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「勉強しろ」と言わずに、勉強を「自分ごと化」する方法

勉強をさせたい親としたくない子という親子関係の構図は、いつの時代も変わらないように感じます。でも、「勉強しろ」と言って力づくで抑えたら終わりです。
なぜなら、まず継続が難しいでしょうし、やったとしても効果が薄くなるからです。


親はなぜ勉強をさせたいのか

ブログを読んで子育てを考えるような聡明な親御さんは、全員知っています。子どもの頃、勉強することが、投資としてどれほど有用であるかを。

自分が勉強をしてこなかった人は、しておいたらよかったという経験をしています。私もその類です。
一方、してきた人も「やっておいてよかった」と思っている人が多いです。

もちろん「勉強より大切なことがある」という人もいます。そういう人は、主語が一人称になる傾向にあります。
「自分が勉強しなくてもなんとかなったから」
「自分は勉強したけど意味がなかったから」
と。

どちらもその人にとっては、事実なのでしょう。
確かに高卒で、世界に名だたる人物になった人もいます。でも、我が子がそういう道を歩く確率は、プロ野球選手になるより難しいかもしれません。

「勉強したけど意味がなかった」のは、やり方の問題かもしれません。親がスパルタで、塾もスパルタで、学校も刑務所のようなところだったのかもしれません。環境が悪すぎます。

いずれにしても、どちらも低確率な事例なわけです。

確率的に考えると、勉強しておいた方が、自分の望む人生を生きる確率は上がると思っています。

勉強は誰のためか?

もちろん自分のためです。だけど、いつからか、子どもたちは、誰かのために勉強するようになります。すると、反抗期に入った途端に勉強をしなくなってしまいます。

中学生以降の思春期・反抗期に入ってから、親が勉強させようとするのはかなり難しいです。だから、この先の話は、中学生以降には通用しないでしょう。
仮にしたとしても、思春期に親の言う通り従順に勉強することがよいこととも限りません。

塾に預けても同じです。
特に一斉授業の塾は、授業をして終わり、という機関がほとんどです。なんとかして、成績を上げようとかモチベーションを上げようとしてくれる塾は少ないです。なくはないんですが。

そうならないために、「勉強をする」モチベーションを、早い段階で「自分ごと」に変換しておくことが重要です。

勉強に対するモチベーションは大きく3段階あると考えています。

勉強が「自分ごと」になる3ステップ

  1. 怒られるから、勉強する

  2. ほめられるから、勉強する

  3. 自分のために、勉強する

1、2の段階は外発的な段階です。勉強や宿題をしなかったときに、「勉強しなさい」と怒られます。一足飛びに、3を目指さず、2を経由して3の内発的な状態を目指すといいでしょう。

1の段階から、2の段階に移行させるのが、まず難しい。難しさの原因は、子どもを変えようとするからです。人を変えるのは、とても難しいことです。だから、自分が変わります。関わる大人が努力することで、相手の変化を待ちます。

どんな努力かというと、しなかったときに怒るのではなく、したときにほめること。しなかったときは、怒らずスルー。これが基本です。

「自分でする時がないから、ほめられない」
という声もあるでしょう。

そういうときは、「ほめる基準」を下げましょう。

親が言わなくてもやる。
親を見てやる。
親に言われそうになったらやる。
親に言われてやる。
親に言われて、やろうとする。(やっていない)
親に言われて、机に座る。(漫画を読んでいる)

下に行くほど、主体性は薄いです。
最後2つは学習してすらいません。
でも、「今、ちょっとやろうとしたよね?」とか、「机に座ることはできるよね」とほめる。そのレベルから。
とにかく、発する言葉を変えていく。プラスの方へ、プラスの方へ。

子どもにとっては、照れくさいけど、意外と嬉しいものです。
「いやいや、そのくらいでほめてくれるな、もっとできるから!」
って思わせたらしめたものです。次の段階へ進めるでしょう。

ほめ言葉をかけるための下ごしらえ

まず、やることと時間を決めます。もちろん一方的に押しつけるのではなく、子どもとの話し合いで決めます。できれば、自分で決めたという感覚を持たせられるといいでしょう。
めんどくさがっても構いません。まず、決めることが大事です。

学習計画を決めたからといって、勉強しない子がいきなりするようにはなりません。なったら苦労しません。

最初は、「時間だよ」と声をかけます。その後が重要です。
言われてから、やり始めるまでの時間が短くなったら、ほめる。「勉強しよっかな・・・」と、実際はやらないけれど、つぶやいたら、ほめる。勉強するつもりで机に向かったら、ほめる。結局、漫画があったので読んでいたとしても。

ステップ1から2への移行期は、小さな進歩をほめていかないと、3へは進みません。

「自分から机に向かって集中して勉強をし、課題を終わらせる」は最終目標地点として、「自分の意思で勉強をしようとする」かに焦点をあて、言葉をかけます。すると、そういう方向へ進んでいきます。

ステップ3への進化の道筋

子どもたちは、いったんほめられるポイントを理解できると、その行動をくり返したくなります。
「あー、100点取ることがほめられるポイントじゃないんだな」
「自分でやることが大事なんだな」
と。

決めた時間に机に向かうことがあたり前になったら、もうそこをほめる必要はありません。次に、短時間で集中できたこと(ミスがあっても)、グズることなく最後までやったこと、などをほめていきます。

すると、子どもたちは、自分で進化をさせようと頭を使って工夫し始めることさえあります。
「だったら、記録をとってみようかな」
「どれだけ短時間でできたか報告しよう」
とか。

こうなると、ステップ2へ進めただけでなく、ステップ3に入りかけています。さらにほめるポイントをレベルアップさせつつ、「問いを投げる」段階に入ります。

「なんで、そんなふうにできたのかな?」
「どうして記録取ろうと思ったの?」
と。「自分で考えて、手を打っているんだね、すごいね」と言わなくても興味を持って問うだけで、承認されている感覚になります。

このやりとりまでできたら、かなり「自分ごと」になってきた証拠です。

つまり、子どもに「勉強しろ!」と言っているだけでは、勉強をし続けるようにはならないということ。めんどくさくて、難しいけれど、親が変われば子も変わります。劇的に。

東大生の多くが「勉強しろ」と言われたことがないと何かのアンケートで答えていました。その事実は、「親が言わなくても勉強をする子」だったという証明ではなく、「子が自分でやるように持っていく親のうまさ」の証明なんだと思っています。

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