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記事一覧

教え方が上手い人に習えば、子どもが伸びるわけではない理由

「カリスマ家庭教師の体験授業を受けてみたら、教え方が上手くてびっくり。でも、数ヶ月後、成績が伸びているわけじゃない」 こういうことがよくあります。 「いい先生」の見極め方というのは、ものすごく難しい。 「できること」を「教えられる」わけじゃない 仮にそうだとしたら、勉強を教える先生として最適なのは東大生ということになります。 でも、そうとは限らない。 スポーツの世界でも世界最高のプレイヤー全員が、名コーチにはなっていないのは自明です。 つまり、「できる人」に習っても

学習習慣は必須だが、学習が「作業化」したら効果がなくなる

「毎日決まった時間に自発的に学習すること」 これができたら、小学生の段階での学習は、50%完成だと思っています。あとは、学習する内容を少しずつレベルアップさせていければ、自然と学力は上がっていきます。学力は。 単なる学習の習慣をつける方法 「学習習慣」を身につけるには、同じ時間に、同じ場所から教材を取って、同じ作法で学習をスタートするのが近道です。 学習開始までに考えなくてもいいようにすればするほど、学習開始のハードルが下がります。 つまり、学習するプリントを考えて準

子どもが「言うことを聞かない」を子育てのチャンスに変える

「子どもが言うことを聞かない・・・」 という子育ての悩みがあります。 でも、それが普通だと思っています。特に男子。 この悩みは、まず「親の言うことを聞かないのは問題か?」について考えてみた方がいいかもしれません。 言うことを聞くだけの子ではまずい 逆に、親の言うことを全部素直に従順に聞いていたら、そっちの方が気になります。そういう子は、大人になっても誰かの言うことを聞だけの人になってしまうかもしれません。 それこそ大問題じゃないですか? 上司の言うことだけ聞いていれば

九九はいらない

かけ算を導入するときに、日本では九九から始めるのが常識です。その常識に反しますが、「九九はしない方がいい」です。 正確には、「九九は音で覚えない方がいい」です。 よくある九九の暗記法 「いんいちがいち、いんにがに・・・」 と覚えていき、 「くはしちじゅうに、くくはちじゅういち」 まで。 ひらがなで書くと、ほぼお経ですね。 小学校では2年生の夏休みくらいから、九九が宿題になり、淀みなく九九を言うためのトレーニングが始まります。 たいていは、九九の表や九九カードのようなも

よい先取り学習、悪い先取り学習

中学受験の進学塾の小6コースは、小5の2月からはじまります。小5、小4コースも同様に。ちょっとした先取り。 不思議なことに、小6コースになっただけで、息子の気持ちは6年生の受験モードに突入したのを覚えています。 単に先取っていたら有利、という単純な話ではなく気持ちに影響を与えるのが「よい先取り」学習。 結局のところ、質の高い教育とは先取り学習だな、と思います。 現代の先取り学習大学受験を先取り 多くの中高一貫校では、遅くとも高2の終わりまでには高校までの内容を修了しま

中学受験の国語を個別指導していて、見えてきたボトルネックと打ち手

他の教科でも言えることですが、正直、塾が成績を伸ばしてくれるわけじゃないから、親が我が子の課題を把握して、対処しないといけないのが中学受験です。 でも、国語は手がかりが少ない・・・というか、ものすごく見えにくい教科です。だから、相談がとても多いです。 この夏、たくさんのお子さんに対して国語の個別指導をさせてもらいました。ちなみに、多くの子はオンラインです。 そうしたら、課題の正体が具体的に見えてきました。 結論から言うと、一人ひとり、強みも課題も違いすぎて、授業で何とかす

「勉強しろ」と言わずに、勉強を「自分ごと化」する方法

勉強をさせたい親としたくない子という親子関係の構図は、いつの時代も変わらないように感じます。でも、「勉強しろ」と言って力づくで抑えたら終わりです。 なぜなら、まず継続が難しいでしょうし、やったとしても効果が薄くなるからです。 親はなぜ勉強をさせたいのか ブログを読んで子育てを考えるような聡明な親御さんは、全員知っています。子どもの頃、勉強することが、投資としてどれほど有用であるかを。 自分が勉強をしてこなかった人は、しておいたらよかったという経験をしています。私もその類

