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70年代反戦の機運 〜 時代を象徴する作品シリーズ 〜 「オハイオ」 CSN&Y

時代を象徴する芸術作品というものがあります。音楽や映画、文学などは、こういった時代を背景に、浮かび上がってくるという面もありますね。今回は、こういった、時代背景とともに語られてきたという軸で、いくつかの作品を紹介していこうと思います。


オハイオ

ニール・ヤングの在籍していたCSN&Y(クロスビー、スティルス、ナッシュ&ヤング:メンバーの姓がグループ名)というグループが、1970年に発表したのが「Ohio(オハイオ)」という楽曲です。

これは、1970年に起きたケント州立大学銃撃事件に触発されたものです。痛烈な政治批判が込められています。

ケント州立大学銃撃事件

ベトナム戦争が泥沼化していく中、「ベトナムを終わらせる」ことを命題にニクソン大統領が選出されました。

こういう命題が選挙公約に上がるということ自体、米国でのベトナム戦争の捉え方が明らかで、つまり、誰もが、この戦争に嫌悪感を抱いていたということ。

この事実をベースに以下の2点が大きな悲劇の序章となりました。

1、徴兵がクジ引き制度になったこと。
これにより徴兵猶予制度が無になり、多くの学生が影響を受けることになりました。(クジに当たったら戦地に行かねばならない)

2、ニクソンの新たな戦線の発表
ニクソンが、カンボジアへの戦線拡大の作戦を発表。理屈的には、そのあたりに展開している敵軍への威嚇行為のための作戦と思います。

が、嫌悪感が高まる中であり、また、ベトナムを止めるために大統領になった人物による更なる戦線拡大は、大きな批判を生むことになりました。

結果、米国の多くの学生が、反戦運動を繰り広げることになり、なんと、これが全国規模の大学のストライキになっていったというから、影響はかなり大きかったと思われます。

そんな最中、悲劇が起きます。

オハイオ州のケント州立大学で抗議運動をしていた学生に対して、武装配備されていたオハイオ州兵が、いきなり発砲。(無論学生は非武装)(ウィキによれば、13秒間にわたって約67発を発砲したとのこと。)

これが、死者4名、重軽傷者9名を出す惨事となります。

「LIFE」誌

この事件が「LIFE」誌に掲載されることで、全国的に政府批判がヒートアップ。当然、CSN&Yのメンバーたちの耳にもこのニュースが入ります。

そして、この雑誌を目にした、ニール・ヤングは、衝撃を受け、何かに突き動かされるように、即時に詞を書き、わずかな日にち、数テイクで楽曲を完成させました。

Ohio

レコーディング終了後、4名が亡くなったこと、および、この事件に対しての絶望感から泣き出したメンバーもいたようです。

銃については、現代に至るまで、こういった悲劇が繰り返され、止む気配が見えないのは周知のとおりです。

願わくば、こういう事件が減っていくことを期待しつつ。

*なお、この発砲後、学生と州兵の間で全面抗争になりかけたそうです。これを防ぐべく必死で学生たちの説得にあたった教師たちがいたことも忘れてはならない事実でしょう。


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