見出し画像

質問:「ショートショートの410字の壁」について答えてみる

【ニンゲンを待つ質問箱】
質問を募集しています。素朴な疑問、人生相談、ただの雑談などなんでもお待ちしています!
ニンゲンさんからの質問が来ない時は質問箱にランダムに飛んでくる運営さんからの質問にもたまに答えています。

ニンゲンさんから質問を頂いた。
(このくだりやめようかしら...もう運営さんも質問してくれなくなったし笑)
ありがとうございます!

今回の質問はこちら。

日野さんのショートショート好きです。私も毎ショ書いてて、410字の壁が難しく書き上げられないことも多いです。どうやってうまく文章をまとめてますか?

ショートショート、好きと言ってもらえてとても嬉しいです!ありがとうございます。

毎ショとは、毎週ショートショートnoteのこと。
たらはかにさんが毎週お題を出してくれるこちらの企画。説明するまでもなくみなさんご存知かもですが、詳しくはこちらをご覧ください。


約2年ほど前にその存在を知ってから「私もショートショート書いてみたい!」と思い、挑戦と修行の気持ちで毎週参加?応募?投稿?させてもらっている。(もう2年にもなるのかぁ...しみじみ)


毎週発表されるお題は、基本的に何か2つのワードを組み合わせた単語というパターンが多い。ぱっと読んだだけでなんとなくストーリーが描けそうなお題の時もあれば「これとこれ...!?うーん...」と頭を悩ませるようないわゆる難題が出ることもしばしば。
でも、2つのワードがかけ離れているものだったり結びつかない時ほど、ちょっと不思議な世界が描けたり、普段は思いつかないような発想が浮かんだりしてそれがまた面白いのだ。

質問者さんも「毎ショ」に参加されているとのこと。(きっと私もいつも作品を楽しく読ませてもらってるはずです!ありがとうございます)
そしてこの悩み、すごーくよくわかる。とっても共感。
410字の壁。まさにそれ!と思った。

毎週ショートショートnoteでは「だいたい410字くらい」と文字数が決まっていて、なるべくそれにおさまるように書くようにしている。
もちろん足りていなくても、長くなってもNGとかダメということはないのだが、やはりショートショートというからには、というか一応ルールがあるからには、その枠の中でどれだけいいものが書けるかというのを挑戦したいところだ。

私もまだまだ修行中のショートショート。
今回はそんな私がどんな風にショートショートを書いているか、流れというか自分なりのポイントみたいなものと、文字数との葛藤についてをまとめてみようと思う。

まずは想像。ワードからどんなストーリーが広がるか考える。

そりゃそうでしょうという話なのだが、まずはお題のワードから想像を膨らませることから始める。
そうしようと決めているわけではないが、私の場合は文章調よりも人の会話で話が進んでいくような形がどちらかというと多いかもしれない。
過去にとある方に「会話の書き方がうまい」と褒めていただいたことがあって、それが嬉しくて味を占めているというのもあるかもしれないが、単純に対話形式のストーリーの方が書きやすいということもある。

でもこの会話のラリーでのショートショート、先ほどの文字数問題でいうといい点と悪い点があるのだ。


いい点は説明っぽい言い回しをせずともその情景や状況を描けるということ。たとえば、カップルがドライブにでかけて夜景を見に行ったとしよう。これを文章で書くとなると、車を運転している様子を書いたり、夜という時間帯や夜景を見ているようなシチュエーションをある程度の文字数を使って表現しなければ読み手はその状況を把握できないが、会話にしてみるとそれがするっと入ってきたりする。

「到着。暗いから気をつけてね」
「運転お疲れ様!うわぁいい眺め〜」

とか。このやりとりで、なんとなく「あぁカップルが夜ドライブしてどこか眺めの良い場所にでかけているのかな」というのが伝わる。状況を書く代わりに想像してもらうのだ。
そんな感じでプロローグみたいなところのボリュームを減らすと、一番ハイライトしたい部分に存分に文字数を使えたりするのかなと思っている。


悪い点は「」←これ。かぎかっこ。
やっぱり会話だし、会話部分以外のところと区別するためにあった方がいいよねと思って「←こいつら→」を使うのだが、会話のラリーになればなるほど毎回2文字分必要ということになる。
たかが2文字、されど2文字。410字の世界の中で会話が10回続いただけであっという間に「」だけで20文字ももってかれちゃうのだ。それが地味につらい。あと数文字あれば、いい感じの〆っぽい言葉がおさまったのに...という時に、自分でつけたかぎかっこを睨み「むむー君ら、しゃべりすぎ!」と意味のわからない八つ当たりをしたりもする。