「勉強が嫌いになると困る」という理由で、子どもが勉強をしなくても放置するのは、とてもまずい

「子どもが勉強を嫌がるから」という理由で勉強から離れても、「勉強を好き」な状態になることはありません。 そういう子、というか親がたまにいます。 うちの生徒にはなり得ないので、生徒の保護者ではないのですが。 さりげなくその後のお子さんの様子を伺うと、勉強をしないまま放置した結果、もちろん勉強は好きになっていません。それどころか、苦手意識が増幅して学歴の世界で大成することは諦めざるを得ない状態になっていることがほとんどです。 勉強させすぎで「教育虐待」とか言われる世の中です

正解よりも、学んだことが使えたかを大切にすると思考させることができる

ある日、「旅人算」を解いていた娘が、答えは出るけれど説明ができないという状況に陥っていました。式の1つひとつで、何のために何を求めている式なのかという意識が薄いので理解度が低くなります。 そのまま放置しておくと、「正解が出ればいい」という価値観になっていき、応用問題には対応できなくなる可能性があります。 嫌な傾向だな、と感じて、そのときから、しばらくがっつり指導をするようにしました。「がっつり指導」と言ってもマンツーマンでつきっきりではないんですが。 わからない場合、ミ

小さい頃に「致命傷にならない転び方」をたくさん経験させてあげてほしい

「この子は将来、苦労するだろうな・・・」 と感じてしまう典型例は、お母さんが先回りして、子どもがつまづきそうな石を全部取り払うような教育をしている家庭。 「転ばぬ先の杖」はほどほどに 隣でプリントを解いていると、間違えそうになった瞬間にヒントを出すお母さんがたまにいます。子どもが間違えることで、我が子の・・・さらには、お母さん自身の子育ての評価が下がることを恐れているように見えます。 そういう評価をされたことがあるのかもしれません。できたことできないこと、知っていること

幼児の記憶力は、「エビングハウスの忘却曲線」を凌駕する!

エビングハウスの忘却曲線とは ドイツの心理学者エビングハウスという人が、3つの無意味なアルファベットの羅列を被験者に覚えさせ、その記憶がどんな速度で忘れられるかという実験をしました。 その結果、学習をした20分後には、その内容の42%、1時間後には56%、1日後には74%、1週間後に77%を忘れていました。 有名な「エビングハウスの忘却曲線」です。グラフのように、記憶は、徐々に忘れるのではなく、覚えた直後に一気に忘れていくとわかりました。 忘れることを防ぐには、定期的に

先生が生徒に平等に接しないのをあたりまえにしよう

「Aくんをほめたんだから、うちの子も」 「Bちゃんを何分直接指導したんだから、うちの子も」 という親の発言があります。うちの保護者の会話ではなく、ある習い事やSNSなどで見かけたものです。 これは、提供される「指導」に価値を置いている証拠です。 学校や習い事で会費の対価を、先生やコーチが「どんな指導をしたか」に求めるのは得策ではないと思います。 子どもたちは1人ひとり、能力も、性格も違うので、全員に平等に接しても同じように伸びません。 習い事の価値とは何か 「学習効果」

「親切」と「不親切」加減で子どもを伸ばす

以前、小学校高学年のある生徒が、 「理科が大好きだったけど、先生が変わって嫌いになった」 と言うので理由を聞くと、 「わからないところがあったから聞いたら、『授業で話しましたよね、聞いてなかったんですか?』って言われて、結局教えてくれなかった。聞いてないわけじゃないけど、聞いたことを全部覚えられる天才なんているわけない」 と。 正論すぎて「そうだよね」って同意していると、周りの子たちも「私もその先生のせいで理科を嫌いになった」と口々に言い出しました。その場にいた子たち全員が

子どもの「自習力」を磨く

「どこの塾がいいか?」 「通信教育がいいか?」 「家庭教師か?」 いろんな選択肢がありますが、「自習力」さえついていれば、どこでも力をつけることは可能です。逆にこれがなければ、どこでだれに教わっても効果が出にくくなります。 自習力が学力差を覆す 大学受験の予備校に通っていたとき、トップのクラスの全員が、東大や早慶に受かったわけではありませんでした。同じ教材を使って、同じ講師に学び、ほぼ同じ時間だけ授業を受けても、身につく力は人によって異なります。 そのちがいは、スター