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【風呂酒日和138-1】 富の湯(とみのゆ)

【風呂酒日和(フロサケびより)】
どこかで銭湯を見つけると、つい寄り道したくなる。
銭湯から出ると、つい一杯飲みたくなる。
そんな私がふらりと立ち寄った、心と体とお腹を満たす、銭湯と居酒屋をまとめたマガジン。


お、大きな煙突が見えた。あそこだ。
煙突を目指して歩いていると途中電話がかかってきて手前のコンビニでしばし通話。

ふぅ。なんか…疲れたな。ざっくり言うと、ちょっとメンヘラをこじらせている知り合いからの「私の話を聞いて!」という謎電話だった。彼女はいつも「なぜ今?」とか「なぜ私に?」という絶妙なタイミングでたまに電話をかけてくる。
まぁ、人生いろいろだもんな。心の荷物を少しお裾分けされてしまった気がしてちょっとしゅーんとなりつつも、気を取り直して銭湯へ向かう。

「いらっしゃいませ」

「こんばんは。えーと入浴と、サウナもお願いします」

「はい、じゃ720円ね」

おぉ〜ということはサウナは200円。ナイスプライス。

脱衣室に入ると目が合ったおばちゃんが元気に「こんばんは〜」と話しかけてくれた。

「あ〜あついあついねーもう」

ねーと言われてもまだ私は入っていないのだが「ですよね〜」なんて相槌をうちながらロッカーへ。

「あら、そんなはじっこじゃくたって、こっちもっと空いてるわよ」

おばちゃんはそう言って自分のロッカーの右隣の方に促してくれた。

「そこ、すぐ横トイレだから。こっちのがいいでしょ?」


せっかくなのでおばちゃんのお言葉に従い、右の方のロッカーに移動する。

「今日はね、露天風呂ヒアルロン酸。お肌ぷるぷるよ〜」

なるほど、ここには露天があって日替わり湯になっているようだ。「そ、そうなんですね〜!」なんて言いながらいそいそと準備。
さっきの電話で少しすんとしてしまったので、明るい会話のギャップでなんだかぎこちない受け答えになってしまった。おばちゃん、すまぬ。

「あら、もう出てきたの〜?早いじゃない」

今度はちょうど浴室から上がってきたお姉さんに話しかけるおばちゃん。お話好きなんだなぁきっと。誰にでも明るく朗らかで陽の気を感じる。
なんかおばちゃんのおかげでもやもやがちょっと浄化されたかも。


身支度して浴室へ向かおうとしたら、サウナセットについてきたタオルを出してびっくり。えっこれタオル?じゃないっぽい。手拭いだと思って出したそれはほぼ正方形。
これは...お尻に敷くやつかしら?初めて見たサウナグッズだ。ではこれと、自前の手拭いを持って中へ。

浴室は手前に洗い場、奥に浴槽、左手に露天風呂のドア。そして水風呂をはさんで左手前にサウナがある。洗い場も広くて余裕がある。
空いているところに椅子と桶を持っていって体と髪を洗い、まずはお風呂へ。
内湯はバイブラとジェット、電気風呂、座風呂の4種。先客の人といい感じに入れ替わりながら入っていく。今日は電気風呂も割と奥まで入れたかも。座風呂もジェットも勢いが強くて満足。
壁はペンキ絵ではなくモザイクタイル。男湯との境の壁にはどこかでも見たバカンスを楽しんでる風のお姉さんの絵。


よし、それでは「お肌ぷるぷる」の露天も先に覗いてみるか。
ドアを開けるとそこには植物のあるこじんまりとした露天空間が。今日は風がないけど外の空気がいい匂い。あとこのお湯かな?優しくてホッとするような「綺麗なお姉さん」みたいな匂いがする。
これはヒアルロン酸の香りだろうか。お湯もなめらかで確かにぷるぷるになりそう。

さて、スムーズに内湯を回り終わってサウナへ。
おっ貸切だ、最高〜。でも誰もいないので、先人を見て学ぼうと思っていた例のタオルの使い方がわからぬ...。
たぶんこれを座面に敷くでいいんだよね…?借りたタオルを敷いて着席。
サウナは奥に細長い形で二段。入口手前にストーブ、奥に小さいテレビがついている。

流れていた番組はなにやらクレーンゲームに挑戦するバラエティ。クレーンゲームってすごいよなぁ。1回も取れたことない。というか人生で3回くらいしかやったことがない。
できる人はいろいろコツを知っているらしく、景品を掴まずにアームで押して落とすとか、本体ではなくタグの輪にアームを通すとかいろんな技術があるみたいで「なるほどなぁ」なんて思いながらテレビを眺める。


ついつい夢中になって見ていたらあっという間に12分。最近1セット目から12分計が一周するまで入れるようになってきた。とうとうサウナーレベルがアップしたのかも。
顔が熱いのをタオルで覆う作戦で長くいれるようになった。やっぱりこれはサウナハットを買うべきだろうか。でも帽子じゃ顔は覆えないか?

サウナを出て水風呂へ。
ぴゃぴゃー!冷たい!気持ちいい。でも、もしかするとちょっと体が冷えてるかも。風邪の引き始めに感じるような悪寒を一瞬感じる。水風呂、今日は控えめにしとこう。

露天に移動してベンチに座り外気浴。あぁ…いい。
入る前に電話でくらったしょんぼりが溶けていく。やっぱり風呂はいい。心がほどけるね。彼女もゆっくりお風呂に浸かればいいのになぁなんてふと思う。以前彼女が「お風呂、めんどくさいから好きじゃない」と言っていたのを聞いたことがある。そういえば、私の周りにいるメンヘラちゃん、お風呂嫌い率高いかもしれない。因果関係があるのだろうかなんてふと考える。


2セット目。あいかわらずのソロタイム。無音のサウナも好きだけど、今日はテレビがあってよかった。余計なこと考えずに「おーすごーい」なんて思いながら脳を使わずぼーっと過ごす。こういうサウナの過ごし方もいいよね。

一瞬の水風呂後、今度は洗い場で小休憩。
ここの人はみんなわきあいあい、一見さんの私にも目が合うとニコッと笑いかけてくれたりこんばんは〜なんて声をかけてくれる。
脱衣室にいたおばちゃんもお話好きだったし、なんかいいなぁここの人たち。


最後に12分ラストサウナ。うん、今日はダラダラやらずに3回で満足。
クレーンゲームに挑戦するのが終わって、次は芸能人DIY対決になった。うわ、こっちの方が見たかったと思いながらサウナを離脱。

最後にもう一回露天に入って〆。
うん、今日はあんまりバタバタせずにサウナさらりと満喫できた気がする。
サウナがあってもなくても、心が浮き沈みしても、焦らず惑わされず、ゆったりと仏のように何事も楽しみたいもんですなぁ。

【富の湯】
住所: 〒201-0001 東京都狛江市西野川4-5-14
電話: 03-3488-2272
アクセス: 京王線「国領」駅下車、徒歩10分
定休日:月曜日


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