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オードリータン氏に学ぶデジタル民主主義

デジタルとAI 未来を語る

この1年、台湾はロックダウンもせずに迅速な対応でコロナをほぼ封じ込めることができている。
その背景にはデジタルの力が大きかったとオードリータン氏は説く。
学ぶことが多いのではないか。。。

そう思い本書を手にしたところ、デジタル民主主義の中で意識していくこと、AIへの向き合い方が、解像度を上げて学びになったので共有したい。

そもそもオードリータン氏ってどんな人なのか。

至上最年少(35歳)の若さで台湾行政院に入閣、デジタル担当大臣を務めるタン氏は「マスク在庫マップ」アプリを開発したことで、日本でも名前が知れ渡る。
タン氏は生まれつき心臓が弱く(心室中隔欠損症)、運動することが困難なことから、幼い頃は自宅で本を読むことが多かった。中学生活に馴染めず中退後はドイツへ留学。12歳のからプログラミングを独学で学び始め、16歳でインターネット会社を設立。Apple 社のデジタル顧問につきSiriの開発にも携わっている。その名がIT業界に広がる頃、自身がジェンダーレスであると明かした。

タン氏が
デジタル民主主義の中で意識することとは。

①インクルージョン=誰も置き去りにしない考え。

→台湾には「青銀共創」の文化があり、これは若者と高齢者が学び合う試みのことを指す。
年配者は若者からテクノロジーを学び、若者は年配者から知恵や経験を学ぶというように相互理解する姿勢がある。
→5Gの導入が2020年6月から開始されているが、都市部からではなく地方から技術導入することで子供たちの教育格差を縮めることに繋がっている。
→地方・高齢者・子供にも公平性を保とうと政府が働きかけている。

②政府と国民間における透明性の確保

→2014年に構築されたオンラインで法案を討論するプラットホーム(vTaiwan)や、2016年に構築された参加型プラットホーム(join)、国民は世の中の問題に対するアイデアがあればこのプラットホームに投稿できるというものだ。
→2ヶ月以内に5000人が賛同したならば、タン氏が在籍するPDIS及びPOという組織と5000人の賛同者でミーティングを行い問題解決に取り組む。
→透明性の確保のために、ミーティング内容はネットで公開される。

つまり、インターネット上で政府と国民のオープンな協力関係の体制が出来ているということだ。

実例として、プラスチックストローの代わりに再生可能な紙やサトウキビでストローを製造するよう法制化され、提案したのは16歳の女子高生だった。

③3つのF
「Fast」迅速「Fair」公平「Fun」楽しく

→コロナ対策やマスクマッピングアプリの開発において、タン氏が特に意識したことが3つのF。

迅速
2019年12月武漢でコロナの話題があり、1月1日には検疫を開始。さらにマスクの製造を1日200万枚から2000万枚増産する体制を整える。

公平
国民が99%以上持っている健康保険証を活用、大人は9枚・子供は10枚購入できるようにした。
高齢者等にもマップの操作ができるようチャットBot×GPSを使い、マスクのある最寄りの薬局を分かりやすく報せた。

楽しく
トイレットペーパーの在庫がなくなるというデマに対してユーモアを交えて国民に訴えた。


タン氏はこれらの経験から、国民はオープンな情報は信頼してくれる。
フェイクニュースやデマには、ユーモアで対抗することで国民が正常な判断の手助けになると学んだとのこと。

AIとの向き合い方

ドラえもんとのび太のような関係

ドラえもんはのび太に命令することはなく、のび太を成長させるためにいる。
のび太はドラえもんだけでなく、他の人との交流もある。
あくまでドラえもんはのび太の補助的ツールであり、主体的に物事を考える・調整する・管理(記録)するにはのび太君の力が必要。


AIの目的は人間の補佐であり、最終的に責任を追うのは人間であることに変わりはない。

本書を振り替えってみて。

恥ずかしい話、テクノロジーやAIの発展が進むにつれ、それを扱えない人は置いていかれがちになると私は思っていたし、どこか仕方のないことだと思ってた。けど本気で、誰も置き去りにしない公平さを吟い、国を挙げて取り組む姿勢がかっこよく見えた。私には全国民も政治も動かす力はないかもしれない。でも家族や職場のスタッフ、地域でなら出来ることがある。その出来ることを一つ一つ形にして、私なりのインクルージョンと3つのFを確立していきたい。

またAIに仕事を奪われる・AIが人間を越えてしまったらどうしようと考えるよりも、自身の未来を思い描き、理想とする未来に向かうためにAIをどう活用するか考えた方がよっぽど楽チンだと思った。
関わる相手が AIにしろ対人にしろ得意なものを見極めて、協力関係を築く=横の繋がりが大事になる時代に生きている。

お読みいただき、ありがとうございました。
コロナが落ち着いたら、台湾に足を運びたい。

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