤で意味を訂正される言葉の一つに smart がある。

日本語の「スマート」は「シュッとした,細身の」というような意味なのに対し、英語の smart は「賢い」という意味である。

イギリスでは、身なりや外見などに対して「おしゃれな,小ぎれいな」という意味で使われることもあるが、やはり「痩せている」というニュアンスはない。



ここまでは、ある

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#77. おれたちソーシャル・モンキーは

#77. おれたちソーシャル・モンキーは

最近こんな本を読んでいる。

インターネットが登場してから、政治家や作家、専門家だけでなく、一般人でも、なにかを書いて大衆の目に触れさせることが可能になった。

いままでならば、編集の手がさまざま入ってから読まれていた「書き言葉」も、ネット上では多くの人が、他人の編集を介することなく、各々が自分の思ったことを、思ったように吐き出している。

この note もある種、そういった恩恵のひとつの形と言

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#76. 感動のある毎日に、退屈はない

#76. 感動のある毎日に、退屈はない

目の前で見たことや聞いたことに対し、「感動」をしなくなってきたら、それは人間的に腐ってきた証拠かもしれない。

幼いころは、身の回りで起きることすべて、新しく、感動的だったはずである。

いまでも時々 SNS のタイムラインに流れてくる、「生まれて初めて雨を見た女の子の動画」を観ていると、いろいろと思うことがある。

満面の笑みで手を前に伸ばし、体全体で雨を感じようとする様子がこの上なく可愛い。

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#75. ベルはベルでも「口の利けないベル」ってなんだ?

#75. ベルはベルでも「口の利けないベル」ってなんだ?

体型について、「衝撃的な細さだ」などとよく言われる。

今日なんてある女性から、ぼくの太ももが彼女の二の腕くらいではないかと疑われたが、さすがにそれはないだろう。

体重が軽い自覚はある。だが公表すると、男なら「病的」などと言ってくるし、女性であればたいていの場合嫌われる。

いちばん記憶に残っているのは、大学時代にアルバイト先の後輩と交わしたあるやりとり。

23 時ごろ、お店を閉めて、ふたりで

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