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ランニング講義の質問と回答②「オンライン編」 2020/06/21

前回に引き続いて、
今週のオンラインでのランニング講義中に受けた質問をここでは回答していきたいと思います。今回は小学生から高校生までを対象として実施しました。
読者の方の参考になれば幸いです。

・前回の質問と回答はこちらから
ランニング講義の質問とその回答 ①「オンライン編」  
2020/06/14|須河 宏紀(すがわ ひろき) @hiroki_sugawa #note https://note.com/hirokisugawa/n/nb6f2686bc3be

今回の質問は全部で11個です。
(参考するに当たっての判断はご本人に委ねます)

Q,かかとが痛いときの練習について教えて下さい

A,前回の質問回答noteとも関連。(参考にしてみてください)
ランニングフォームや体型、練習量を把握していないので、これといったことは言えないですが、踵が痛くなっている原因があるはずです。

【考えられる可能性】
①成長期のため踵骨骨強度が低い。
身体が成長過程のため骨の強度が低いことが可能性として考えられます。痛くならない程度の負荷での運動や、踵に負担をかけすぎず運動を行いましょう。
適度な運動は骨を強くしてくれます。また日光を浴びたり、カルシウムとビタミンD・ビタミンKを適切に摂取したりすることで骨形成が正常に行われるので、取り組みの参考にしてみてください。

(例)
・自転車をこぐ(坂道など)
・水泳
・スキー
・階段の上り下り
・登山(ハイキング)

②路面が硬いところでよく走っている
芝生など地面が柔らかいところで走り、地面から受ける衝撃を減らしてみましょう。

③シューズが合っていない
ソールが薄い、または硬い素材を使っているシューズは足裏を痛めやすいです。
練習に応じてシューズを選ぶことは大切です。
jogや強度の低い練習ではクッションがある素材のものを選んで履いてみましょう。
僕も部位は異なりますが、アキレス腱の痛みがそれでなくなった経験もあります。

現在はNIKEのペガサスシリーズをjogで使用しています
ただNIKEはメッシュの補強があまりないため、オーバープロネーション気味の人にはアシックスなどのメッシュに補強が施されているものがオススメです

④過度なヒールストライク走法
ストライドを伸ばそうという意識が働きすぎて、接地位置が極端に前になっているため、過度に踵から入って衝撃がかかっている走りになっているかもしれません。
踵から接地してもいいのですが、なるべく自分の真下で接地するイメージを持つこと。また接地の際に大きな音がしないように走るといいでしょう。

Q,よく怪我をするのですが、怪我をしにくい体作りなどありますか?自主練習はどんな事をすればいいか教えてください。

A,前回のnoteも参考にしてみてください。
今は成長期かと思うので、身体の状態も安定していない状態かと思います。無理な運動強度をかけないように自分の身体と相談しながら練習を行うのが大切です。
この時期は身体を正しく動かすような練習を沢山取り入れると、身体が成長してからもその練習が生きてきます。ほかのスポーツをやるのも色々な運動刺激が入っていいと思います。

(例)
・ランニングドリル
・水泳
・ストレッチ
・不整地でのランニング
・坂道ダッシュ
など

Q,速くなるためにはどうしたらよいですか?

A,正しい練習を積み重ねることと、自分で考えられる選手になることが大切かと思います。あとは世界大会に出場するような選手は、良くも悪くも変わっている個性的な選手が多いです。自分のこだわりを大切にできるということも速い選手のひとつの要素かと思います。前回のnoteも参考にしてみてください

Q,練習や試合での暑さ対策について教えてもらいたいです。

A,これはコーチなど指導者の方とも相談してほしいのですが、暑さ対策にも色々あります。また練習を再開するときの暑熱対策ガイドラインがHPSC(ハイパフォーマンススポーツセンター)から出ているので参考にしてみてください。

