ヒノ

1992年生まれ/一級建築士/PdM

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    短編小説だけまとめました。お時間のある際にご覧頂けたら嬉しいです。

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    主にデザインに関わる考察をしています。

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ドライバーが消えた日【小説】

今日は素晴らしい日だ。世界からドライバーが消える。免許証を持っていないことでマウントを取られることもないし、去年免許を返納した田舎に住む祖父の移動の足を心配する必要もなくなる。 20XX年、自動運転技術が世界的自動車メーカーによって確立。その翌年には日本でも法整備が進められ、自動運転車の公道での走行が是認された。今日は新法施行1日目。記念すべき日。 自動運転になって大きく変わったことのひとつ。それはモノ・コンテンツの移動だ。いままではモノやコンテンツを求めて、人がモビリテ

    • 高校の進路選択【自己紹介】

      中学生の頃に建築士を志しましたが、特にそのための努力をすることもなく、そのままなんとなく建築学科を志望。 建築は、工学部や理工学部、デザイン工学部、都市環境学部など、学部が多岐に渡ります。 学科名もさまざまだったことから、当時の自分のリサーチ能力では限界があり、志望大学は有名校ばかり。 国公立志望でしたが、旧帝以外の建築は横浜国立大学、千葉大学、信州大学くらいしか知りませんでした。 私立は早稲田大学、東京理科大学、明治大学、芝浦工業大学のみ。 学校の先生にも、予備校の進

      • 中学の進路選択【自己紹介】

        親の気まぐれでたまたま受験して、たまたま合格した県立校に入学した13歳。 たいした進学校ではなかったのですが、中学2年の終わり頃に文理選択がありました。 運動が得意で小さい頃からスポーツ選手になりたかったけれど、陸上で県大会の決勝に出れないレベルだったので、それは諦めて。 正義感が強く、ディベートも好きだった僕は、弁護士になりたい意向を父に伝えました。 しかし、お前なんかがなれるわけないだろうと大反対に遭い、父の意向で仕方なく理系を選択。 当時放映されていた「結婚でき

        • 夜更かし【小説】

          「東海道中、、、膝、栗毛、、、、、」 呟きながら寝返りを打つ恋人を見て表情がゆるむ。 仰向けになった頭を撫ぜた後で読書に戻ろうとしたが、ユニークな寝言を思い出すとわらけてしまい目が滑る。 どうにも集中できそうにない。 一服しようと、インスタントの紅茶を淹れることにした。 恋人を跨いでベッドを降り、キッチンに向かう。 一部コンクリートあらわしの白い部屋の奥には、拘りのシンプルな白の冷蔵庫があり、その上にセットで買った白の電子レンジが行儀よく鎮座する。 レンジの上には茶

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        ドライバーが消えた日【小説】

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          僕のパートナー(写実画)

          僕のパートナー(写実画)

          主体と客体で変化する次元論(考察)

          以前、だれでも通になれる隈研吾学で引用した、物理学者大栗博司氏による次元観。 建築やプロダクト、イラストやWebデザイン、いきものまで。 主体がだれかで客体の次元が変わっていく。 上の画像において、 人にとって椅子は面だけど、 鳥にとって椅子は点になる。 人にとって椅子はワンルームだけど、 鳥にとって椅子は止まり木。 宇宙は九次元とか、十次元とか、十一次元とかいろんな記事を見たことがある。 僕にはどれが最新の研究で、どれが正しいかはわからないけど、主体によって次元

          主体と客体で変化する次元論(考察)

          描いた。かわいい。

          描いた。かわいい。

          スケールとデザイン(考察)

          最近、ECサイトのプロダクトマネージャーをしています。そんななか、建築設計と同じようにスケールについて気にしながらデザインを行うことで、人に優しいプロダクトが出来上がるのではないかと仮説を立てました。 Web製作においては、レスポンシブデザインが必須。 パソコンに表示されるウィンドウについては、画面を縦横に縮めても対応できるように。 タブレットやスマートフォンからでも操作しやすいように。 Webサイトを表示画面の大きさに応じて変形(レスポンシブ)する必要があります。 与

          スケールとデザイン(考察)

