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MBA Essentials 2021<総合コース>春 第10回 企業経営とコーポレートエシックス(企業倫理)

企業倫理…この春から新規追加された講義です。つまり、今後さらに大事になってくる内容と言えるでしょう。

講義のあったまさにその日、「三菱電機の検査不正問題」が明るみに出ました。何の因果か…

さて、今回で最終回となりました。

一緒に学びましょう!


第10回 概要

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企業経営とコーポレートエシックス(企業倫理)
平野 正雄 先生

今日、企業にはかつてないほど倫理的経営と社会的責任が求められています
本講義では、具体例を用いながら企業の本質的な役割や企業経営者に期待される役割、さらには企業の社会的責務ガバナンスの問題を共に考えていきます。
これにより、企業経営の本質への理解が深まり、企業や社会に対する見方や考え方が大きく変わることでしょう。

講義の流れは以下の3本でした。

❶なぜ不正を犯すの? ~「オリンパス事件」を考える~
❷なぜ倫理経営が求められるの?
❸企業はどう環境問題に立ち向かうべき? ~GMの決断~


❶なぜ不正を犯すの?

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オリンパス事件」という10年前の事件を題材に「なぜ不正を犯してしまうのか?」について議論しました。

オリンパスが、巨額の損失を「飛ばし」という手法で、10年以上の長期にわたって不正会計処理した事件です。

詳細についてはWikipedia「オリンパス事件」を参照ください。

一部のシーンをかんたんに図解すると、こんな感じです。

オリンパス事件

ディスカッション

(1)あなたはW氏の行動を評価するか?
(2)あなたが10年前のK氏の立場だった場合、自分の代でクリーンにする処理を引き受けて社長になるか?
(3)銀行による救済が功を奏したが、その関与に問題はなかったか?

みなさん、(2)ではどんな判断をされますでしょうか?

当然ですが、「引き受けたらアウト」です。ただ、引き受けなかったとしても「知ってしまった」立場になるわけです。

「知ってしまったらどうするか?」が大きなポイントになります。

W氏は、事前のヒアリングやまわりへの働きかけをしないで、いきなり会長室になぐりこんでしまいました。ここは稚拙だったと先生も言います。


第三者委員会調査報告書より

経営の中心部が腐っており、その周辺部も汚染され、悪い意味でのサラリーマン根性の集大成というべき状態であった

先生が見て「もっとも過激な表現」がここだそうです。「悪い意味でのサラリーマン根性」って何でしょうか?

①長いものには巻かれろ
②組織に入ると「思考停止」に陥る

そんなものは「今は許されない」と先生は言います。


企業不祥事・不正事件のタイプ

企業不祥事・不正事件の類型

日本では「会社のため」がほとんどで、「自分の私腹を肥やす(例:N社のG氏)」のはまれだそうです。

また、オリンパスのように「銀行が支援」というのも非常に日本的なんだそうですが、「今は通らない」と先生は言っていました。


企業不正の3要素

企業不正の3要素

これらの要素から不正が発生してしまうのです。


❷なぜ倫理経営が求められるの?

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これを考えるためには

会社とはなにか?

をもう一度考え直す必要があります。

会社とは何か

法人としての権利・義務を行使する法的存在であることは当然として、「価値を生む装置」である経済的存在が大きいです。

しかし、それと同時に「企業は社会的存在だ」という3番目の見方が存在します。最近ようやくこの点に光があたってきたのです。


投資家の目線

投資家は企業の社会的活動に目を光らせています

CSR、ESG、SDGs、CSV、ERS、PRI

よく耳にする言葉たちですね。

「言ってるだけではダメ」なのは当たり前ですが、「やっているだけでもダメ」なのです。最終的には会社の価値をあげないといけないからです。

とはいえ、価値をあげるところまで実現するのが難しいのは確かです。


若者の目線

目から鱗でした。

若い人は、正しいことをしている会社にいきたい」のだと先生は言います。言われてみるとたしかに。組織の中にいると気が付かないものです。

よい人材を得られればそれだけ企業も成長できる可能性を得られます。


❸企業はどう環境問題に立ち向かうべき?

