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創作リレー第11回 「夢見堂」
冬休みが終わり、学校が始まった。
3学期が終わったらあっという間に高3になる。一応進学クラスに進むことだけは決まっているけれど、どこに行きたいか、何がやりたいかなんて何も決まってない。
クラスの子たちが早くも受験や就職などこれからの話をしていて、私はかなり焦っていた。でも、考えても考えても自分がどうしたいか、わからない。
「夢は何か」なんて聞かれたって、幼い頃のように憧れだけで色々妄想することもできなくなってしまった。
私はこれからどうしたいんだろう。
始業式とHRだけで終わったその日、部活に入っていない私は早々に学校を出て帰り道を歩きだした。
いつもより早い時間に見る街は全く違う風景に思えて、まるで初めて来た場所みたい。知っている道のはずなのに、なんだか迷子になりそう。
妙な不安を感じながら歩いていると、普段は気にしていなかった横道にふと目が止まった。木の庇がせり出た古民家のような建て構えの前に「初夢あり〼」と書かれた小さなのぼりがはためいている。
なんだろう、雑貨屋さん?カフェ?
まっすぐ帰りたくない気分だったのも手伝って、おそるおそる横道に入りお店の前まで足を進める。店の前には「夢見堂」と書かれた看板が立てかけられていた。
夢見堂...。
店の名前に惹かれて、私は引き戸をカラカラと開けた。
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