ネーブル・ヒロシ

村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」 場所

僕は誰も知らない秘密の場所にいる。誰にも僕の姿をみることはできない。そう思うと、とても静かな気持ちになれた。どこかに石を投げたいと思った。何かをめがけて小さな石…

村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」 モンシロチョウ

そこで動くものといえば、ふらふらと草の上を彷徨っている季節遅れのモンシロチョウだけだった。モンシロチョウは、探し物をしているうちに、何を探しているのかわからなく…

村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」 求人広告

電話を切ると、僕は新聞を持って縁側に行き、いつものようにそこに腹ばいになって寝そべって求人広告のページを開け、その不可解な暗号と暗示に満ちた広告欄を、端から端ま…

村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」 彼女の言い方

僕は家に帰るとすぐに妻の仕事場に電話をかけた。「ネクタイはちゃんとあったよ」と僕は言った。 「すごいじゃない」と妻は言った。 彼女の言い方にはどことなく、良い成…

村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」 NHK

僕は昔からNHKのアナウンサーの喋り方がどうしても好きになれなかったので、本田さんの家に行くといつも落ちつかない気分になった。NHKのアナウンサーの喋り方を聞い…

村上春樹「ねじまき鳥クロニクル」 家庭

僕はそれを聞きながら相槌を打っていた。おおよそ半分くらいしか聞いていなかったけれど、話をきくこと自体は別に嫌ではなかった。話の内容はともかく、彼女が食卓で熱心に…