2020-6-13 日記. ベンチャー企業の研究者: 冬眠のことを知らない. 睡眠のことを知らない.

高橋 徹さん(Ph.D学生, 筆頭著者)と櫻井武教授らのグループが人工冬眠をマウスで成功させたというレポートがNatureに出ていた (同じタイミングでハーバードからも論文が出ていて, お互いに連絡取り合ったんじゃないかと思う). 櫻井先生といえばオレキシンの発見で有名になり, 突然睡眠状態になってしまうナルコレプシー(居眠り病)とも関連が深いことが明らかになっている. 日本の科学者の方でも注目の方で, それが今回人工冬眠の話でも注目を浴びたということらしい. 凄まじい.

実験の結果も当然面白い.  食欲を関連されているとした, pyroglutamylated RFamide peptide (QRFP)を放出する神経細胞を, DREADDs (designer receptors exclusively activated by designer drugs)とoptogeneticsでそれぞれ刺激して, 低体温, 低代謝状態, つまり一種の冬眠状態に誘導できることを示している. 体温も20℃ぐらいまで下がっている. 僕の経験だと, 通常この状態では死んでしまっていることが多い. GABA系とGlutamate系の放出をQRFP神経細胞は行なっていて, そのどちらも冬眠状態を引き起こすらしい.

今回の実験では, 詳しくはないが数日程度冬眠状態を引き起こせるらしい. 今後, 数週間の期間での影響が興味深いところだ. ここまで綺麗な結果が出てくると, 実験をやっていた高橋さんは楽しかっただろうとなぁと思う.

昔櫻井先生の本は「睡眠の科学」で熟読したので覚えている. 摂食障害とも関係があるということで, 「食欲の科学」も書いていらっしゃる.

また個人的には筆頭著者の高橋さんはPh.D学生ということで, またすごい研究が出たなぁと, 恐れおののいている.

また別の話なのだが, 最近知った事実で, 冬眠をしてしまうと通常行われている睡眠ができなくなってしまうため, 睡眠をするらしい. ここら辺もまだまだわかると面白いと思わせてくれる.

昔睡眠の本を何冊か読んでいたのだけれど, 面白かった. とりあえずちゃんと寝ろというメッセージは受け取った. あとは深く考えないようにしている. 短い睡眠でいけるんだというショートスリーパーの人たちもいるのだけれど, あれは遺伝的な問題のようで, 科学的になる方法が確立されているわけでもないので忘れて生きることにしている. アメリカで, 遺伝的に短眠が多い家族 (と言っても 平均6時間程度)の遺伝子研究もしている人たちがいるし, マウスでも本気で研究している人たちがいるのでそのうち本当に健康被害なく短眠になれるかもしれない.


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