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カセットテープが日常にあった時代 〜 自分だけの洋楽バラード集

FMステーション

ちょっと実家に帰って、本棚を見渡してみる。目に入るのが無数のカセットテープ。そこで、青春時代を共にしたカセットテープのことを書いてみようと思います。

唐突ですが、FMステーションという雑誌をご存知でしょうか

表紙を手掛けたのは鈴木英人さん。彼の手による表紙はとても印象的でした。例えて言うならばあの頃の自分の年齢(10‐13歳)から想像できる範囲での以下のような風景。

「80年代の理想郷(ゴージャスな看板とかヤシの木などの樹木とか)」
「古き良きアメリカの街(車とかバイクとか)」
「日本で若者が集うビーチ(サーフボードとか波とか)」

また、表紙の絵柄をカセットテープのケースに入れられるサイズにした付録も毎回あり、自分のカセットテープのデコレーションに励んだものです。

アーチストのインタビュー記事に掲載されている写真もカセットテープサイズになっていて、切り取ってケースに入れて楽しむこともできました。

さらに、カセットテープケースの背表紙部分にあたる部分には、そのカセットに録音した音源のタイトルを手書きで書けるようになっていました。FMステーションにはこの部分に使用できるサイズの付録(ロゴと、書き込むための余白)もついていて、これも活用していました。

手書きには、優しさもありますが、この場合の問題は字の上手さ。字が下手だと、カセットを並べたときにカッコ悪いので、流行したのがレタリングシート。アルファベットのシートを表から擦るとキレイに背表紙部分にタイトルやアーチスト名が記載できる優れモノでした。

カセットテープが主流だった時代、こんな風に、テープのギミックに対応していたFMステーションという雑誌は常に部屋の片隅にありました。カセットユーザーにとっては無くてなはならないものでしたね。

FMステーションというだけあって、ラジオ番組表もついていて、それも参考になりました。今ほど情報が無い時代、ラジオは貴重でしたし、こういう、とあるジャンルに特化した雑誌は重宝してましたね。

カセットの活用

青春時代にはすでにCDの時代になっていました。ただ、聞きたいものをすべて手に入れられるわけではないわけです。そこで、友人と一計を案じまして、買うCDを分けるんですね。そして貸し借りをする。そうすることで、自分だけでは聞くことができないアーチストまで幅を広げられるようにしていました。

都市部では90年代にはすでにレンタル屋が賑わっていましたが、田舎にはそんなものはなく。こんな風に工夫をしていた時代が懐かしい。

そして、借りたCDをいったんカセットに落として、あとはカセットで楽しみます。音の良し悪しなんて言ってられる状況ではなく、楽曲を聞けるだけで喜んでいたという単純な青春時代。

そのうち、好きな曲をカセットに録音して集めるという手法を考え出します。これで難しいのは、2点

・カセットからカセットへの録音の場合、どうしても音が悪くなってしまうので、CD経由で録音した曲と続けて聞くと、感動も半分になるくらい落差が大きかったこと。

・楽曲単位で録音するとなると、1曲1曲CDやカセットを再生して、スタートとストップボタンを押さなくてはいけません。

タイミングがずれると、前の曲のエンディング音や、次の曲の最初の音を拾ってしまうことになってしまいます。これをやってしまうと、地味にストレス。

また当時のCDラジカセは振動に弱く、ちょっとした振動で音がたまに飛ぶので、その注意も必要。あの頃、時間をかけて、せっせせっせと好きな曲を集めたカセットを作っていたものです。

よく作っていたのが、洋楽バラード集。ハードロック系が主体でしたが、そこに洋楽ポップスのバラードを入れることで、自分にしかできない世界を醸し出した気になってましたね。

こういったオムニバス集を作るときは、曲の音のつながりを考えてセットリストを組むので、それもとても楽しかった記憶があります。盛り上がって終わる曲の次はピアノ曲、とか、エンディングは哀愁漂う曲だ、とか。

例えば、とあるカセットのセットリスト集A面

「Something to Believe in 」(Poison)
「Patience」(GunsN’Roses)
「When I See You Smile」(Bad English)
「Your Turn」(Helloween)
「To Be With You 」(Mr.Big)
「Let it be」(The Beatles)


CDの時代のその先に

CDの時代がしばらく続き、やっとCD自体に音源を録音(焼き付ける)ことができるようになったのもつかの間の2008年ごろ、スマホが登場。

今は、外部媒体に音源を録音しなくてもスマホ内でセットリストを自由に組むこともできるようになりました。

また、サブスクで、聞きたい曲をほぼ聞くことができるようにもなっています。

あの不便な時代に美徳があったというつもりはありません。

絶対今の方が、利便性があります。

ただ、あの時代、自分でせっせと作っていたカセットテープ。FMステーションの切り抜きとレタリングに彩られたカセットは、自分の分身だったような気がするんですよね。

あの時の自分の若々しい感情がその中に詰まっているような気がします。カセットは感情の宝石箱のような存在になっているのかもしれません。

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