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GM(ゼネラルモーターズ)社を下敷きにしたフィクションから、自分が社長ならどんな選択を選ぶか?でディスカッションしました。

「現在、エンジン車の売れ行きが好調だが、株価は低迷している。社会的にはクリーンエネルギーを求められている。さてどうするか?」

選択肢は以下の3つです。

(1)現実路線
 脱炭素重視の方針だけは打ち出すが、ほぼ現状を維持する。
(2)バランス
 クリーンエネルギー車の開発加速を宣言し、資源を大幅に振り分ける。
(3)明快なシフト
 2030年までにガソリン車の販売を打ち切り、大胆にシフトする。

正解があるわけではありません。これこそが経営判断なのであり、どれだってありえます。

しかし、大事なことがあります。

比較してどう決めたかを示す」「意思決定のプロセスを透明にする」「エビデンスを示す」ということです。

どうしてそうなった?が明確でないとなんだか信用できませんよね。


GMが選んだ選択肢、日本が選んだ選択肢

GMは「(3)明快なシフト」を選びました。これによって評価(株価)も高まったので、現時点での「よい判断だった」と言えます。

ところで、日本も「(3)明快なシフト」を選びましたね。みなさんの評価はいかがでしょうか?


脱炭素の流れ

日本ではやっと聞かれはじめた感じですが、世界ではとっくにはじまっています。投資家の目線は強烈で、NPOからの視線もシビアなんだとか。

脱炭素のカギとなるステークホルダーは下図のとおりです。NPOの目線は意識していなかったです。😅

脱炭素ステークホルダー

日本の多くの株主総会ではモノ言う株主も出てこずに「無風でシャンシャン」ですが、今後はどうでしょう。

投資家は企業の脱炭素に対してどう見ているのでしょうか?

✅①一番の重視はパーパス
✅②物理的リスク、移行リスクの対応(10年後、20年後に生き延びているか?
✅③脱炭素に対応しつつも収益力を高めているか

「パーパス」は最近よく聞きます。

そして、結局のところ収益をあげていかなくてはいけません。いいことを言っても結果が出なければ株主は離れるのです。


質疑応答から学ぶ

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環境問題に向けてのM&A

間違いなく活発化する」そうです。

なにも社内だけで脱炭素をやる必要はありません。自社になければ外から入手して、取り込む。スタートアップに投資する、という手段もあります。

株主の短期的な評価、長期的な評価

世の中のトレンドにあわせて短期的に評価をあげることに意味はあるのか?

「株主の言うとおりにする必要はない」「短期的であっても、その時点では正しい判断でもある」

つまり、結局のところは「経営判断に尽きる」とのことです。

また、「ディスラプション(破壊)は起こる」とも言われていました。長期的なことが必ずしもよいとは限らないでしょう。

電力会社と脱炭素

電力会社の方が参加されていました。脱炭素において電力会社の役割は大きいと言います。

実は、平野先生は資源エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会のメンバーでもあります。当事者としての意見が聞けました。😲

「水素を安くつくるためには海外から買ってくる必要がある」「エネルギーの海外依存はアキレス健であり、結局日本はそこから抜け出せない」

など、日本の問題点も聞けました。日本の一員として意識しなくてはいけないと、改めて考えさせられました。


まとめ

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企業が不正を犯す原因は、①要求・圧力、②風土、③機会の3要素にまとめられます。

企業は、経済的存在であると同時に社会的存在でもあることを意識しなくてはいけません。

環境問題、脱炭素も社会的存在に求められる一部です。いいことを言うだけでなく、利益をあげなくては株主が離れていくだけです。


本日の学びはここまで。また来てください。👋


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