【ショートショート】夜の新幹線の謎|きさらぎ駅に戦ゼロゾンビ現る!
鶴城松之助さんが楽しいハロウィン企画を開催中です。
その名も「戦ゼロゾンビ」↓↓↓
募集しているのはこんな作品↓↓↓
◆募集内容
ゾンビ世界になったら人間みんな当事者です、それぞれがどうやって生き抜いているかって話が集まったら楽しそうじゃないですか?
私はこう生き残るっていう作品を教えてください!
ゾンビのお話ですね…。
私は先日、夫と金沢へ小旅行に出かけたのですが、帰りに乗った新幹線で世にも恐ろしい体験をしました。今回はこの体験を投稿させていただきます。
☆北陸新幹線かがやき金沢発17:55分
先日、私は夫と金沢へ出かけたのですがその小旅行の帰路での話です。
その日は一日中金沢の街を歩き回り、美しい庭園や舌のとろけるようなグルメを堪能しました。そして夕方、ビールや駅弁を買い込み…私たちは、17時55分発の北陸新幹線かがやき514号に乗りこんだのです。
平日ということもあり、また、蜜を避ける配慮もあるのか、私たちが乗った車両はガラガラ。旅行客と出張帰りのサラリーマンがまばらに座っているだけ…という感じでした。
私たちはのんびりと駅弁をつまみ、ビールを飲みながらおしゃべりをして楽しかった旅行を振り返っていました。
他に話をしている乗客はなく、私たちの声ばかりが響きます。
今どのあたりだろう…
ふと窓の外を見たのですが、トンネルの中らしく真っ暗…。
シーンと静まり返った車内に在来線とは違う新幹線特有のキューンという音だけが響きます。
☆不思議な想像
相変わらず真っ暗な車窓を眺めながら、私はとりとめもなく不思議な想像をしました。
こんな時、窓の外にありえないものがみえたら怖いよね。
例えば…ランニングしている人。何食わぬ顔で新幹線と並走している人と目が合ったら…そりゃ怖いわ笑。
そういえば口裂け女はものすごく足が早いんだって言うよね。新幹線と並走していてもおかしくないんじゃない?そんなの見えちゃったらホントに怖い。新たな都市伝説だわ笑。
☆眠る乗客
そんなくだらない妄想を夫に聞かせてやろうと振り返ると…夫は駅弁を食べかけたまま、眠っていました。
食事をしながら眠るなんて、よほど疲れていたのね笑。兼六園、金沢城公園、近江町市場、ひがし茶屋街…金沢の街を一日中歩き回ったもんね。
夫の向こう側のサラリーマンも、先ほどまでは熱心にパソコンに何かを打ち込んでいましたが、今は眠ってしまったようです。
シーンと静まり返った車内…
少し不安になった私はそっと立ち上がり車両を見渡してみました。
みんな眠ってしまった。
まだ19時にもなっていないのに…こんなことある?
☆漆黒のトンネル
不安な気持ちのままシートに座り、ビールを飲みながら窓の外を見るのですが…まだトンネルの中らしく、漆黒の闇です。
そうだ、noteでみんなの記事を読もう!
そう考えてスマホを開いて…また違和感です…。
ん?18:30??富山に止まったっけ??時間の進みが速すぎない?
そして窓の外はまだトンネル…。
いくらなんでもこんなに長いトンネルある?ずっと真っ暗なんだけど…。
キュキューン
ブレーキ音と共に列車が減速しました。
しかし、何のアナウンスも流れません。扉の上のデジタル掲示板も先ほどから同じニュースの文字がくりかえし流れているままです。
☆きさらぎ駅
「あ、駅だ…」
新幹線は静かに停車しました。でもどこかおかしいんです。
ホームは薄暗い蛍光灯で照らされているだけ。古めかしい木のベンチに座る人々が見えます。
「新幹線のホームには見えないんだけど…。これは富山駅?」
私は目を凝らして駅名を読みます。そして背筋が寒くなりました。
『きさらぎ』
ゾッとしながらも不思議と納得。
そうよね、ここは『きさらぎ駅』だよね。
きさらぎ駅とは存在しない駅。
2004年に話題になった都市伝説です。2ちゃんねるのオカルト板に「仕事帰りに見知らぬ駅に迷い込んだ人の実況」という形で投稿された不思議な駅の物語。
『きさらぎ』という存在しない駅にたどり着いてしまった投稿者の安否は…どうなったんだっけ?無事に家に帰れたの?それとも??
そんなことを考えて背中に悪寒が走り、手にはじっとり冷や汗が。
「ねぇ、起きて…!!」
夫に声をかけますが全く起きる気配なし。『きさらぎ駅』に来てしまったというのに、他の乗客も静まりかえっています。…きっとみんな寝ているのよね。
「どうしよう…どうしよう…」
恐怖に震えながら、私も硬く目を閉じて寝たフリ。だって怖いんだもん。
☆きさらぎ駅の乗客
そうこうしているうちに、扉が開き乗客が乗ってきます。
心臓をバクバクさせながらも、そっと薄目を開けて様子をうかがいました。
わぁ…結構乗るね。5…6…いや、10人はいるかな?
みんなきさらぎ駅に迷い込んだ人たちなのかな?