          キズナNFT【小説】

          本日は「キズナNFT」ローンチ4周年記念パーティーにご出席頂き、誠にありがとうございます。 CEOを務めております木村太一です。 いま皆さまの目の前のテーブルにございます芸術品のようなフレンチの数々は、世界有数の料理人である坂田充博さんによるものです。 普段はオーナーシェフとしてパリで忙しい日々を送る彼を、この晴れがましい日に、キズナNFT東京本社にお呼びできたのは、私と彼のキズナデプスが非常に深かったからに他なりません。 ライブ中継も繋がっておりますので、パーティーにお

          キズナNFT【小説】

          岡本太郎展ゆるくて可愛いやつらがいっぱいいて幸せだったー

          岡本太郎展ゆるくて可愛いやつらがいっぱいいて幸せだったー

          コワーキング商店街【小説】

          漂う金木犀の香り。風に揺れて枝葉が擦れる音。ガラスの天蓋を見上げるとひつじ雲がゆっくりと流れていた。雲間から漏れる日差しがオフィスワークで疲れた肩をやさしく温める。 愛知県にある某商店街。店に挟まれた歩行者天国には緑が生い茂り、まるで植物園かのようである。その植物の間を縫うようにして、かたちの変わったストリートファニチャーが程よい距離を保ちながら並んでいる。 ガラスの塊でできたソファの上ではOLがお弁当箱を広げ、スマホを片手にもくもくとランチしている。 7メートルほどの高

          コワーキング商店街【小説】

          龍とそばかすの姫に見るメタバース(考察)

          今更だが表題について話したい。 結論として、龍とそばかすの姫の舞台、仮想世界「U」はなにもしなくていい場所だ。 その点でMetaやCluster等ビジネスパーソンが描く世界と一線を画す。 FacebookがMetaに名前を変え、世間もメタバースについて認知が追いついてきた頃ではないだろうか。 あらゆる企業やスタートアップが新規のビジネスチャンスを探り、VC(ベンチャーキャピタル)が躍起になって投資し続けているコンテンツ。 ただ、人々の期待値とは裏腹に、僕を含めほとんどの企業

          龍とそばかすの姫に見るメタバース(考察)

          誕生日サプライズは渋谷のアゲでオシャなホテルでした(紹介)

          恋人への誕生日サプライズの舞台として選んだホテルが、安くてアゲでオシャだったので、皆さんと共有したいと思い、記事にしました。 そのホテルは、、、 渋谷の宮下パーク!に併設された、、、 上図の右側にあるベージュ色の建物。 その名も、sequence MIYASHITA PARK! 宮下パークを一望できてしまいます。 さっそく行ってみましょう。 自動チェックイン機でチェックインを済ませると、案内されたのは10階のお部屋。奮発して角部屋にしました。キングサイズのベッドがあ

          誕生日サプライズは渋谷のアゲでオシャなホテルでした(紹介)

          あつ森にみるデジタルツインの未来(考察)

          あつまれ どうぶつの森(あつ森)。Nintendo Switch専用ソフトで、どうぶつたちを自分の島に招き、島クリエイトによって、自分の理想の町をつくる箱庭ゲーム。オンラインで友達の島に遊びに行くこともできる。 どうぶつの森と「弱い建築」YouTubeにも島クリエイトの経過や、完成した島の様子が次々に投稿されているが、建築家の筆者から見ても、クオリティが高く、気持ちよさそうな島が多い。筆者の友人の、島クリエイトの一部が下図である。友人(24)は建築やデザインの仕事もしていな

          あつ森にみるデジタルツインの未来(考察)

          だれでも通になれる隈研吾学(考察/角川武蔵野ミュージアム)

          2021/9/26迄、東京国立近代美術館にて、隈研吾展〜新しい公共性をつくるための猫の5原則〜が開催されていました。国立競技場を手掛けたことで、近年その作品の数は急増しており、隈さんに興味を抱く方は少なくないと思います。今回は、2020年の紅白において、YOASOBIがライブパフォーマンスを行ったことでも知られる、代表作のひとつ「角川武蔵野ミュージアム」を通して、隈研吾学を紐解いていきます。 【隈研吾と負ける建築】風景に溶け人に馴染む隈さんの作品といえば「木」を想像する方が

          だれでも通になれる隈研吾学(考察/角川武蔵野ミュージアム)