そこまでシビアに文字数にこだわらなくていいということもわかってるんだけど、作文の授業で作文用紙を最後の1マスまでぴったり埋める遊びとかをしたくなっちゃうタイプの私は、ついついそこに照準を合わせてしまっている時もある。
それに、そうやって言葉を選んだり流れを考えたりするのも推敲のトレーニングにもなるのかなとも思っている。

とりあえずだだっと書いてみる。そこからダイエット。

最初から文字数を考えていると話自体がいい感じに膨らまない気がするので、まず頭の中で考えたストーリーをわーっと書いてみる。
そうすると、私の場合は大体600文字とか1000文字近くになっていることが多い。なので、そこからダイエットを始める。
このくだりは本当に重要かとか、もっとスマートな言い回しがあるかとか。
これをやると、自分の癖やよく書いちゃう不要なワードが見えてくることもある。「なんとなく」とか「なんだか」とか、そんな何回も言わんでもええやろと思うような表現を消す。

ダイエットしてからサビを盛る。

そんな感じでダイエットをすると、なんとなくそのストーリーの中の一番重要な場所みたいな所が見えてくる気がする。歌で例えると「サビ」みたいなところ。
そこだけは、文字数も気にせず書きたい言葉でふんだんに書く。
悩んでいる「...」の間とか、話している言葉であればその登場人物の人柄とか気持ちがわかるような表現は何かと考え、盛り込む。
そうすることで、サビがどーん!と盛り上がる気がするし、短い文章の中に抑揚ができるというか、この世界ならではの起承転結というのか、メリハリみたいなものができるのかなぁなんて自分の中では思っている。


ざざっと書いてみましたが、こんな感じでしょうか。
私はいつもこんなことを考えながらショートショートを書いています。

もちろん400字に満たないけどこれが気持ちいいと思ったら、無理に加えないし、いやこれは絶対500文字くらいになっちゃうという時は、必要なのだと信じて無理なダイエットはしないので、全然「だいたい410字くらい」ではない時もいっぱいあるのですが。
そんな週もありつつ「410字の壁」を楽しんでおります。


書き上げられないことも多いとのことでしたが、まとまらなくても、なんかうまく書けなかったなぁという時でも、どんどん書いて、出してみることが大事な気もしています。
私も「うわぁ...今回全然ダメだわぁ」なんて思う時もありますが、もちろん答えも正解もないし、いろんな感性の、様々な人に読んでもらえるわけなので、自分がダメだぁと感じたものでも、誰かがそれを「好き!いい!」と思ってくれるかもしれません。

とにかくやってみる、修行的な気持ちであまり凹まずに書いてみるというのはどうでしょうか。…え?そもそも別に凹んではない?


というわけで「どうやってうまくまとめてますか?」の質問の答えとしては、色々作戦を考えてやってはみてるけど、うまくまとまってなくてもとりあえず書き続けてます!というのが答えかもしれません。
毎回お気楽ハッピーみたいな答えになってすみません。

ちなみに私の最近のショートショートの悩みを挙げてみると「なんかショートショートっていうか、"ちょっといい話"みたいな落とし込み方しかできてない気がするな」と思っていること。
もっと不思議で、でもなんだか魅力的で引き込まれるような、そんなショートショートを書けるようになりたいなぁと思っています。
あとセレクションに選ばれたい!これも目標の一つです。たらはさんがセレクトした作品を読むと、やっぱり「おぉ〜!」と唸るものが多くてすごく勉強になっています。

※追記
この記事を書いたのは先月だったのですが、先週ついにたらはセレクションに初選出してもらえました!やったー!

お互い試行錯誤しながら楽しくショートショート書いていきたいですね。一緒に楽しみましょう!
そしてたらはさん、いつもありがとうございます。おかげさまで楽しませてもらっています。


質問、ありがとうございました!
久しぶりの質問、とても嬉しかったです。
引き続き質問箱、マシュマロ、XのDMなどいろいろなところから質問募集しております。
メールの場合は souhino1020@gメール.com までお願いします。


サポート、嬉しいです。小躍りして喜びます^^ いただいたサポートで銭湯と周辺にある居酒屋さんに行って、素敵なお店を紹介する記事を書きます。♨🍺♨