大木ヒロシ

癌の罹患と治癒をきっかけにやり残したことに深く思いを巡らせ、自分自身も含め社会を蝕んで…

大木ヒロシ

癌の罹患と治癒をきっかけにやり残したことに深く思いを巡らせ、自分自身も含め社会を蝕んでいる利己的で自分勝手な個人主義のあり方を見直す問いかけをするべく、我々国民のアイデンティティの基底をなす憲法を見つめつつ「素人による素人のための憲法論」執筆を決意しました。

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一時中止のご案内

首都圏の緊急事態宣言が解除されました。しかし、解除は我々中小企業に関わる者にとって本当の意味での正念場に入ることを意味しています。コロナウイルスが死滅した訳ではありません。そうした意味では解除により危険度が増した中でスタッフの健康を最優先にしながらも、雇用を維持し業績を立て直すほかないのです。 勿論、憲法に関わる問題は今回の政府による対策を見ても現憲法が障害となり限界を感じさせるところもあって決してないがしろにする事はできません。それでも人それぞれに職分・職務責任があると思い

    • 「日本国憲法第1章天皇」について「第3回」

      日本国憲法と国の歴史と文化と国民と天皇制 こんな小話があります。世界各国の人々が乗った豪華客船が沈没しかかっています。しかし、乗客の数に比べて脱出ボートの数は足りません。船長は、何人かの乗客には海に飛び込んでもらう他ありません。そこで船長が乗船客に向けて言葉を発しました。 「ここで自ら海に飛び込めばそれが本物のヒーローだ」と言った瞬間、アメリカの男たちが一斉に海に飛び込みました。次いで、「ここで海に飛び込む奴が女にもてる男さ」と言うや否や飛び込み始めたのがフランスの男たち、ド

      • 「日本国憲法第1章天皇」について「第2回」

        天皇制と軍事国家・大日本帝国を結び付けていた米国が憲法草案の段階から、何ゆえ第1章に天皇条項を持っていったか。  5月3日憲法記念日。現日本国憲法は昭和22(1947)年5月3日に施行され、既に73年が過ぎようとしています。その73年の間、国内も世界も大きく変貌しつつあります。米ソ冷戦の片方の主役ソヴィエト連邦はロシア連邦と変わるなか中国の台頭は著しく経済規模は日本を追い越し、今や世界第二位の規模を占めます。その中国の武漢に端を発した新型コロナウィルスが世界を震撼させている

        • 「日本国憲法第1章天皇」について

          先にも触れましたが、戦時にまで例えられる今回の新型コロナウイルス問題に対して日本国憲法の条文が阻害要因となってしまい危機突破に向けた政治対応を難しくしています。 日本国憲法に見られる極端な理想主義は「自らの理想から外れた物事に対して目を閉じてしまう可能性」があります。要するに外部変化に伴う情報に対して自分の都合と希望的観測に合わせるが如く主観的に判断してしまいがちです。 今回のような未知のウイルス感染症に対しては初動集中が不可欠なのですが憲法・法律的に難しいと思われる問題に対

        一時中止のご案内

          前号に続き、日本国憲法の前文の問題1と2

          【問題2】「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し」の傍線における国民とは私を含む我々のことを指しているのでしょうか? 私で言えば国政に係る権威を持している自覚は残念ながら全く無いのです。 「平和で当たり前」「衣食住足りて当たり前。でも他人と比べての不遇をかこち不満タラタラ」そう言えば、私が20代前半の頃、明治生まれの祖母が「今はいい時代だねー、随分と戦が無いよ、お陰で着るも、食べるも充分で本当に有難い」と独り言のようにいっていたの思い出し

          前号に続き、日本国憲法の前文の問題1と2

          「日本国憲法の前文」について

          「平時は何も示さず、すべては非常事態に明らかになる」政治体制に対するドイツの法学者カール・シュミットの言葉です。 戦後の日本はそれなりの紆余曲折はあったものの国際紛争や戦争に直接的関与することもなく、高度成長を機に我々個人のレベルではある程度は満足できる状況を続けてこられたと思います。しかし、今、戦後始まって以来の未知(新型コロナウィルス感染)の国難に際会したといって良い状況です。国民の多くが気持ちの上で命の危険におののき経済は底割れすら予感させます。こうした中、シュミットの

