2020-6-14 日記. ベンチャー企業の研究者: 知りたいこと/やりたいことがあるのに, それができないときにすること

研究の世界ではよくあるけれど, 知りたいことがあっても, それをどうやったら具体的に検証すれば良いかわからないことがよくある.

神経科学だと昔だと, 特定の神経細胞群がどんな役割があるのかわからなかった. もちろんjuxtacellular recordingなどを使えば単一細胞レベルではわかるが, 複数の神経細胞レベルでは全くわからない. 2005年の光遺伝学の登場によって特定の神経細胞群がどのような因果的な役割を持っているのかが調べられるようになった. つまり, 技術的な進歩によって, 問いを検証できるようになった. 技術的な進歩は誰かの努力によって時間が解決してくれる.

しかし, 技術的な進歩が存在していることを知らないと, 解決のしようがない. だからこそ最新の技術を学ぶためにキャッチアップしていかないといけない. 老いも若きも必要なことだ. 歳をとると色々なことを知りすぎて, 新しい技術をキャッチアップしていかなくなる問題がある一方で, 若いと最新の技術ばかりを追って重要な問題を忘れてしまうことがある. だから, 学びに投資することが必要になる.

重要な問いに気付きながら, 最新の技術も知っているという年齢は, 30代中盤から40代前半と言われることがある. それはちょうどノーベル賞受賞者が授賞理由となった研究を行なっていた時期が平均的にはそのぐらいだかららしい. 知的にはそうなのかもしれない. 

一方で, 多くの場合, 研究する立場でいられなければ, また研究をするための予算がなければ, あるいは研究の立場でなくてもビジネスの事業を任せられる立場でなければ, そもそも実行することなど無理な話だろう. だから, 頑張ってそこまで生き延びる必要がある. つまり, 知りたいこと, やりたいことが, あるならその土俵に乗らなければならない. そのためには, 小さな作品を作り続けるとか, どこかそこそこ名前が知られる場所で誰かと働いておくことが必要になる. また, 自分が選ばれるための習慣的な努力が欠かせない.

そういったポートフォリオが必要になってくる. だが, そういった話を日本ではほぼ聞いたことがない. 日本以外の学生同士ではそういう話になるけれども.

問いややりたいことがあってもできないのなら, いつでもやれるような場所で待つことだって必要なのだ. 日常的に努力する. 学びつつ,何かやりつつ待つ. そういった戦略的な辛抱強さが必要のように思う.

私にもやりたいことがある. でも, 今すぐできないこともある. 今すぐできることからやってみる. 略的な辛抱強さがあってもうまくいかないかもしれない. それは祈りに近い. 戦略的な辛抱強さを持って習慣的な努力行うとは未来に向かって祈ることに等しい.

私は今日も祈る.

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