【トレーニング再開時の暑熱順化のポイント】
1. トレーニング前に必ず体調確認を行った後、トレーニングを開始しましょう。

2. 暑熱順化を行うには、1日60分以上のトレーニングによって体温を上げることが重要です。
トレーニング再開時は、低強度から段階的に強度・時間を増やすようにしましょう。 (Racinais et al, 2015)
自粛での体力の低下や、高温環境に慣れていないことも考慮されるので、段階的に身体を適応させていきましょう

3. トレーニング後の温水浴の併用も有効な方法の1つです。
(例:水温:40ー42℃、時間:45ー60分 or 30分2回) (Daanen et al, 2018)
→お風呂やサウナも暑熱対策に効果的で、運動後であれば10〜15分程度入浴することでもより暑さに慣らしていくことができます(のぼせる可能性もあるので、体調をみながら行いましょう)

4. 暑熱順化中は、発汗量の増加により体水分の損失が多くなります。さらに、脱水状態になると暑熱順化による暑熱耐性が妨げられるため、水分補給を怠らないようにしましょう。(Sawka and Pandolf, 1990; 安松, 2015) 
→水分補給以外にも、活動中こまめに身体に冷たい水をかけたり、手に氷や保冷剤を持って走ったりすると、体温を下げる効果があります
「ガイドラインより抜粋」

上記の考えは暑さに対しての抵抗力や慣れをつけるという考え方で、これも勿論大切かと思いますが、暑さを緩和する手段としては次のようなことがいえるかと思います。

・アイシング、アイスバスをする
・練習は涼しい時間帯に行う(朝/夕方)
・睡眠をきちんととる
(エアコンをつけてもちゃんと寝る)
・適切な水分補給
・アイススラリーの摂取・・・・実際の製品
(胃腸の負担を考慮すること)

暑さ対策にも様々な方法があるので、目的に合った方法、自分にあった方法を取り入れていきましょう。

「暑さ対策についての参考情報」
・スポーツにおける 実践的暑さ対策とその応用
https://www.nsca-japan.or.jp/journal/25_6_02-10.pdf

・スポーツ活動中の熱中症予防ガイドブック
https://www.japan-sports.or.jp/Portals/0/data0/publish/pdf/guidebook_part4.pdf

・HPSC(ハイパフォーマンススポーツセンター)情報提供サイトhttps://www.jpnsport.go.jp/hpsc/news/httpswwwjpnsportgojphpscnfathlete/tabid/696/Default.aspx#training

Q,中学生の時の1500mのタイムを教えて下さい。

A,身体の成長スピードも人によって異なるので、過去の自分と比較して成長しているかどうかということも大切な指標かと思います。年々成長していけるといいですね。

【筆者の中学生時代の1500mのタイム推移】
中学1年時:4分31秒
中学2年時:4分18秒
中学3年時:4分12秒

Q,練習や大会前、気持ちが落ちていると感じたとき、自分ではどうやって立て直していますか?そんなとき、どう、声をかけられたいですか?

A,僕も過去の自分の成績や状態と比べてしまうこともありますが、今の自分のベストを尽せたら良いと思って取り組んでいます。誰だってうまくいかないとき、結果が出ないときはあるかと思います。そんな時は一度過去のことは良い意味で忘れて、目の前のことに集中することを意識しています。
あとは気持ちが落ちていたり、自分の状態が悪い時にどうレースをまとめるかも、強い選手としては大切な要素かと思います。競技を続けていくと、自分が100%の状態で臨めるレースばかりではありません。そういう時こそ自分の真価が問われると思います。

また、そういう時は人にただ話を聞いてもらったり、自分を受け入れてくれて肯定してくれる人が近くにいたりするといいですね。意外と自分の思っていることを話しているだけで、気持ちが整理されて落ち着くこともあります。誰しも浮き沈みはあるものなので、そういう自分を受け入れる強さを持つと今後強い選手になれると思います。

「メンタルトレーニングについての参考情報」
・HPSC(ハイパフォーマンススポーツセンター)情報提供サイトhttps://www.jpnsport.go.jp/hpsc/news/httpswwwjpnsportgojphpscnfathlete/tabid/696/Default.aspx#training

