着の身着のままゲーム機 #毎週ショートショートnote

僕らゲーム機の間で、着せ替えが流行りだした。
僕には全く理解できない。
せっかく考え抜かれてこの形や色で生まれたはずなのに、なんでわざわざボタンが押しづらくなるカバーを付けたり、体が重くなるケースに入ったりしなきゃならないんだ。

「でも流行ってるし」
「そうそう、みんなやってるじゃん」
「個性出せるっていうかさ」

皆そう言ってケースやカバーを身につける。

「流行りモノをお揃いで着て何が個性だよ。僕は着の身着のまま、この姿で生きる。こんな街にはいられない!」

「…まぁ、確かに君みたいに生きれたらかっこいいなとも思うよ」


そうだろ?僕は誇らしげに街を出た。
ここはダメだ。僕にはもっと、自分が輝ける場所があるはずだ。

ところが新たな街に着いた瞬間、待っていたのは周りからの冷たい視線だった。

「えっ何あのゲーム機」
「ありえなーい。カッコ悪!」
「っていうか古くない?いつのバージョン?」

思わず僕は店に駆け込み、1番人気の最新カバーを買った。


(408字)



ここから先は

0字

■どんなメンバーシップか 主に「ヒノマガジン」の読める範囲を広げるためのメンバーシップです。 メンバ…

眺めるプラン(ヒノマガジン)

¥500 / 月

覗き込むプラン

¥650 / 月

触れ合うプラン

¥1,000 / 月

包み込むプラン

¥2,980 / 月

サポート、嬉しいです。小躍りして喜びます^^ いただいたサポートで銭湯と周辺にある居酒屋さんに行って、素敵なお店を紹介する記事を書きます。♨🍺♨