よく学びよく遊べ ~7歳から12歳~
1、学童
6年ごとの世代論。今回は「7歳から12歳」です。
前回の「0歳から6歳」のnote記事はこちらから↓。
今回の記事のタイトルの意味はこちらへどうぞ↓。
ちなみに、こんなCDもあるようです。こちらは「遊び」のほうが先↓。
「学び」か「遊び」かどちらが先かは、それぞれで使い分ければ良いですが、この記事では伝統的に、「よく学びよく遊べ」でいきます。
ずばり、この世代はキーワードは「学童」。そのままですね。学びの童(わらべ)です。
学童というと最近では「学童クラブ」、つまり小学校の放課後の保育的なクラブを指すことも多く、それはだいたい小学1年生から3年生のみ入ることも多いのですが、広く「学童注意」などの標識があることからもわかるように、小学生全般を指すこともあるので、これでいいかな?と思います。
さてここで、小学1年生から3年生と言ったのは示唆することが多い。一口に小学生と言っても、決してフラットな6年間ではないんですね。
よく使われるのが、小学校低学年・中学年・高学年、つまり2年ごとの区別。保育園・幼稚園から上がってきたばかりの低学年、徐々に小学校にも慣れてきた中学年、反抗期も踏まえて次のステップを見据える高学年と、指導をする学校の先生方も、きちんと区別して対応します。また「小1プロブレム」という用語もあるように、小学1年生、つまり7歳はかなり要注意の時期。義務教育にて教育機関に入る初めての頃ですから、「適応障害」になる危険性も高い。一方で「12歳の春」というように「中学受験」を控える子どもも多い小学6年生、つまり12歳も要注意。そう考えると、「反抗期」になる可能性の高い小学5年生、つまり11歳も…って、要注意ばかり(苦笑)。
これはひとえに、0~6歳の「保育」と異なり、徐々に人間として一人でやれること、やるべきことが急激に増えていく時期だからかな、と思います。それでいてまだ危なっかしい。保護は必須なんだけれども、保護者が一日中べったりで付き添うわけにもいかない。「学校」や「先生」にお願いする部分が多い。「友達」にも左右されます。子どもの状況に応じて、「特別支援」が必要な子どももいれば、「天才子役」的な何でもできる(と見える)子どももおり、バラエティに富んだ世代となります。…というか、どの世代もただの6年の区切りに過ぎないので、個人差は大きいのですが。
区切りの話に戻すと、大きくは半分、7~9歳までと、10~12歳までで、大きく対応に差が出る、差を出さなくてはいけない、ということが、最近はよく取り上げられます。「9歳まで」というキーワードで検索をかけると、いや出るわ出るわ。この9歳を大きくクローズアップした書籍を、1つご紹介しようと思います↓。
大久保博之さんの『子どもの能力は9歳までに決まる』です。
タイトルだけ見ると、ああよくある子育て本ね、でも子育てはそれこそ千差万別、一概に言えないんじゃないかなあ…と思いがちですが、さにあらず。実はこの方、私立小学校運営の理事長です。
…となると、ただの学校のPR? もちろん、そのような面も無くはないでしょうが、実際にこの本にあるような教育理念で小学校を運営されて、その中で実践を重ねてきた上での本なので、非常に説得力があるように思います。(私も含めて)口だけならなんでも言えますが、実際にたくさんのこの時期の子どもの教育を行った実績の上での知見ですから、うなずかされる部分が多いんです。
詳しくはご一読して頂ければですが、あえて一口で紹介すると、「9歳までの教育」と「9歳からの教育」を「うまく切り替えられるかどうか」が大事とのこと。この世代だけに限れば、7~9歳と、10~12歳で切り替え。
これは、自分自身の経験を踏まえて、何となくうなずける部分では?
