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【なんでも積極的はくるしいよね】現代思想入門②ドゥルーズ編

 現代思想入門を読んで現代フランス思想を学んでいく試みの二回目です。

前回のデリダの続きなのですが、デリダはユダヤ人なので弱い立場にある人や周りと違って浮いている人の気持ちをよく理解していました。
そのため、差異を認めるような思想を展開しました。今回取り上げるドゥルーズも差異に注目した哲学者です。

ドゥルーズは同一性から逸脱したものが差異なのではなく、そもそも同一性とは二次的に作られた概念であるとしました。

リゾームとツリーとは

根茎、リゾームは様々な広がり方をする

 リゾームとは植物の根茎のことです。

ドゥルーズは、同一性(価値観やルールを集団全体で共有し守るべきという動き)に縛られずにいることをリゾームと表現しました。
同一性とは、デリダが着目したような二項対立によって社会が動いていくということでもあります。

 リゾーム的ということは、固定概念に囚われずにそれぞれが広がり、それぞれが影響しあうという、ぐちゃぐちゃでまぜこぜな構図ということです。

目に見えるよりも、もっと複雑な関係が物事の背後には、バーチャルには存在しているのです。

同一性に囚われずぐちゃぐちゃなのがリゾームです

 それに対してツリーというのは、同一性によって形作られた集団や社会のことを指します。

ドゥルーズはこのツリー的な社会や学問の体系を批判しました。具体的に言うと、デカルトのような哲学者が幹となって様々な学問が派生していったという体系。これは西洋的な考えと言えますが、ドゥルーズはこれを批判しました。

ドゥルーズはチンギス・ハーンのような遊牧民(ノマド)

ツリーは幹という同一性から延長線上に派生していきます

ドゥルーズはチンギス・ハーンのような遊牧民(ノマド)をリゾーム的としました。
国家という枠組みに囚われすぎないノマドたちは自由であるということです。

リゾームにおいて大切なこと

 リゾームにおいて大切なことは、色々なものがぐちゃぐちゃに絡み合って物事が進んでいるだけでなく、無関係で接続されていない物事も多くあるということです。

ぐちゃぐちゃで全てが絡み合ってるということは、何か1つのミスが起こるとそれによって全てがミスとなり、ミスの責任が増大していくように思えます。

しかし、関係してない物も沢山あるのです。
ドゥルーズはそこを肯定しており、筆者もそこを強調しています。
このことを難しめに言うと非意味的切断と言います

あえてコミュニケーションしないことの大切さ

 今言った非意味的切断は現代社会においてめちゃくちゃ重要です。

 SNSの時代では、情報量的には人との距離が凄く密接になりました。芸能人とか日々のニュースも身近に感じてきます。

 その中で、日々の炎上や事件事故のニュースに過剰に反応すると、人々の倫理観につけこんだメディアの飯の種となっていきます。

 SNSを過剰に使って、他人に介入しようとする動きは、コロナ禍の自粛警察のような監視体制を生みます。

 炎上に油を注ぐのではなく、他人と近すぎて喧嘩するのではなく、非意味的切断(あえてコミュニケーションしない)をすることで冷静に生きられます。毎日ニュースやSNSでイライラするなら見ないほうがいいよということです。

☆だからこそ、動きすぎてはいけないのです。

筆者の千葉さんはこのポイントを重要視して本を出しています。千葉さんの文体は読みやすいのでいつか絶対読みます。

結局恋愛に帰結させてくる筆者千葉さん

 筆者は、デリダの話の時も、恋愛は受動的だからこそ、能動的にばかり生きる人間にとって癒やしとなる。みたいなことを言っていて共感しましたが、ドゥルーズの理論も恋愛で説明しています。

 恋愛で重要なのは、1人の人間にどう関われば愛となり、どう関われば支配にならないのかというケース・バイ・ケースだということです。

 恋人に冷たくなるのはダメだし、メンヘラのように支配するのもダメだと。バランスが大事だよということでした。

リゾームの固定概念に囚われないで複雑に接続している状態も大切だし、非意味的切断しているところも大切なのです。

さいごに、アンチオイディプスとは

フロイトやラカンといった精神分析家たちは、現在の心理は、幼少期の家族という狭いコミュニティの中での経験が深く関係していると考えました。
エヴァンゲリオンはまさにそういう話でした。

しかし、ドゥルーズはこれをツリー的だと批判します。 「家族と今の心理はつながっている」という固定された同一性をもった考えと、その人の心理を結びつけようとするのはおかしいと言ったのです。

これがアンチオイディプスなのです。

オイディプスとは、子供が異性の親と結びつきたがり、同性の親との敵対心を持つコンプレックスです


ドゥルーズはエディプスコンプレックス(つまり家族の問題)ばかりに囚われるのはよくないとしました。

筆者も、家族の問題と今の自分の心理はどちらも大切なのでそれぞれを個々に考えるべきといっています。


全体に言えることをまとめると、同一性に囚われるツリーではなく、接続も切断もしているリゾームだからこそ自由になれるぞ!と説いたのがドゥルーズでした。

SNSってくだらないことばっかりだから、最小限の娯楽程度にとどめたいですね。


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