・不安との上手な付き合い方【実践編】
https://www.jpnsport.go.jp/hpsc/Portals/0/shinri12.pdf

・筒井香さん
博士(学術)スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング指導士
https://twitter.com/PhD_Kaori
メンタルトレーニングに関する情報を発信しておられるので、参考にしてみてください。

メンタルトレーニングはメンタルが弱いひとのためのものではなく、自分と向き合うためにも大切です。新しい考え方やモチベーションを保つ方法を知るためにも参考にしてみることをオススメします。

Q,食事面で気をつけなければならないことはありますか?

A,講義中に説明。また前回のnoteを参考にしてみてください。

成長期の食事は、
①基礎代謝量(身体が生きていくために必要な栄養)
②活動消費量(運動などで消費したエネルギーや栄養)
③身体が成長する上で必要なエネルギーや栄養
が必要になります。

活動量や体型によって消費するエネルギー量も異なります。
アスリートレベルなら、タンパク質は体重(kg)あたり1.5〜2.0gの摂取が推奨されています。ただ、ここも体質によって摂取しても吸収されにくい人や、摂取したタンパク質が活動エネルギーに使われてしまうこともあります。
個人的には活動エネルギーのためにしっかり炭水化物を摂取すること。炭水化物が含まれるお米を充分摂取した上で、身体を作る素材となるタンパク質を摂取することを心がけています。お米にもタンパク質が含まれており、また食物繊維やミネラルも含まれているので、小麦で作られた主食よりもお米を積極的に摂取するようにしましょう。

「食事についての参考情報」
・HPSC(ハイパフォーマンススポーツセンター)情報提供サイトhttps://www.jpnsport.go.jp/hpsc/news/httpswwwjpnsportgojphpscnfathlete/tabid/696/Default.aspx#training

・安西 仁美さん 
管理栄養士 / スポーツ選手のサポートや講演会も多数実施
https://twitter.com/hitomianzai812/status/1264087673632743424
食事や栄養に関する情報を発信しておられるので、参考にしてみてください。

Q,ライバルについてどう思っていますか?

A,この選手が明確に気になるという選手はいないのですが、他の選手がレースでいい結果を出していて自分が思うように走れないと焦ってしまうことはあります。
ただそういう時は、良い意味であの選手があれくらい走れたなら自分はもっといける、自分ももっと頑張ろうと思うようにしています。
ライバル選手の存在は自分を強くしてくれると思いますが、大切なのは自分を見失わないことです。自分自身の取り組みと向き合わなければ、速くは走れません。自分が強くなるためにうまくライバルの存在が生かせるといいですね。

Q,練習や大会では何を考えて走っていますか?

A,練習だったら今日の練習の目的について考えます。取り組む前になぜこの練習をするか、練習中に意識しないといけないポイントを確認します。走っている時は、極力なにも考えずに走ることに集中しようという意識でいます。大会の場合も、スパートのタイミングなどはレース中考えますが、練習と同じように走ることに集中する意識を持っています。

Q,今まで出場した大会で1番印象に残っている大会は何ですか?

A,印象に残っている大会は特にありませんが、マラソンは走れるチャンスが限られているので、そういう意味では達成感があり印象に残っています。怪我をせずにスタートラインに立つまでの練習も厳しいので、レースを含めて終わったあとは達成感があります。

Q,最後までしっかり追い込む為にはなにを意識すれば良いですか?

A,追い込む練習のときは、きちんと集中すること、試合のきつい場面を想定して練習をするといいと思います。自分の体調が整っていないときや、きちんと集中できないときに強度の高い練習を行っても、怪我のリスクがあったり、トレーニング効果が得られなかったりします。
まずは練習を継続して身体の土台を作ること。その上で、強度の高い練習に取り組むと、苦しくなっても走りきることができると思います。

今回の質問の回答は以上になります。
上記の中で少しでも参考になることがあれば幸いです。
また今後も機会があれば、質問と回答について公開していきたいと思います。

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