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ローン・ラニングの師、ジャック・ゴールドスタイン
Oddworldユニヴァースの設定資料とラフスケッチを収録した『Abe's Origin』(2020)内インタビューで、ローン・ラニングはアーティストの条件たるものをジャック・ゴールドスタインから学んだと話す。真に哲学的でアーティストの中のアーティスト、商業で成り立つアートの世界で生きられなかった男としてラニングはゴールドスタインを憐れみ、尊敬している。
人生の大半を孤立に費やしていたジャック・
Oddworld Inhabitants 異端デベロッパーの冒険③ 新しいメディアとゲームへの帰還
『Wrath』は創造的な意味で称賛を浴びたが、商業的な成果は不振というほかなかった。Electronic Arts社に販促の不備を訴えたところ、EA社は非を認めるどころかOddworld Inhabitansの買収を申し出たが、ラニングとシェリーは自分たちの赤ん坊(作品とキャラクター)を売り渡すことはできないと拒否し、自ら退路を断つことでブランドを守り抜いた。実はこの期間にも『Wrath』の兄弟と
もっとみるOddworld Inhabitants 異端デベロッパーの冒険② Xboxへの移行からスタジオ閉鎖まで
97年12月に『Abe's Oddysee』をリリースしたOddworld Inhabitant(以下・Oddworld)は、翌年から同作の続編にあたる『Munch's Oddysee』の開発に着手した。しかし、プレイステーションのスペック的制約から、『Munch』をこのハードで実現するには難しい内容と判断したローン・ラニングは、『Oddysee』の拡張版的タイトル『Abe's Exoddus』(
もっとみるOddworld Inhabitants 異端デベロッパーの冒険① 『エイブ・ア・ゴーゴー』から『エイブ99』まで
もっぱら音楽の話題が多い当noteだが、研究の対象は「インディーズ精神」あるものである。筆者にとってのそれは「DIY」、「日々の営みとしてのアート」など色々と形容できるが、中には裸一貫から業界に食い込み、内側から旧態依然とした慣例や常識を破壊せんとする者もいる。ローン・ラニングはその典型だ。彼がアートを通して伝えようとするメッセージはこの世界を支える不平等とそれへの反抗であり、その依り代にプレイス
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