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拙詩集『柔らかい檻』が朝日新聞に掲載されました!

詩人本多寿様が、9月29日付けの朝日新聞のコラム「記憶の森から」で、拙詩集『柔らかい檻』と収録作品「ハルマゲドン」を取り上げでくださいました。ありがとうございます!
このような機会を頂戴したので、掲載記事と詩作品「ハルマゲドン」をUPいたします。お目通し頂けたら幸いです。

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ハルマゲドン

「神は人間を羊と山羊に分けているの。羊のような人間だけが、天に行けるのよ」

子供の頃、近所のエホバの証人のおばさんに
言われた言葉
天に行けない山羊は
ハルマゲドンで潰されるらしい

ーきっと高校生になるまでは生きられない…
来るべき日に備えて
乾パンを自室の押入れに隠した
小学三年生の春

あれから半世紀経ち
世界はゆっくり大きなうねりに
呑み込まれている

ウイルスが細胞を侵食し
ファシストが羊の群れを薙ぎ倒し
大地は憤りを噴出し震えている

終末が近いのだろうか
黙示録の予言に抗い
山羊の群れで草を食んでいた私は
神の淘汰を前にして
乾パンを隠す気力すら
手放している

ハルマゲドンで
塗り変えられる世界史の
一滴の絵具にならんと
身をゆだねて

*詩集『柔らかい檻』収録作品


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