『マチネの終わりに』第六章(7)
「ああ、是非お願いしたいけど、緊張するな。……会ったばかりで、いきなりそんなデリケートな質問すると、無神経な人間だと思われるよ。」
「怖そうに見えるけど、優しい人よ。」
「それは、あんな映画撮ってるんだから、深い優しさのある人だと思うけど。」
「わたしには話さないことも、あなたになら話すかもしれない。アーティスト同士だし、父はクラシック・ギターが大好きだから。きっと気が合うと思う。」
「うちは両親とも亡くなってるけど、お母さんにも、近いうちにお目にかかりたいな。」
「そうよね