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理科教育 Advent Calendar 2022の感想

はじめに

この記事は理科教育 Advent Calendar 2022の25日目の記事です。
記事を執筆・共有してくださったDaiki Nakamuraさん,KODAI MIURAさん,もぐりん@理科ネタさん,H.N(高校理科&教務主任)さん,なまものさん,すけきん@理科教員さん,長沼祥太郎さん,ツヨシ(tsuyoshi shimodaira)さん,Naoya Sakumaさん,Masafumi Watanabeさん,ありがとうございました。「登録はしたけど,執筆していない・・・」という方もまったく問題ありませんので,どうか気にしないでください。今年も多様なカレンダーに仕上がってとても嬉しいです。


カレンダーの概要

今年は,評価方法,科学教育におけるコンピテンシー概念,異文化に配慮した理科教育,理科専科制度の実態,化学や生物領域の教材研究,大学入試共通テストから見た現在求められている能力,酸化還元反応の教材研究と実践記録,学会発表体験記,質的研究における厳密性と倫理,といったテーマでした。多様ですね。


感想

上記のテーマを見ると,「理科教育」の意味する範囲がとても広いことがよくわかります。今回のテーマは以下の5つの視点からで整理できると思います。

①目的:なぜ理科を教えるのか

なぜ理科を教えるのか。これは理科教育学における中心的な問いの1つですが,最近は科学の性質(Nature of Science)の流行を感じているところです。一方で,あまり日本では取り上げられない多様性&包摂性といった概念も今回取り上げていただきました。


②方法・内容:何をどのように教えるのか

こちらは具体的に何をどのように教えるのかといった記事です。「有機王」というネーミングセンスの光るカードゲームを紹介や(もちろんほかの実験・教材もおもしろかったです笑),酸化還元反応のとても丁寧な授業記録を共有していただきました。とても興味深いものでしたので,先生方の授業をぜひ観察させてもらいたいと思いました。

個人的には,こうした実践記録がもっと簡単に共有される雰囲気やコミュニティができればいいなと思っております。H.Nさんとすけきんさんはまさにそのようなコミュニティの先駆者で,理科の教材や授業について意見を交換するTwitterスペースを実践されております。私も聞きにいったことがあるのですがとても雰囲気がよかったので,ぜひ皆さんも聞きに行ってみてください。


③評価:どのように評価するのか

今回は私だけですが,どのように評価するのか,という論点も理科教育において重要な観点の1つです。今回紹介したのは量的手法による評価ですが,もちろんいろいろな評価方法があってよいと思います。態度を評価するのは本当に難しい・・・。


④実態:どのような実態があるのか

理科専科にまつわる記事です。実態がとても気になっていたので,貴重な情報を提供していただいたことにとても感謝しています。もぐりんさんのLINEオープンチャットは,理科が苦手な先生にとってとても有意義な場所になっていると思いました。コミュニティの力は強いですね。


⑤研究:どのように研究を推進するのか

理科教育の研究にまつわる記事です。長沼先生の記事では,学会運営(ハイブリット開催)のノウハウをまとめていただきました。ハイブリットで学会を考えている先生にぜひ読んで欲しい記事でした。下平さんの記事では,在野ならではの研究に関する苦労がよく分かる内容になっており,とても興味深く読ませていただきました。また,Masafumi Watanabe さんの記事では,質的研究における基準,トライアンギュレーションの種類と結果,倫理的配慮など,重要な概念が整理されていて勉強になりました。質的研究を学び始めた学生にもおすすめしたい記事でした。

おわりに

今年の記事を読んでみて,改めてコミュニティの重要性を感じました。Twitterのスペース,LINEのオープンチャット,オンライン勉強会,そして学会など,様々なコミュニティが日々の先生方の実践・研究を支えているように思います。私もSlackを使って細々とコミュニティを運営しておりますので,そのノウハウ(というほどのものでもないですが・・・)を近いうちに共有したいと思っております。

noteで書かれた皆様の記事をマガジンにまとめましたので,よろしければご覧ください。2020年,2021年のアドベントカレンダーのリンクもシェアしておきますので,よろしければこちらもどうぞ(サムネイルが微妙に違うのは気にしないでください)。

またまた昨年の繰り返しにはなってしまいますが,アドベントカレンダーは年に一度,共通の関心を持った人たちが記事をシェアしあう,緩やかで細やかなイベントです。こうした知の共有が当事者のみならず,私達の知らない誰かの役に立つことを願ってやみません。

このアドベントカレンダーのためにわざわざ執筆してくださった皆様,過去の記事をシェアしてくだった皆様,ありがとうございました。
少し早いですが,良いお年をお迎えください。

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