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節税を思い立ったら読むnote:後編

 税法の世界も広いので、”節税”と言っても何から手を付けて良いか、迷われると思います。これこそ10人の税理士に聞いて、10通りの回答がある”十人十色”状態。そこでいったん、”交通をテーマにする節税”、”相続をテーマにする節税”、と2つの切り口で、前編・後編と2部に分けてnote記事にしてみました。この後編では”相続をテーマにする節税”を取り上げます。なお前編を読まれていなくても、後編から読み進めることは出来ますが、以下前編のリンクを貼りましたので、宜しければ覗いて見てください。

 では”相続をテーマにする節税”を見ていきましょう。ちょっと難しい印象を持たれるかもしれませんが、イメージしやすい説明を心掛けていますので、最後までお付き合いのほど、宜しくお願い申し上げます。

1.相続対策の基本的な考え方

 相続とは、ある人が死亡した場合にその人の財産を無償、かつ無条件で他の人が引き継ぐことを言い、死亡した人を被相続人、相続により財産を無償で承継した人を相続人と言います。例えば親が亡くなり、子に親の財産を相続された場合、その親を被相続人子を相続人と呼びます。

 で、その相続対策ですが、対策の種類として基本的な3つの考え方があると理解しています。第1に、A.遺産分割対策。相続人のうち誰にどの財産を承継させるか、また相続人の間で争い(いわゆる”争族”問題)が起こらない手当を、生前に講じておくことです。第2に、B.節税対策であり、このnote記事のお話の中心です。対策の仕方によって、税額が大きく変わるので、相続税額を可能な限り少なくするような財産の保全措置を講じておくことです。第3に、C.納税資金対策。節税対策を講じても、なお相続税額を支払わなければならない場合において、税金の納付を円滑に行える環境を整えておくことです。

 以上の通り、相続対策では法律・税金・お金と多面的に見る必要があり、更に被相続人が事業を営んでいる場合には経営の視点も追加されます。まさに”総合格闘技”みたいな分野ですよね。

2.そもそも最初に誰に相談するのがbetterか?

 いろいろ意見が分かれるところだと思いますが、”まず最初に税理士に相談し、争いが起きた場合には弁護士に相談”だと思います。これから私見をご紹介しますが、あくまで一意見という事で、大目に見て頂ければ幸いです。

 まず銀行担当者による相続アドバイス。最終的には法律専門家に確認することになり、更に手数料等の問題もあります。次に法律専門家という事で司法書士。登記の専門家ですが、税金の観点からアドバイスされているかという問題があります。いわゆる”争族”問題が起きた場合は弁護士に相談する必要がありますが、弁護士も司法書士同様、税金の観点からアドバイスされているか注意が必要です。前の”基本的な考え方”でも述べました通り、”B.節税対策”は相続対策の基本となり、対策の有無によって、税額が大きく異なってきます。ゆえに最初に税理士に確認するのが有効だと考えています。あと、ファイナンシャルプランナー(FP)は、税理士等の独占業務が出来ない等ありますが、お金の幅広い分野を守備範囲としていますので、FPに相談するもの有効かと。

 一番大切なのは、相談相手との相性。とにかく、相続では節税に係る観点が重要という観点で、遺産分割等の対策を考えて頂ければと思います。

3.相続節税対策その1:生前財産移転対策

 これから相続の節税対策について見てまいります。そもそも相続税の計算の仕組み上、相続される財産の金額(課税価格といいます)に課税されますが、その課税価格のトータル額をどれだけ小さくするかが、節税対策になる訳です。ざっくり(⁉)説明しますと、その課税価格は、”財産の顔ぶれ”×”各財産の金額”を積み上げる計算になりますが、”3.相続節税対策その1:生前財産移転対策”では、”財産の顔ぶれ”の数を少なくする対策、次に”4.相続節税対策その2:評価引き下げ対策”では、”各財産の金額”を小さくする対策というようにイメージを持って頂ければと思います。

 ”生前財産移転対策”とは、被相続人が生きている間(生前)に予め財産を贈与するという生前贈与や、配偶者への相続・贈与について税額軽減する贈与税の配偶者控除等、相続する財産を予め移転させることで税負担を軽くする対策です。具体的には、贈与税が課税されない少額レベルで少しずつ贈与したり、子が存命で孫に贈与することで相続税課税を1回分減らすこと等の方法があります。また将来価値が上昇しそうな財産から優先的に選択し、贈与することも節税ポイントになります。

4.相続節税対策その2:評価引き下げ対策

 次に”評価引き下げ対策”とは、相続・贈与する財産の価額を引き下げることで、税金を安くする方法。例えば土地を持っている人が賃貸用アパート建築することでトータルの課税遺産総額を下げる等があります。アパート建築によって、アパート建物分の課税価格が増加しますが、賃貸アパート建築支出による現金の減少、更には賃貸アパート用の土地という事で評価額が減少しますので、トータルの課税遺産総額が下がるというロジックになります。他にも定期借地権という権利を設定させることによって、”貸宅地”にすることで引き下げる方法や、家族で会社経営を行う同族会社を活用できる場合、個人所有の現金・不動産等を同族会社に移転することで、同族会社の株式評価を利用して評価の引き下げを図る方法等の方法があります。

5.その他の相続節税対策

 最後に、相続税法の計算上の仕組みを利用した節税方法として、養子縁組による相続対策生命保険を利用した相続対策の2つを紹介します。

 まず養子縁組による相続対策について。そもそも相続税には”遺産に係る基礎控除額”としまして遺産が少額であれば課税されないという、課税最低限が設けられています。法定相続人の数が多いと基礎控除額も大きくなる、つまり課税最低限が高くなり、相続税が課税されにくくなるというロジックです。

 次に生命保険を利用した相続対策について。一般的には相続時の生命保険の利用は、相続対策の基本的な考え方の”C.納税資金対策”に区分されるものと理解していますが、生命保険にも節税効果があるので取り上げさせて頂きました。生命保険金には非課税の規定があり、課税遺産総額を下げる効果があります。

 説明は以上ですが、如何だったでしょうか?もう少し掘り下げた説明が欲しい部分もあったかもしれません。しかし今回のテーマは『節税を思い立ったら読むnote』。イメージ付きやすいように”項目出し”に終始し、細かい説明は省かせて頂きました。税法の世界は、とても広くて、しかも深いので、全体像・イメージが見えにくいと感じています。そこで最初の取っ掛かりの読み物として書けないかとチャレンジしてみました。これからも経験・知識の補充により、ブラッシュアップを図りたいと考えていますが、読者の皆様、引き続き宜しくお願い申し上げます。

<以上となります。最後まで読んで頂き、ありがとうございました。>

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