          「日本国憲法の前文」について

          素人による素人のための憲法論- [日本国憲法の問題5]

          なぜ、日本国憲法には「緊急事態対処条項」が無いのか? 新型コロナウイルスの世界的流行を受けWHOがパンデミックを宣言しました。 感染は世界的な規模での広がりを見せており、米国トランプ政権からは、ウイルスへの対応を「戦争」になぞらえる発言が相次ぎ、ドイツのメルケル首相は第二次大戦後の最大の危機と表しています。我が国にとっても「事変」と呼んでよい状況となっています。 ※ 事変とは「異常な出来事。非常の出来事であり警察力ではしずめ得ないほどに混乱、拡大した騒乱。又は国際間の、宣戦布

          素人による素人のための憲法論- [日本国憲法の問題5]

          素人による素人のための憲法論4 - [日本国憲法の問題4]

          その国の歴史と憲法そして「死者との民主主義」 我々国民すなわち大衆目線で見る限り、民主主義に勝る政体は無いように思います。 理想的に言えば「一人は皆のために、皆は一人のために」と言うことです。これは孤独には生きていけない人間にとっては欠くべからざることです。「俺は一人で生きることに嫌は無い」とおっしゃる方がいても、それは社会の中にあって「孤独を選んだ」ということに過ぎないでしょう。人にとって社会(インフラも含む)無しに生きることはとても困難なことに思えます。 立憲民主主義とい

          素人による素人のための憲法論4 - [日本国憲法の問題4]

          素人による素人のための憲法論3 - [日本国憲法の問題3]

          肥大し歪み拡散する「主権在民」そして民主主義と多数決 「あなたは日本という国(国民・歴史・風土)が好きですか」と問われたらどう思いますか? 「お前はどうなんだ」と言われると「好きな所もあるけれど嫌いな所もあるな」としか言いようがありません。でも、日本人である事は確かだし「嫌い」と言った時には日本的観点から「嫌い」だと言っているように感じます。 平成7年の阪神淡路大震災そして同23年の東日本大震災と、未曾有といってよい災害に見舞われましたが、被災した方々の他を慮る秩序ある振る舞

          素人による素人のための憲法論3 - [日本国憲法の問題3]

          素人による素人のための憲法論2 - [日本国憲法の問題2]

          立憲民主主義という理想と現実の狭間で 日本国憲法は経緯的には敗戦という未曾有の混乱の中で占領軍(GHQ)から問答無用に下げ降ったものだったと言ってよいように思えます。しかし、現憲法に正当性は無いのかと言えばそうとも言えません。GHQ最高司令官マッカーサー元帥の命令のもと、民政局長ホイットニー少将の指揮でケーディス大佐を中心に気鋭の憲法・法律の学者・専門家が、世界的に見て理想の平和国家を創設せんとして心血を注いだ産物であろうと思えます。一方、食うや喰わずのなか米軍の無差別爆撃に

          素人による素人のための憲法論2 - [日本国憲法の問題2]

          素人による素人のための憲法論1 - [日本国憲法の問題1]

          今回の連載は「改憲有りきの改憲論」ではありません。あくまでも「現憲法を素人目線で見直してみたい」がスタート地点です。 日本国憲法の問題1 いま、盛んに改憲論が云われるが憲法は政治家や憲法学者の専有物ということではないはずです。私には現日本国憲法は我々国民が我々の憲法として捉えきれない所に問題の根がありそうな気がしてならないのです。 先にも述べましたが、立憲主義とは国民の目線と立場で三権(立法、司法、行政)統治するものであり、我々国民を国家権力が統治するためのものではありませ

          素人による素人のための憲法論1 - [日本国憲法の問題1]

          素人による素人のための憲法論事始め

          大木ヒロシ 2020/03/01 21:20 我が国は「立憲主義」体制の国です。 ご存知の通り、現憲法の第一条は「天皇の地位と主権在民」です。「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく」とあります。ですから、立憲民主主義体制の国という事になります。 我々、国民の一人ひとりが個人として自由でありかつ尊重されるべき存在であり、そうした個人の権利を憲法に準じて国家権力に侵害されないようにするのが、立憲民主主義だという事にな

          素人による素人のための憲法論事始め