こっちに来ないでね。別の車両に行ってね…。
私の願いも虚しく…
車両の扉が開き乗客が入ってきます。また目をつぶって寝たフリ。
「きさらぎ駅から乗る人って…どんな人?」
好奇心には勝てず、そっと薄目を開けて見ると…
「ひ、ひぃ〜!!」
夫の向こう側からこちらを覗き込んでいる瞳と目が合いました。
「ゾ、ゾ、ゾンビ!!!」
☆戦ゼロゾンビ
車両の扉が開き入ってきた乗客たちは…墓場から出てきたばかりに違いないボロボロの服に、緑と茶色を混ぜたようなら顔色。目の下には深いクマ。ギリギリ骸骨ではないほどの痩せ具合…
いわゆるゾンビ。典型的なゾンビ!!
「ひ、ひゃ〜」
恐怖のあまり小さな声で裏返った悲鳴をあげる私。
別のゾンビが夫の向こう側のサラリーマンをかじったらしく、サラリーマンがみるみるウチにゾンビ化している!
「はぁ…ゾンビってこうやって出来上がるんだ」
震えながらも冷静に感心する私。怖すぎてアドレナリンが出ているらしい。
先程までスヤスヤ寝ていた乗客が、みんなゾンビになって元気に目をさましているんだけど…!
「やだこっち見てるよ!こないで!!」
さっきからこちらをガン見中のゾンビくんがすやすや眠っている夫に噛みつこうとしているではないですか!
ひるねこ「こ、こらぁ!!やめんかあ!!!」
ひっくり返った声でなんとか威嚇しながら私はゾンビに手元の缶ビールを投げつけました。半分以上残っていたビールが飛び散りゾンビに降りかかる。
ゾンビ「う、うめぃ!」
ひるねこ「う?ビール好きなの?ほらどうぞ!!」
夫の飲みかけの缶ビールも投げつけると…
ゾンビ「うめぃ!」
やっぱりよろこんでる?
ひるねこ「ほら!これも!!」
つまみに買った能登牛のジャーキーも投げてみる。
おぉ…器用に袋を開けて食べてるわ!
ひるねこ「お腹空いているの?だから人間を噛みたくなるのね??」
私はすっかりゾンビくんたちの空腹を満たしてあげたくなり
ひるねこ「よし、これはもあげる!息子へのお土産に買ったゴーゴーカレー金澤プレミアムビーフだよ。それっ!」
ゴリラのマークが頼もしいわ!
ゾンビ「う…うめぇ、うめぇ!」
よ、よかった…よろこんでる!
次々と私たちの周りに群れるゾンビたち。
ひるねこ「よ、よし!これは友だちに配ろうとして買ったのどぐろ入り味噌!これもどうぞ!!」
ゾンビ「うめぇ…!もっと!!」
ひるねこ「もっと?えーっとあとは…じゃあ、お昼に食べたのどぐろのお寿司の味を教えてあげる!」
「あのね、トロッと口の中で甘くとろけて…それでね…あの…」
しかし、実態がないのどぐろ寿司にいきり立つゾンビたち。だってもうお腹の中だもん!ど、どうしよう!
どうしよう〜!!!
「……おい…おい!」
ん??
頭の上から夫の声が…
夫「おーい!ひるねこさん、起きて。そろそろ長野に着くよ。乗り換えだぞ!」
あれ?え??
☆夢おちなの?
夫「なにがのどぐろなの?まだお腹空いてるの??笑」
目の前にはニヤニヤ笑う夫の顔。
ん?あなたを助けようとして私は…
ひるねこ「あれ?ゾンビは??」
夫「何?ゾンビ??笑。ゾンビの夢をみたの?とにかく降りるから準備して…笑」
ひるねこ「あ、夢…??」
夫「夢でしょう。キミ、富山に着く前から箸くわえて寝てたから…笑。よほど疲れていたんだね笑笑」
ひるねこ「あぁ…そっか、夢か。寝てたのは私なのね、よかった!」
ホッとして夫の顔を見ると…
おや?なんだか不審そうに窓の外を見ていますよ。
夫「…ねえ、トンネル長くない?そろそろ長野に着くはずなんだけど?さっきからずっと真っ暗なトンネルの中なんだよね」
「………!!」
新幹線がゆっくり停車します。
夫「ここどこだ?こんな駅あった?・・・きさらぎ?」
(終)
☆noteには楽しいハロウィン企画がいっぱい
鶴城さんの企画に今回初めて参加させていただきましたが、とても楽しませていただきました。ありがとうございました!
勝手がわからず、主旨と合っているのか心配ではありますが…初めてに免じてどうぞお許しくださいね。
鶴城さんは毎月交流企画をされているそうです。これからも参加させていただきたいな。
「戦ゼロゾンビ」は10月31日締め切りです。まだ間に合いますよ。あなたも参加して楽しいハロウィンを過ごしませんか??
そして、10月30日(金)は「居酒屋ニューノマン」もありますね。今回は21時から3時間!楽しい企画も盛りだくさんですってよ↓↓↓
ピスタチオさんが居酒屋ニューノマンのCMソングを作ってくれましたよん↓↓↓
楽しいハロウィンになりそうです!
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🐱最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
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