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コンプレックス「Romantic1990」~ 90年代のイメージと重ね合わせてしまう作品。

1990年代は湾岸戦争が勃発したあたりから世相がどうやら暗くなった。
たしかあの時も、ジョンレノンのイマジンなどが放送禁止になっていたような気がする。90年代という時代の変換期、新たな時代の幕開けは、戦争で始まったということだ。

ただ世の中を見渡せば、特に日本国内は、まだ闇夜を迎えるには数時間以上前だったともいえる。

バンドブームが勃興したのもこの時。ジッタリンジンとか、アマチュアプラスαのようなバンドがしのぎを削っていたし、桑田佳祐が監督した稲村ジェーンもこの時。ストーンズの初来日がニュースステーションでも取り上げられるほど話題になっていて、俺は10回ストーンズ見に行ったぜと森高千里に歌われるようになるわけだ。おどるポンポコリンもこの時。みんな、ピーひゃらピーひゃら歌っていたものだ。

ただ、日本国内でさえも音楽の多様化が進み、もはや演歌やポップス・ロック・歌謡曲が見事なまでに線引きされてしまうようになってきた。男闘呼組と五木ひろしは同一番組では扱いにくくなっていたのだ。それの影響か、ベストテン、トップテン、夜のヒットスタジオがひっそりとその役割を終えていった。

また、ボウイは1988年、RCサクセションは90年、レベッカは91年と、80年代を代表するバンドも活動を終えていったのもこの時代。(そして、Xが紅で登場し、ブルーハーツが若者を虜にしていくのだ。)

そんな1990年。

布袋寅泰と吉川晃司が結成したコンプレックスというバンドはセカンドアルバムを発表している。その名も「Romantic1990」だ。CDジャケットや歌詞カード内にはアーチスト写真は一切なく。プロモーションもあまりしていなかったのではないか?たしか、ヒットスタジオスーパーかなにかの番組に出演していた記憶があるが。

コンプレックスは、良くも悪くもBe My Babyの印象が強かった。ずば抜けた代表曲があると、次の作品は難しくなるが、このセカンドもそんな位置にあった。シングルカットされた1990という楽曲は、かなり良い曲だとは思うが、ずば抜け度合いは、やはりかなり劣る。

もともとファーストアルバムも近未来的な欧州ポップ風味があったが、今回もその延長だが、どこか渋い。退廃的というか。イメージとしてはAKIRAとか攻殻機動隊のそれに近い印象。U2がズーロッパという作品で向かった方向性に近いのかもしれない。(この世界観は、90年代当時はネガティブに描かれていたためか、とても暗い。ダークである。)

ただ、やはり極度にのめり込むことはなかったように思う。

解散後、二人の仲が非常に悪かったことを知ったが、そういったことも作品の完成度に影響を与えていたのだろう。どうも布袋はバンドに向かないのかもしれないな。と思ったら、その後はソロの道を追求し、現在に至っている。(とはいえ、布袋の曲は、だれか歌の上手い人に(声の質という意味)歌ってほしいものだが。。)

1990年は印象が暗くスタートしてしまった。これは戦争の影響だが、個人的には、このコンプレックスのアルバムの印象も、その流れの中にはめてしまっており、暗い90年代のイメージと重なってしまっている。

そうこうしているうちに、92年にメタリカが重いアルバムを発表し、93,4年ごろにニルヴァーナがグランジというジャンルを作ってしまい、ブラックミュージックの隆盛と合わせて、90年代は本格的に暗く、重く、怒りに包まれてしまった。

そして、97年にもなってようやくバブル崩壊の影響が、就職戦線や企業にも飛び火してきて、、、

1990年。

失われた20年、30年は、こんな感じで、始まったのだった。


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