2、9歳までと9歳から
私自身のことを思い出してみます。…就学以前に比べて、小学生時代のことは記憶をたどりやすいんですが、今でも鮮烈に覚えているのは、10~11歳頃に、とある「スポーツクラブ」に入ったことです。これはなぜ覚えているかというと、「自分自身の判断」オンリーで、保護者に頼み込んで入れてもらったからです。逆に言えば、そこまでは「自分で決めず流される」、言うなれば「保護者の言いなり」のことが多かったのですが、初めてここで「自分自身で選択した」。かっこよく言うと「その後の人生(の一部)を自分で決めた第一歩」だからこそ、記憶に残っているのかなと思います。
もちろん、別に保護者の言いなりが悪いわけではなく、それまでも「お稽古ごと」はいくつかやっており、それが振り返ると役に立ったなあということもあります。ですが、自分自身で選んだことは、別格なんです。
仮にもし、例えばフィギュアスケートやピアノなどを、(保護者の判断で)0~6歳で始めていたとしても、「どの時期までやるか」は自分の判断がかかわってきます。「やめる」という判断にしても、保護者の言うままやめるのか、自分で他にやりたいことがあるからやめるのか(またはもうやりたくないからやめるのか)、その判断は後者のほうが圧倒的に記憶に残ると思います。ちなみに私は、小さい頃からやっていたお稽古事の1つを、12歳を機会にやめました。中学校に入って部活も始まると大変かな、と思って…。
いずれにしても、自分の判断で行ったことは、記憶に残ります。この自分の判断ができ始めるのが、9歳~10歳あたりかな、と経験から感じます。そう考えると、『子どもの能力は9歳までに決まる』というのも、自分の経験的にはうなずけるところがあるのです。
この本では、
9歳までは「脳の器」を大きくすること(=地頭をよくすること)
10歳からはその器に「ご飯」をたくさん盛ること(=知識を増やすこと)
ということが説かれています。(↓これは弊会のイラストですが)
なのに現実は、小学校に進学するタイミングの「6歳」で「体験学習」から「座学スタイル」へと環境が変わる。子どもにとってものすごいストレス、小1プロブレムです。それを打破するために、「幼少一貫校」を全国で初めて立ち上げて、学習スタイルを「9歳」で変える教育を実践しているのが、この本の著者の大久保博之さんなのです。
「学び」と言っても「座学」だけではない。「体験学習」も立派な学び。成長してしまった私たちは、ついつい、9歳までは「体験」から多くを学んできたことを忘れています。「言語能力の発達」もその背景にあるでしょう。「抽象的な概念」を把握できるようになるからかもしれません。ですが、「学ぶ」の語源は「真似る」から来ているように、9歳までの吸収力を逆に今に活かすこともできるのではないでしょうか。
3、学校だけがすべてじゃない
さて、少し視点を変えまして、7歳~12歳=小学校、という既成概念を疑ってみましょう。文部科学省のホームページでは、世界の学校体系についての情報を見ることができます↓。
日本だけにいますと、小学校=7歳~12歳というイメージがありますが、各国では必ずしもそうではないんですね。
そもそも「留年制度」を導入している国もありますし。年齢が達したから「入学」、過ぎれば「卒業」という制度自体が本当に良いのかどうか、諸外国と比較すると考えこむところです。また、小→中→高という、いわゆる「単線型」の学校制度ばかりではない。「複線型」の学校制度をとる国も多いのです。そもそも、学校が近くにない地域もありますし…。「リモート教育」や「学習塾」「フリースクール」などの観点から考えると、学校に行かなければそもそも学べないのか?という議論もあります。
その一方で、小学生が「電車通学」することに対しては、海外の視点からすれば驚愕!ということもあるわけです↓。
同質性の高さ、治安の良さ、逆に子どもを狙った犯罪、そういうことも合わせて考えて、この世代の「学習」「学校」について考えるべきでしょう。
「不登校」もあります。以前は「登校拒否」と呼ばれ、問題視されてきたことも、今では本当にそうなのか、見方が変わってきつつあります。このテーマは、とても1つの記事では書ききれないので、参考までにこちらを紹介するだけに留めます↓。
棚園正一さんの『学校へ行けない僕と9人の先生』です。「学校とは何か」「先生とは何か」、とても考えさせられます。超有名なあの先生も出てきます…と言い過ぎると、ネタバレになるのでこのあたりまでで。
4、のびのびと、まるまると
いやあ、7歳~12歳は、トピックが多いですね…。もちろん、どの世代もそれぞれトピックはあるのですが、なまじ「小学校の記憶」とダブるせいか、次から次へと出てきます。あなたの思い浮かんだトピックは何ですか?
最後に2つ、漫画をご紹介しましょう。今回はずばり、小学生がメインキャラの漫画を。まずは男子版。となるとこれしかない↓。
「ドラえもんッ!説明不要!!」という感じですね(笑)。
カツオが出てくる『サザエさん』と迷ったんですが、カツオは超絶ハイスペックの交渉力と機知を持つ「コナン君」以上の小学生ですし、どちらかというとサザエさんは「世代のオールスター群像劇」に近いので、やはり「のび太」が出てくるこちらかな…。というか、カツオとのび太はほぼ同学年。この違いはテーマの違いでしょうか。
もちろんのび太も、超絶射撃技術とあやとり技術を持っていることを思うと、決してロースペックではないとも思うのですが↓。
それにしても「のび太」「スネ夫」「ジャイアン」「しずかちゃん」あと「出木杉くん」と言うだけでキャラがパッと頭に浮かぶと言うのは、キャラづくりが漫画のキモという観点から言うと、もはや漫画の域をはるかに超える「概念」レベルかもしれません。
女子版は、こちらが妥当でしょうか↓。
こちらも「ちびまる子ちゃんッ!説明不要!!」という感じですね(笑)。アニメにもなっていますし、主題歌がヒットしましたし。
ただ、ドラえもんが毎年の映画もあって、設定がアップデートされていくのに対し、ちびまる子ちゃんは「古き良き時代」の小学校生活を描いている感があります。時代比較文化論の文献としても、使えるかもしれません。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。