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優秀な女性社員が御社を辞めるタイミング

ある社長からの依頼

現在、私は中小企業様と「人材育成コンサルタント」の業務提携を結んでお仕事をしています。
企業の中に入り営業部門支援や、女性社員の方から相談事などのお話を伺ったりしています。

本来は営業支援だけの仕事依頼だったのですが、こちらの会社の社長(男性)より、仕事始めにこのように言われました。

「うちの会社はここ数年で女性社員の数が増えたんだけど、仕事ができるようになると辞めていくので残念な思いをしています。
女性社員の話し相手にもなって欲しいと思っているので、よろしく頼みます。」

社長は、事業業績と社員の人間性の成長の両輪が大切と、日ごろから内外に説かれ人望もあり、社員皆さんのコミュニケーションも概ね良好に感じます。

「どうして優秀な女性が辞めていくのだろう?」

私も初めは疑問に思いました。

しばし女性社員の方とザックバランな会話を重ねることで見えてきたことがありました。

子育てママは「子ども3歳・時短勤務終了」の壁にストレスフルに悩んでいる

この会社の女性社員の多くは、独身時に正社員で入社されて、この数年でちょうど出産子育てが始まるという方が多くいらっしゃいました。
お話を伺ってみると、

子供が3歳になると「時短社員からフルタイム勤務」となるため、保育事情からこのタイミングで退職を選ばざるを得なくなる、ということでした。

ママ社員さんの多くはお子様を出産後、育児休暇を取得されます。
約1年後、保育園の入園を決めてお仕事に復帰。
そして子供が3歳までは「時短勤務」ができます。
(注釈:時短勤務は育児・介護休業法で義務化されています)

時短勤務中のママ社員さんからお話を伺うと、
「保育園の送り迎えにも時間の余裕があり、大変ながらもワークライフバランスのとれた生活ができている」
と日々の充実感すら感じられていました。

しかし、子供が3歳になるタイミングで事情が急変します。
会社側からすると「時短勤務の義務」の時期が終了。
ママ社員さんからすると、このタイミングで一気に「フルタイム勤務」に変更となります。


子供は3歳になった日から、いきなりお迎えいらずで自立した生活ができるわけではありません。
子供が学校に入るくらいまでは今と同様に働けないかと、ママ社員さんは「時短勤務の延長」を会社に懇願されます。
(注釈:時短延長を考慮するかしないかは「会社独自の努力義務」となります)

現場の声を聴く・姿を観る

もうじき時短勤務期間が終了される方が、会社の総務人事に「時短勤務の延長」を検討してもらえるようにお願いされたそうです。

総務・人事より
「会社の規程で決まっているので、時短勤務の延長はできません。
ご家庭で何とかならないか話し合って下さい。」
との回答であったとのこと。

効率良い仕事に気を配りながら、その頭の半分では数か月先の働き方に思案されているママ社員さんのリアルな姿がここにはありました。
お話を伺った方は、ご主人やご両親の協力が得ることが難しそうなので、今の会社を退職して、子供が小学生まで時短勤務を認めている会社に転職を考えているとのことでした・・・。

社長はこの現状をご存じかしら?
風通しの良い社風でコミュニケーションが充実していたら、社員はみな満足して長く働いてくれると思っていないでしょうか?

厚生労働省による「平成30年度雇用均等基本調査」では、時短勤務の延長を取り入れている会社とそうでない会社はおおむね半分半分のようです。

御社が大切に育成された女性正社員は、このタイムミングで悩んだり迷ったりしているようです。

先のママ社員さんの本音です。
「この会社はいままで務めた中でも、みなさん優しくて働きやすいんです。
こんな理由で退職するのはほんとは不本意なんです・・」

企業のトップ・管理職の皆さん、
「自社の雇用コンセプト」と「現場の声や姿」に違和感がないか、折を見て気にかけてみましょう。

「優秀な女性社員が会社を辞めるタイミング」の一例でした。



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